表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と神様の異世界冒険記  作者: サイトゥー
第一部 始まりに至る物語
43/113

46 長刀少女と大剣少女

新連載『Lの事件簿』はじめました!!!是非見てください!!!!

紅汰は風魔と別れた後、街の中を歩き回っていた。

だが途中で雨が降ってきたため、近くにあったバーに雨宿りで入る事にした。

ロンドの街は例えるなら中世紀のロンドンに似ているっぽい。

っぽいというのは単純に紅汰が中世紀のロンドンを見たことがないからだ。


バーの中に入り、中に居た別の客達の視線を浴びながら紅汰は端のテーブルに座った。

「(さて…どうするか………。)

バーの中はヤクザっぽいおっさんばっかで話し掛けたら、囲まれそうだ。

もちろんフルボッコだが。


紅汰は壁に寄りかかり店内の様子を伺う。

店内は木製のテーブルと椅子、あとは怖いおっさん達とタキシードを着たバーのマスターと………………そのマスターの前の椅子に…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

……………………長刀を帯刀している少女がいた。

紫の長髪は縛ってまとめてある。

紅汰の場所からは、顔が見えないがさぞ可愛い容姿なのだろう。

長刀は持ち主の身長よりも遥かに長い一メートル七十センチぐらいの長さ。

その手には牛乳が入ったガラスのコップ。

明らかに周りから注目されている。

と、その内の二人が少女の隣に近寄り下心丸出しの笑顔で話し掛けた。

「へへへ、お嬢ちゃん。何でそんな長い刀持ってんだ?」

おっさんの問いに少女は無言で答えない。

「もしかして、お嬢ちゃん噂の人斬りじゃねぇのか?」

またも少女は無言で答えない。

「黙ってんなら警察に通報しちまうぜ?嫌なら俺達を遊ばねぇか?」

おっさんはゆっくりと少女に手を伸ばす。

そして、






その手を紅汰が掴んだ。

「いい年こいてナンパか?おっさん。」

「何だてめぇは!」

おっさんは掴まれた手を振り払おうとするが、出来ない。

「ったくよぉ。だからさ、いい年こいてナンパか。このロリコン変態野郎。」

紅汰の言葉にキレたのか男が掴まれてない方の手で紅汰を殴ろうとしたが、

紅汰は掴んだ手を力いっぱいに適当な方向に捻った。

グギャ、と骨が粉々になる音が男の手から聞こえた。おまけで、腹に軽めのパンチ。

男が床に崩れる。

あと一人の方も睨み付ける。

「帰れ。ナンパなら外でやれ。」

睨みが聞いたのか、男二人は一目散に店から出ていった。

店内の客は紅汰が睨みつけると、そそくさに紅汰と少女から視線を離した

紅汰はひとまず安心して、少女に話し掛ける。

「大丈夫か?」

「……………………なんで、手を出したの?」

幼さが残る少女の言葉に紅汰は戸惑う。

「いや、その、女の子が絡まれてたら助けないと。なんか何も出来ない自分を恨むんだよね。」

少女は無言で、紅汰を横目でチラッと見た。

可愛い。まるでアニメに出てくるロリキャラだ。

「……隣、座って。」

「良いのか?」

こくん、と頷く少女。

遠慮なく隣の椅子に座る。

と、少女はさっきまで自分が飲んでいた牛乳のコップを紅汰に差し出した。

「………あげる。」

「(……………えぇ…………。)」

牛乳をまじまじと見詰め、横にいる少女に聞く。

「これ…さっきまで飲んでたやつだろ。良いのか?」

またも少女はこくん、と頷いた。

しかし、流石に遠慮がある。

飲みかけが嫌な訳ではないのだが…少女の方は気にしないのかと気になる。

と、迷っている紅汰に少女は再び話し掛けた。

「貴方は……見ない顔だけど、外国から来たの?」

「あぁ。この街にいる人斬りと殺人鬼を捕まえるために来た。今情報集めてるんだけど、何か知らないか?」

紅汰の質問に少女はこくん、とまた頷いて答えた。

「人斬りは……夜、この街の不正行為をしている政治家を斬っている。別に無差別に殺してはいない。………………殺人鬼の方は一週間に四回、女性を惨殺している。被害はもう二十人。」

ということは殺人鬼の方はもう五週間前、一ヶ月ちょっと前に現れたということになる。

「殺人鬼の方は目撃情報があって………身長二メートル越えのナイフ使いだって。」

「うぇ…二メートルかぁ。顔面殴れねぇな。」

少女は突然、紅汰の顔を見詰めた。

ちょっと驚く紅汰。

「貴方は…人斬りの事、どう…思う?」

「どうって………………………そうだな、多分人斬りは…良い人なんだろうな。正義感が強くて優しいけど、不正が行われている事が許せなくて、でもどうすればいいかって分かんなくて、殺すっていう手段しかなかったんだろうな。」

「……貴方はそんな人を捕まえるの?」

「人斬りがどんなに優しくて良い奴で、どれだけ高い理想を思い描いた所で結局は人殺しだ。」

紅汰の言葉に少女は一瞬だけ、哀しそうな表情を浮かべ、席を立つ。

「人斬りも……もっと早く貴方に会えてたら人殺しなんてしなかったでしょうね。」

ポツリと呟いた少女の言葉を紅汰は上手く聞き取れなかった。

「え?」

少女は紅汰に背を向けると、店の出口へと歩き出した。

「あっ、あの、」

つい、呼び止めてしまった。

「……私の名前は佐々木白音(ささきしろね)。」

それだけ言うと白音は店から出ていった。



「佐々木…白音?」

どっかで聞いた事がある名字だ。

だが、思い出せないと覚ると紅汰は白音が残した牛乳を全部飲んで、代金を支払い店から出た。

雨は止んでいた。





























その頃の風魔

「(…………………さて、どうするか。)」

風魔は人気の無い道で、立ち止まりチラッと後ろの柱を見る。

なんか尻が出てる。

女っぽい。

すると、柱から少女の顔がチラリと出てきたと思いきや、風魔が少女の方を向いていると、分かると直ぐに顔を引っ込める。

だが尻は隠れてない。

頭隠して尻隠さず、とはまさにあの事だ。

実の所十分前からあの少女に付けられている。

もちろんモロバレだ。

「(まさか……殺人鬼か?いや、それにしてはアホだ。人斬りって訳でも無さそうだが……。)」

いっそ話し掛けてみるか。と、思った瞬間、


目の前に大剣が降り下ろされた。

ドンッ!!と、大剣が地面に叩きつけられる。

大量の砂煙が発生し、風魔の姿が見えなくなる。

「ふぅ…殺ったかな?」

少女は片手で額の汗を拭い一息吐くが、

「最近の女の子は随分と物騒だな。ストーカー相手をいきなり殺すのか。」

「あれ?ミスっちゃいました?まぁいいです。また殺ればいい話DEAH☆」

少女は地面に食い込んだ大剣を持ち上げ、刃を風魔に向ける。

「何者だ?人斬りでも殺人鬼って訳でもなさそうだし。」

「フフッ、私はただ貴方の持つ『創界の鍵』が欲しいだけです。」

創界の鍵を知ってる?

あの少女、ただ者じゃないな。

てことは、あの大剣も創界の鍵である可能性が高い。

だが、どっちみち手こずりそうなので『限界突破(オーバーロード)』を使わせてもらう。

「悪いな。」

「何がですか?あ、創界の鍵を渡してくれるなら見逃しますよ。」

「違う。俺は自分に殺意を持ってる女には絶対手加減しないからだ!!」

突然、少女の視界から風魔が消えた。

突風が発生し、少女の動きを数秒止める。

その時、何者かの手が少女の首と頭を掴んだ。

そして、



風魔は掴んだ両手を力任せに捻った。

ゴギッ、と嫌な音がして少女が地面に崩れ落ちる。

大剣が鈍い音を立てて、地面に落ちる。

「フフッ………………他愛ない。」

まさか昔必死に練習したゲームの体術『処刑』がこんな所で役立つとは思わなかった。

一応死んではいない、『はず』だ。

加減は…してないけど。

腕力の限界を超えて、処刑をやったら確実に相手の首が千切れる。

とにかく風魔は少女が死んでないと確認すると、その場から急いで逃げた。








少女の大剣が銀色の光を発し、銀色の男性が現れる。

「主?大丈夫か!?」

動かない主を男性は揺する。

死んではいない。息はある。

創界の鍵を奪おうなんて提案した主はアホだが、流石に無謀すぎた。

相手はグングニルの所持者、そう簡単に倒せる訳がない。

主を気絶させた相手に男性は怒りよりも感謝の気持ちがあった。

無謀すぎる自分の主の良い経験になったからだ。

気絶で済ませて事に男性は心から感謝した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ