78 ゲーム
バビロニア王国 入口門前から数キロ先の林
「風魔!準備は大丈夫か?」
「あぁ、いつでも行けるぞ。」
「じゃあ、行くぞ!」
「おう!」
「姫ェーッ!」
「いざ、いかんッ!!」
バイクのアクセルを一気に回す。馬の気高き咆哮が大地を揺るがす。
四つの風が大地を駆ける。
紅汰、風魔、ガウェイン、ランスロットは今、バビロニア王国へと突撃する。
一人の少女の為に。
入口門前
「おらァっ!!」
槍を持つ門兵を避け、四人は疾走する。目指すは圧倒的な威圧を放つ。黄金の城。
「退け退け退けェッ!!!」
重装備の兵士達を吹っ飛ばし、一行は城の門へと向かう。鉄で出来た巨大な門へとスピードを遅めず、向かう。
「風魔!」
「なんだ!」
「あの門どうやって破壊しよう!?」
「おい!?考え無しかよ!?」
風魔は呆れて叫ぶ。だが四人の門へと突っ込む。
「こうなったら、グングニルで破壊するしかない!」
風魔の胸のペンダントが紅い光を発する。その一瞬で風魔の右手に紅槍が出現する。そして風魔がグングニルを投脚しようとした瞬間、門が凍り付いた。
「えっ……?」
凍り付いた門は亀裂が入ると一気に崩れた。氷の破片が陽光に反射し、輝く。
「なんだか知らないけど、突っ込むぞ!」
そして四人は敵兵の抵抗も虚しく、バビロニア城へと突撃した。
四人が門をすぎると氷の門が崩れた門の代わりとなり、道を塞いだ。
バビロニア城 敷地
四人は乗り物から降り、剣を抜く。あっという間に敵に囲まれる。
「これは予想内か?それとも予想外か?紅汰。」
風魔の問いに微笑で答える。
「予想内だ。円卓の騎士を圧倒する程の敵兵ならいると思ったよ。」
「そうか、なら………!」
風魔の言葉が途切れ、真剣な表情になる。見ただけでも気の弱い男性を失神させてしまいそうな程の威圧が一人の人物に向けられる。
その人物は黄金だった。
いや、黄金に輝く服を着ていた。
その人物が一瞬で現れると敵兵が一瞬で膝を付く。王に平伏すかのようだ。
いや、人物は王なのだろう。産まれつきの。
この圧迫感、威圧、姿、顔全てがこの人物が王という事を証明している。
黄金の服は陽光を反射させ鈍く輝く。その金髪すらもほんの僅かに輝く。
その顔は男か女か分からない程に美しい。どちらの性別でも輝く美貌。
そして全ての者を見下す威圧の眼差し。見ているだけで反らしたくなる。
「お、「待て。紅汰」
紅汰が怒鳴りかける直前に風魔が声で制止させる。王は赤い豊かな唇をゆっくりと動かし、
「юьпшэфтж、злеуъ;ςΰ?(貴様ら、我が栄光の城に傷を付けたな、雑種?)」
意味不明な言葉を話した。
「お「ψξπζθδλðþ※●▼θπρξ。(そっちこそ、アーサー王の栄光の街を傷付けたじゃねぇか。)」
再び怒鳴りかけた紅汰を風魔の意味不明な言葉が遮る。
「πφχωλ……фэъящозёйюэопмщтлф、фцчшошшъόϊς?έύϋςΐΐ;ίώϋ。όύψπικγεηιθ。(ほう……太古なる我が言葉を理解するか、何者だ?王の問い、感謝の極みと思い答えよ。)」
「уйнппアーサー・ルーシャギア・ペンドラゴンέϊΰβξωψ、σφ風魔十六夜。τþ※▼◆ƒξ天切紅汰πσ、ルーシャギアмлмлклфлмюьфффцδχφκω。(俺達はアーサー・ルーシャギア・ペンドラゴンの仲間だ、俺は風魔十六夜。此方は天切紅汰、ルーシャと永遠の契りを交わした最強の夫だ。)」
「ζθι……ώΰΰġùþ●■※※‰←↓§、бжщюфялщнплеолухш。(ほぉ……我が后を連れ戻しにきたか、ならば暇潰しにゲームでもするか。)」
「ςφψ?(ゲーム?)」
「че。шюяэф、фцхцухшойчхупэюэткпънрф◆■‰※※⇒⇔▼〆。ωμπξοοεθλβζγφσζθяпфощтфсмлдмфмунфмцμηζ。(そう。ゲームだ、貴様らが我とその部下七人を倒せれば小娘を貴様に返そう。だが貴様が負ければ貴様には牢獄の中での死だ。)」
「………улэуцчн、нёймлцлыуффцмрюяύΐωφπομρονμλν?(………その条件本当か、俺達が勝てばルーシャを返してくれるんだな?)」
「фм。фшпллкй。ютфщфпоёввеьсъώς。;ΐύώϊϋэвбжршщιθμδωσφκƒðßœÿϊήΐΏξΞнхяэыыуфßœ!óôþþþþþ!!!!(もちろん。ルールは簡単。貴様らに配る金の小判を割られた場合その者は脱落。敵の小判を全て割られた方は敗北だ。ふ、貴様が我とバビロニア精鋭部隊四人と軍勢に勝てればの話だがな!はっはっはっは!!)」
王は高笑いすると、右手を挙げる。兵が一斉にその場から走り去って行ったと同時に王も消えた。
風魔と王の会話、まったくして意味不明の言葉を交わしていたが紅汰は王に妙な違和感を感じた。言い表しづらい妙な違和感だった。
「……あいつらとゲームだとよ。俺達があいつらに勝てばルーシャは返してくれるそうだ。」
重々しい風魔の言葉には何か違和感を感じた。紅汰と同じ違和感を感じているのだろうか。
「向こうは軍勢で来るらしい。ちょっとキツいかもしれない。」
「………………まずいな…流石に勝てるか分からない。」
それでも行かなくてはならないのだ。
「少しは他人を頼るという事を思いつきませんか?」
「彼等も他人は巻き込みたくないのだろう。流石に月詠と燈真の子だな。」
天空から二つの人影に、発せられた声には聞き覚えがあった。四人は同時に空を見上げた。
「さて、我等も参戦するか。シーゼ。」
「そうですね、読者の皆さんにそろそろ僕の力を見てもらいたいですし。殺りますか。」
現れたのは仏と医者だった。なんとも奇妙な組み合わせだろうか。上空から現れたのは忌羅の弟、神己修羅と神の腕を持つシーゼ・ディストだった。
「私も最近体を動かしていなかったものでな、傲慢王が相手なら丁度良い。」
「僕も最近力が弱まってきたので二百人程精神崩壊させて希望とか絶望とか色々頂きましょう。」
忌羅の言う事はわかるがシーゼの言う事は意味不明だ。精神崩壊やら希望やら絶望やら物騒な言葉を笑顔で呟いている。恐ろしい医者……。
「引かないでください。僕が此処に来た理由は三つあります。ひとつ目は僕の力を回復させるため。二つ目は暇だったので。三つ目は此処に良いお酒と食物があったら頂戴(という名の強盗)をしよう三つです。ちなみにさっき門を氷で壊したのも造ったのも僕です。」
シーゼと修羅、二人の力量は不明だが二人とも頼りにはなれるだろう。
「…とにかくありがとうございます。」
紅汰の感謝の言葉と共に四人はシーゼと修羅に頭を下げる。
「いや何、私も『修羅天ノ大神』として信仰に答えなくてはな。気にするな、我等も利益の為に動くだけの事だ。」
修羅天ノ大神、修羅が口にした言葉にガウェインとランスロットが反応する。二人は神々しい修羅の顔を見て、地面に膝を付く。
「な、なんと!?貴殿が修羅天ノ大神様であられましたか!と、とんだご無礼を御許しください!」
「まさかあの修羅天ノ大神様が参戦してくださるとは…!」
「言ったであろう?私は自分の利益の為に動いているに過ぎん。毎年の奉納、感謝するぞ。」
三人の会話に紅汰と風魔はまったく付いて行けない。風魔は微妙に内容を理解しているらしいが………。
「ん?あぁ、君達には言っていなかったな。私は神己修羅という名の他に『修羅天ノ大神』と言う神の名があってな。私はこの世界の天候を司る神なのだ。」
「……………………神様?」
「驚く事はあるまい?忌羅も東方の国では武神、『武神ノ尊』と言う名で崇められているぞ?」
修羅が淡々と口にすると、紅汰の目の前に箱が降ってきた。箱がガシャンと鉄を叩くような音と共に地面に落下した。衝撃で箱が開く。中身は金の小判と純白の布だった。
金の小判が十何枚か入っている箱を軽々しく持ち上げ、金の小判と布を配る。配り終わっても金の小判はまだ三枚ほど残っていた。が、今さら誰かを呼ぶ時間など無かった。
「良いか、ルールはこの小判を割られずに敵を全滅させる事だ。相手も同じ小判をつけている。相手の小判を全て叩き割れば俺達の勝ちだ。」
風魔が簡単にルールを説明すると、シーゼが綺麗な笑顔でこう言い放った。
「つまり、小判を割らなければの歯を全て引き抜いて口を氷で塞いでも肌を剥がしても臓器を抉り出しても爪を剥がしても目を潰しても骨を粉々に砕いても指と足の関節全てに釘を刺しても四股を切断しても口を縫い付けても髪を全て引き抜いても視覚聴覚味覚感触全ての感覚が消えるまで痛めつけても超ドMに目覚めるまで痛めつけても全身に氷の槍で刺しても絶対零度の氷の塊に閉じ込めても切断した体のパーツの肉を相手に無理矢理喰わせても精神崩壊させて廃人にしても相手が殺してくれと言う声すらも出させないまでに痛めつけても良いと言う事ですか?」
今五人は理解し、心を一つにして心の中で呟いた。
「「「「「こいつ……サディスッティックの神だ………。」」」」」
こんな感じに一人の少女を賭けた死のゲームが始まった。
「ところで風魔はなんでアイツの言葉分かったの?」
「『知能の限界』を超え過ぎた。おかげで頭が痛い。」
風魔と王様の会話は適当に読めなさそうな文字を書いただけなので特に規則性はありません、すいません。
一週間ぶりの更新だけどやっぱり短いですね。長い文ってどれくらい文字数あるんでしょうね…?この前ウィルの過去編書いても4500字程度でした…。やっぱりpcに触れる時間が短いんですかねぇ……。
さて、次回はバビロニア王国とのゲームです。初戦はシーゼかな、彼のドSっぷりが披露されますね。
ありがとうございました。ではまた次回。