19 朝起きてみれば首がグギッ!!!
「どうしてこうなった…………。」
「話をしよう。あれは今から四時間前の出来事だ。俺、風魔十六夜は神己赦奈と喫茶店でお茶をしていた時だ。」
四時間前 喫茶店
「!?」
赦奈が突然、何かを感じたように立ち上がる。
「どうした?」
「…………」
赦奈はガラス越しから外の様子を観察する。
「おい、赦奈…」
そこで俺の意識が途切れた。
「姫様、大変です!!」
朝から昼過ぎまで紅汰を殴るルーシャを止めようとして巻き添えを喰らっているエクスカリバーの三人の部屋に細身の男騎士が入ってきた。
「なんですか、ランスロット。またガラスを割ったのですか?」
「違います!侵入者が門を破壊し国内に侵入しました!!報告では風魔殿が連れ去られたようでぅ、くそ!咬んだ!」
「おや、遅かったようですね。門が見事に破壊されていますね。」
「…………ん?」
異様な空気を感じて風魔は目覚める。
「お、起きたね。」
ゆっくりと目を開け、風魔の目の前に立つ三人の人生を見上げた。
「…………。」
言葉が出ない。目の前にいるのは刹那、額に黒い角がある美女、背中に黒い翼と天狗の仮面を付けた女性っぽい体型をした人物の三人だった。
「なぁ、連れてきたのはいいけどさ。どうすんの?」
角の美女が刹那に聞く。
「決まっている。私が食べる。」
その言葉を聞いた瞬間、覚醒し逃げようとしたが、両手両足が縄で縛られていた。
「おやおや、独り占めですか?」
仮面の女性が物静かな声で刹那の横顔を見る。
「そうだよ。あたしも酒の一杯ぐらい交わしたいんだけど。」
仮面の女性の意見に角の女性も賛成する。
「……分かった。一人、一日だ。殺さなければ何をしていい。」
刹那は魔神の笑みで風魔を見下ろす。
「それでは、最初は私が頂いてもよろしいですか?」
仮面の女性が風魔の頬を冷たい指で触る。
「じゃあ、あたし次ね。」
「フ、楽しみは最後に取っておくものだ。最後は私が貰う。フフフ。」
そして現在、仮面の女性に連れて行かれ、縄をほどかれ、豪華な部屋の豪華な椅子に座っている。
仮面の女性がカップに紅茶を注ぐ。
「自己紹介が遅れましたね。私は炎椿、天狗の長、『天魔』に勤めております。どうぞよろしくお願い致します。」
丁寧に腰を曲げて挨拶する椿に乗り、風魔も椅子から立ち上がり同じように腰を曲げる。
「風魔十六夜です。えーと、脅迫されて教師やってます。
「ふふ、面白い人ですね。」
風魔の手前のテーブルに紅茶が置かれる。
「さて……何をしましょうか?」
「え?……」
椿が仮面を外す。黒髪の凛とした顔が現れる。
「刹那さんが食べる前に私が頂きましょう。」
椿が顔を風魔にぐっと近付ける。
「あ、いや、俺蕎麦と紅茶しか食べてないんで食べたら食中毒で死にますよ!!」
「そうでしょうか。私は妖怪なので人間よりも丈夫なのですよ?」
風魔は考えを巡らせ、この状況をなんとかしようとするが椿にベッドに押し倒されてしまった。
「月詠様の孫とお訊きしましたが、本当にそっくりですね。」
椿の艷のある舌が風魔の首を舐めまわす。
「え?ちょっ、ま、な、何?」
「?もちろん食べるのですよ。貴方を。」
椿の行動を理解できない風魔は混乱する。
「え、腕とか引きちぎって食べるんじゃないんですか!?」
「私は血を見るのは嫌いです。おそらく貴方が仰っているのは食欲的な意味でしょうが、私や刹那様が仰っているのは性的な意味でです。」
「性的?何それ美味しいの?」
数秒椿は黙り、今度は風魔の胸に顔を埋めた。その顔は少し赤い。
「では、この天魔たる私が直々に教えてあげましょう。風魔十六夜様。」
「まっ、ちょっと、誰かhelp meーーー!!!!!」




