表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と神様の異世界冒険記  作者: サイトゥー
第一部 始まりに至る物語
78/113

84 人類最古の王

バビロニア城


突然、バビロニア城最上階に突っ込んできた戦闘機。そこから現れた三人の男性。三人はお互いを罵り、王と紅汰達の間に登場した。

その内の一人の男性が紅汰と風魔に視線を向けた。


「おぉ!燈真ん家の餓鬼と銀髪美少女!久しぶり!」


その男性の顔に二人は見覚えがあった。


「Lさん…?」

「そうそう、最近出番無かったから出てきたんよ。」


Lは今の状況に動揺どころか驚きもせず笑顔でペラペラと喋る。


「エロゲやってたんだけどあのクソ野郎に呼ばれてさ。まったく困ったもんだぜ。」


Lは腰から拳銃を二丁取りだし王の背後にいる中年男性に銃口を向けた。

全員に動揺が走る。


「ダルメガ・オクトバだな?テメェを交通安全自爆爆発強盗恐喝殺人賄賂脅迫殺人未遂傷害傷害致死餓死放置放火不法侵入罪で逮捕する。大人しく投降しろ。」


Lがゆっくりと中年男性に歩み寄る。中年男性の額に脂汗が浮かぶ。今の内に風魔が紅汰の耳に囁く。


「俺が紅汰を投げる。ルーシャを頼むぞ。」


頷く。風魔の腕力なら心配無用。力加減は風魔を信用しよう。


「此方は口が聞けれりゃ問題無いんだ。早く全兵士の武装解除とお姫様を解放しな。」


Lの口元が歪む。Lとダルメガの間に王が立ち塞がる。Lの口がさらに歪んだ。


「ウトメルシュ、何故その男を庇う?そんな屑男、生かす価値もあるまいに。」


今まで口を閉じていた金髪の男性騎士が口を開く。その片手には異形の杖。

王の目が大きく見開かれる。


「兄……上……?」

「兄上では無いっ!!」


兄と呼ばれた男性は怒号で返す。声が広大な部屋に雄々しく響く。


「『お兄ちゃん』と呼びなさい!!」


全員が凍り付いた。

今叫んだ男性は「兄上」と呼ぶ王に対し「お兄ちゃん」と呼べと言ったのだ。だが男性騎士は構わないと言うかのように続ける。


「ウトメルシュ、お前はこの人類二番目の王ギルガメッシュの『兄弟』なのだ、我を敬い『お兄ちゃん』と呼びなさい。」

「今だっ!!」


全員が驚愕し、動かない状況を判断した風魔は紅汰の襟を掴みルーシャに向かって投げ飛ばした。

流石の紅汰も不意を突かれた。が、風魔の安定した投げは乱れる事なく紅汰の華奢な体をルーシャに投げた。


「ルゥゥゥゥゥゥシャァァァァ!!!!」


不意を突かれ、誰も飛んでいく紅汰を止めることは出来ず紅汰はルーシャの真右の壁に顔面から激突した。壁に頭がめり込むが急いで抜いてルーシャの縄をほどく。ルーシャが抱きついてくる。


「ルーシャ、悪い。遅くなった。」

「紅汰……こんなになってまで、ありがとう。」


そんな二人の会話を風魔とガウェインとランスロット以外誰も気に止めない。


「兄……上………何故、此処に……?」


王と『ギルガメッシュ』と名乗った男性は紅汰とルーシャが抱き合う状況を華麗にスルーし言葉を交わす。


「必然。お前達の婚儀を阻止しに来ただけだ。もっとも、Lは親父に用があるらしいがな。」


会話から察するにギルガメッシュと今まで王のウトメルシュは兄弟らしく、Lとギルガメッシュと青い騎士の三人はルーシャとウトメルシュの婚儀を阻止しに来たらしい。Lはウトメルシュが庇うダルメガ、ギルガメッシュとウトメルシュの父親を捕まえに来たらしい。


ギルガメッシュの赤黒い瞳がウトメルシュの背後にいるダルメガを捉える。その瞳には隠しきれない程の憤怒の炎が渦巻いていた。


「親父、自分勝手事故中心の貴様の性格には元から失望していたが今回の事で我はもう貴様を親父とは認めん。王の命だ。ダルメガ・オクトバを王族及びバビロニア王国から永久追放する。二度とウトメルシュの前に現れるな、我の前に現れた時は殺してやろう。」


ギルガメッシュの追放宣言にダルメガの目に怒りが宿り、今まで閉じていた口を開き激を飛ばす。


「追放、だと?ふざけるな!誰が…誰が貴様のような出来損ないの命など聞くか!追放されるのは貴様だ!今、この国の全ての権限はウトメルシュが握っているのだ!俺がウトメルシュに命令すれば、」

「図に乗るな!雑種風情が我に出来損ないなどと言われる筋合いなどどこにもないわ!王への侮辱、万死に価する!!『跪け!!』」


ギルガメッシュが叫んだ瞬間、『跪いた』。部屋の左右から現れる兵もダルメガもガウェインもランスロットもエルキドゥも全員。だが紅汰、風魔、修羅、シーゼ、ウトメルシュ、ルーシャ、L、青騎士は跪かない。


「ん?貴様ら、王の言葉は絶対だぞ。さっさと跪け。」


跪かない者達を見て少し驚いたギルガメッシュ。突然その足元に弾丸が撃ち込まれる。


「馬鹿野郎。ギル、お前の『王の言葉(キング・フォース)』は『王ではない人間』にしか効かねぇんだよ、悪魔やら妖怪とかの人外にもな。お前の強みは乖地仗ガイアだけなんだよ。」


Lが面倒そうに言葉を吐く。それを聞いてギルガメッシュの眉が歪む。


「分かっておる。アーサーも我の乖地仗が目的で仲間に引き入れたのだろう?」

「うん、君の能力は『人間』としては強いけど人外の力を持つ僕達には最弱。だから僕は大陸を切り離すほどの威力をもつ乖地仗ガイアを必要とした。ご不満かな?」


Lとは別に壊れた戦闘機に寄りかかる青騎士の男性は淡々と告げた。その言葉に対しギルガメッシュは唇を歪める。


「よい。阿修羅神から我に授けられた乖地仗ガイアは、阿修羅神が我の実力を知っていたから授けられたのだ。この杖は我の力の象徴よ。」


王の言葉でルーシャは紅汰の顔が見れない。ルーシャの体が床に倒れないように紅汰が抱きしめ支える。


機嫌を直したギルガメッシュは視線をアーサーと呼ばれた青騎士からダルメガに戻す。


「ダルメガ、話を戻す。我の『王の言葉(キング・フォース)』が効くと言うことは貴様は我以下、雑種だ。その貴様が我と同等のウトメルシュに命令出来ると思ったか!我は決してウトメルシュと小娘の婚儀も同性愛など認めん!!!」


「「「「は?」」」」


反応したのは紅汰、風魔、ルーシャ、Lの四人。今ギルガメッシュは『同性愛』と言った。同性愛とは同じ性同士がお互いを愛する事だ。結婚するのだからルーシャは女、ウトメルシュは男のはずだ。しかしギルガメッシュは同性愛と言った。


「貴様はどうせ、ウトと小娘のあられもないあぁ~んな事やそぉ~んな事やこぉ~んな事を見るつもりだったのだろう!ウトは我の嫁だ!譲らんぞ!!」

「ちょ…待て。ギル、ウトメルシュとか言うお前のご兄弟様の性別は男だよな?」

「貴様は女を見る目がないのか?女に決まっておろう。」


『………………………。』


一同凍り付いた。男と思っていたウトメルシュは実は女だったのだ。

全員の視線がウトメルシュに向けられる。


「え、あ、そうですか。お前をホモだと思ったけど実際シスコンか。良かった良かった。友人にホモがいたら常に背後に気を付けてなきゃな。」


Lは混乱から早く状況を整理し、引き金を引いた。


弾丸がダルガメの腹部に穴を開ける。

後ろに吹っ飛ぶダルガメ。そして壁にぶつかり、呆気なく気絶した。


「はっはっは。終わりだな~出番少なねぇ…。」



Lの自虐的な笑いと共に紅汰の意識が朦朧となっていく。ゆっくりと手をルーシャの頬に伸ばす。

その手は届く前に床に落ちた。









































ピリリリリリリ……ピッ。

彼は数秒鳴った携帯をポケットから摘まみ、電話に出る。相手は懐かしい名前だった。出るのを少し躊躇うが此処で出ないと後が怖い。


「やぁ。君か、どうし「何処をほっつき歩いてるのですかぁーーーーー!!!!!!」


電話に出ると凄まじい怒号が耳を貫く。流石に三ヶ月も会っていないから怒っているとは思っていた。


「あ、あぁ…ごめんごめん。仕事が忙しくてね。帰る暇が無いんだ。」

「それなら電話のひとつ入れてください!毎晩孤独にご飯を食べる私の気持ちになってください!」

「分かったよ、でわざわざ説教電話を入れに来た訳じゃないんでしょ?」

「えぇ、上から働き過ぎだと怒られまして。三ヶ月の休暇を戴けるらしいです。」

「三ヶ月か、丁度良いタイミングだよ。出掛ける?」

「何処にですか?」

「南極大陸のオケアノス島、かな。」

「オケアノス島ってあのオケアノス島ですか!?」

「うん、知り合いに頼めばタダ&無料旅行出来るよ。どう?」

「ぜ、是非お願いします!」

「うん、あ、でも僕の友人も来るけど良いかな?」

「構いません!と言うか紹介してください!」

「うん、分かったよ。じゃあ、二日後に家で準備してて。何かあったら電話かメールでね。」

「はい!では!」


電話の相手は彼に何度も感謝の言葉を言い、電話を切った。


「あと三ヶ月。それで世界の運命は決まる。全面戦争か。支配か、それとも………また『あの時のように』なるか。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ