5 前回、タイトルがまともだった件につい て「焦ってた。」
すいません、前回。
今回はちゃんと投稿します
「黒雨の祖母、風魔月詠殿は我々兄弟、特に姉上と仲が良かった。」
「お姉さんと?」
修羅が走り回っている黒雨と希殺羅を眺め当時の事を思い出す。
「月詠殿は姉上こと神己刹那、鬼神の鬼真勇己と並ぶ世界三大最強美女と言われていた。」
当時のことをさらに思い出したのか修羅と忌羅の顔が青ざめる。
「どうかしましたか?」
「いや、昔……月詠殿に忌羅と二人で挑んだら十秒経たずに負けた。」
「えぇっ!?」
あの怪物を一撃で倒した修羅と同等またはそれ以上の実力を持つ忌羅でさえ十秒もたなかったのだ。
「あの女、まさに天魔の名に相応しかった。私も一瞬でやられるとは思わなかった。おそらく姉上よりも強いだろう。」
「ん?……あれ、そう言えば最初、風魔月詠って言いました?」
いまさら気付いた紅汰。
大切なことは後になってから気付くのだ。
「おそらく、黒雨の姓名は黒雨ではない。風魔だ。」
希殺羅のメイスが乱暴に振り回される。
「こんのぉ!」
黒雨も遂に反撃に出たのか隙をついて希殺羅に殴りかかった。
希殺羅はメイスを降り下ろし黒雨の脳天を砕こうとする。
黒雨の拳と希殺羅のメイスがぶつかった瞬間、
希殺羅のメイスが砂と化した。
「な……」
驚く修羅。
「ほぉ。」
感心する希羅。
「え?」
何が起きたか分からない希殺羅。
「忌羅……」
修羅は自分の兄に真剣な声で話しかける。
「あぁ、これで少しは退屈しないな。」
「そういう問題ではないぞ。」
修羅の服の右の袖から鎖が飛び出した。
「わっ!?」
鎖が希殺羅の小さな体を縛り付ける。
「そこまでだ。二人とも。黒雨、これを。」
修羅は急ぐように懐から金色の紐がついた御守りを取りだし黒雨に投げ渡した。
「姉上が来るまえに……」
言いかけた修羅の声が止まり、希殺羅を鎖から解放する。
「誰が……来る前にだって?修羅。」
修羅邸の庭にいる全員に鋭く狂喜溢れる女性の声が響く。
そこにいたのは、
「姉上……」
修羅はおそらく自分の家の屋根の上にいるであろう人物を読んだ。
「そこのガキ、二人には自己紹介してなかったな。私は神己刹那。」
刹那は歓喜に満ちた声で黒雨を見つめた。そして、
「世界最強の妖怪だ。覚えとけ。」