21 学校にはめっちゃ嫌な奴は十人はいる
ペンドラゴン王国 会議室
ドン!会議室の机が思いっきり叩かれた。
「なんで救出に行けないんだ!!」
「落ち着いてください、紅汰。ただ拐った相手が魂狩りとなると円卓の騎士達でも無茶な相手なのです!」
現在、会議室では風魔が誘拐された件で騎士達、紅汰、ルーシャが集まって会議中である。
「なら、他の国から増援でも頼めば、」
「残念ながら、この大陸上の人間の王国はバビロニア王国しかないのです。しかもバビロニア王国とはちょっと仲が悪くて……。」
「なら……俺が頼みに行く。」
「駄目です!」
ルーシャが怒った声とともに紅汰の胸ぐらを掴む。
「バビロニア王国の王、ギルガメッシュは残酷で傲慢な王として有名です。そんな奴に頼みなどすれば紅汰が危険です!」
負けずと紅汰も言い返す。
「風魔の命には変えられない!あいつは俺の親友だ!」
「うん。流石だねぇ、親友の為なら自分の命も惜しくないって。」
『!!?』
その場にいる全員が驚いた。机の上に突然、男性が現れたのだ。
ルーシャと紅汰以外が剣を鞘から抜刀する。
「何者だ!」
ガウェインが男性を睨み付ける。
「いやいや、失礼。ノックすればよかったね。僕はウィル。紅汰君とは面識があった筈だよ。」
「ウィルさん、何故此処に?」
ウィルの銀色の瞳が紅汰を見る。
ウィルは軽く笑い答えた。
「君に聞きにきたのさ。風魔は大丈夫だよ。彼は今頃、鬼神とか天魔に修行でもさせられているんじゃないかな。」
「え?」
「刹那からね、君が風魔に勝ったら風魔を返してくれるらしいよ。だから、君にも修行してもらいたいのさ。」
ウィルが指をパチンと鳴らすと、紅汰の目の前に真っ赤な穴が発生した。
「君の選択肢は二つ。一つは魔界で修行するか。ペンドラゴン王国で修行するか。選んでくれ。この赤い穴は魔界へと続く道だ。」
「紅汰、信用してはいけません。この男は妖怪ですよ!」
ルーシャが忠告をする。
「僕が何者かなんて言っても信じないだろうし、言いたくないね。ただ、君が風魔に負けると風魔は永遠に刹那の物になっちゃうよ?」
ウィルの言葉が紅汰を焦らせる。
そしてゆっくりと魔界へと続く穴にゆっくりと手を伸ばす。
ルーシャがその手を掴む。
「紅汰は、それで良いのですか?魔界は人間が最も恐れる場所ですよ。」
「良いんだ。これは俺が決めた事だからな。」
「なら……私も行きます。」
『はぁ!?』
突然のルーシャの発言に騎士達が全員席を立った。
「ランスロット、ガウェイン、統治は任せました。」
「姫様!それはな「ランスロット。」
反論しようとするランスロットにガウェインが耳打ちをした。
ランスロットの険しい表情が穏やかになった。
そして円卓の騎士達が一斉に紅汰に頭を下げた。
「紅汰殿、どうか姫様をよろしくお願いします!」
ガウェインだけ土下座する。
「決まったようだね。じゃあ、魔界で夫婦旅行を楽しんでくれ。」
そして紅汰とルーシャの魔界旅行が始まった。
その頃、風魔……
「捕まった…………。」