51 人斬り
投稿遅れた……毎度の事、すいません。
ロンドの街 夜
殺人鬼との戦闘を終えた女体風魔は帯を絞め直し、地面に大量の血を流してに倒れている殺人鬼の亡骸を見詰めた。
「……すまない…俺が忌羅さんを止めてれば、死ななかったのに……。」
悔しさで爪が手に食い込む。
「ますたー……。」
気が付くとグングニルの可愛いらしい幼顔が心配していた。
しゃがんで、グングニルと目線を会わせる。
「悪いな…お前に心配かけて。」
頭を撫でてグングニルを安心させる。
だが、グングニルの目は濡れている。
「ほんとに、しんじゃうかとおもいました…………ますたー。お願いです、私を一人にしないで……。」
グングニルの口から漏れた言葉。
その言葉は風魔の心に突き刺さった。
昔、まだこの世界に来ていなかった頃、風魔は幼い頃は伯父と名乗る男性が育ててくれたのだが、その伯父も突然消えた。小学校を卒業した風魔に、『すまん』と言い残して。
それ以来、自分が死んでも悲しむのは紅汰だけだと思っていた。
風魔が死んで悲しむのは世界にたった一人しかいないのだと。
だが、今は違った。
風魔は死んでグングニル、刹那、ルーシャ、ガウェイン、ランスロット、ハサン、沢山いる。
少なくとも目の前にいるこの少女だけは自分が死んで一番悲しんでくれる。
今、自分の価値を知った。
「……ありがとう。グングニル。」
礼と共にグングニルを抱き締める。
セクハラって言われそうだ。
「ますたー、わかればよいのです。あなたはたにんのいのちよりじぶんのいのちをたいせつにしてください。あなたはわたしのますたーなんですから。」
グングニルを解放しもう一度撫でる。
ふと、グングニルの視線が風魔の首下の膨らみに向けられる。
「ますたー………ずるいですぅ。」
ぷすっと頬を膨らませ、風魔の胸に自身の顔を押し込める。
ついでに揉まれる。
「ちょっ!?止め、あぅ!?」
意外に強い腕力に悲鳴を挙げてしまった。
グングニルは楽しそうだ。
「(さて…あとは紅汰だな。……確か佐々木とかいう女の子がどうのこうの………………)」
紅汰の話を思い出し、繋げる。
斬られた人は肩から腰下まで深くばっさりと斬られていた。
そんなに斬れるのは日本刀ぐらいだ。
だが、この街は西洋っぽいので切れ味の良い日本刀などあるわけがない。
目撃者の証言で凶器はギラリと光る長い刀。
紅汰に問いた人斬りについて。
会話の最後の『人斬りももっと早く貴方に会えてればこんな事しなかったでしょうね。』
………情報整理だ。
犯人は日本刀を凶器に使う。
相当の達人。
少女の長刀。
紅汰に問いた人斬りの事。
そしてその反応の言葉。
佐々木の姓を持つ少女。
「佐々木……?佐々木佐々木佐々木……………あ!」
繋がった。おそらく佐々木とか言う少女が犯人だろう。
少女が身長の倍以上ある刀を所持してヤクザっぽい奴等がいるバーなんかにいる訳ない。
そして佐々木の姓。
おそらく、少女は……
「佐々木小次郎の関係者!?」
佐々木小次郎
日本で有名な刀の達人。
巌流と呼ばれる鞘を使わない抜刀術の得意だとかなんとか。
そして一番恐ろしいのが、奥義
『燕返し』
詳しくは知らないが、回避不可能、防御不可能、一撃必殺と呼ばれる技だ。
紅汰の技量では燕返しを防御するどきろか回避すら無理だろう。
風魔は亡骸をどうしようかと悩む。
だが、忌羅が紅汰の増援に行ってくれている。
忌羅なら、なんとかなるかもしれない。
「ますたー、かんがえちゅうごめんなさいですが、いまこのまちにレーヴァテインとわたしいがいにぶれいが二つ、かんじられます。」
「二つ…だと?」
おそらくひとつは昼間襲ってきた大剣少女だろう。
ではあとひとつは?
別の武霊の所持者が紅汰や自分を襲ってくるかもしれない。
そう考えた時だった。
首にナイフを突き刺された少女が突然ムクリ、と起き上がった。
グングニルが風魔に飛び付く。
「い、いきかえったのですか!?」
「いや、あれだ!新手のウィルスだ!!皆噛まれたらゾンビになっちなうぞ!!!」
流石の風魔もビビった。
同時刻 紅汰
「……やっぱり、あんたが人斬りか。白音。」
紅汰の前に長刀を持った鞘無しの佐々木白音が現れた。
「フフフ、まさか武霊が三つも集まるとは、グラムさん収穫ですね!」
「主………学習してくれ………。」
物影から二人の会話が聞こえた。