14 明日から学校再開、しかもテスト……
明日は多分更新できません。
なので番外的なものを描いてみました。
ぴりりりりりりりりり、ぴりりりりりりりりりりりりり
彼の携帯電話がうるさく着信音を発する。
(着信音変えようかな。)
心の中で呟き、彼は液晶に表示された名前を見て電話に出た。
「やぁ。珍しいね。君からかけてくるなんて。」
「そうだな。今日はお前に聞きたいことが山ほどあるんだが。」
電話越しに聞こえる低く響きのある男性の声、相当怒っているね。彼はなんとなく察知する。
「何かな?丁度暇だし、答えてあげるよ。」
「そいつはありがたい。なら担当直入に聞く。何故『創界の鍵』を二つも手放した?しかも異界からの人間に。」
「僕が持っていても何も楽しくないからさ。」
「レーヴァテインとグングニルの恐ろしさを知っているだろ!レーヴァテインはあらゆる次元、世界をバラバラにして関係の無い次元同士を結びつけ再構築してしまう世界のバランスを崩す最も危険な鍵なんだぞ!!」
うるさいなぁ、そんなんだと血圧上がっちゃうよ?なんて言ってしまおうかと思ったがさらに怒るので止めておく。
「グングニルはどんな次元も貫き、世界を覆うお前が張った結界も破られて異界のモノが別の異界に流れ着くかもしれないのだぞ!!」
「僕だって君に言われなくてもあの二人、レーヴァとグングニルの力は十分知ってるよ。でもね、この二つは君の創造を遥かに超えるほどの力をずっと昔に得ているんだよ?」
「なんだと?」
「レーヴァテインは悪魔神と破壊神によって持ち主の想いを無限の破壊へと変える。グングニルは元は鬼神族が所有していたけど、三人の女性が自らの魔力を注ぎグングニルは実体を持ち貫いたモノ全てに関連するモノを貫く力を得たんだ。」
「まさか!あの妖怪どもが!?」
「言っとくけどそうさせたのは君達人間だよ?妖怪たちの領土を侵略の挙句、死の大地にした愚かな人間に対抗するためにね。」
「だが、核兵器と鍵では鍵の方が圧倒的に、」
「彼女等にはそれしかなかったんだよ。共に杯を交わした仲間を灰やただの肉片に変えられ、その上思い出の地を住めなくされた彼女等の憎しみは君には分からないだろうけどね。」
「だが何故、妖怪達はグングニルを使わなかった!?報復を恐れたからではないのか!!」
「はぁ。違うね。たった一人の女性が止めたんだよ。復讐しても仲間は戻ってこない、殺しても生まれるのは憎しみと悲しみだけだとね。」
「何?」
「人間と妖怪の戦争に終止符を打ったのは人間であり妖怪であり、そして世界最強の女性で天魔と呼ばれた人だ。絶対に人間の勝利などとは言ってはならない。妖怪が、君達の敵が命を使って戦争を終われせたんだ。僕は彼女の意志を尊重する。」
「…………」
「それを汚す輩は絶対に許さない。」
彼の声には意志がある。話し相手は黙ってしまう。
「…………」
「……何か、君と話しているとイライラするね。そうだ、最後に言っておこうかな。君の上司、いや首相に言っておくんだね。『たかが人間が思い上がるな。天災の神は決して貴様等の行いを許しはしない。歴史の改ざんなどすると天災が全てを消す。』とね。」
「……」
「じゃあね。」
彼は電話を切った。特にイラついている様子はない。
「いや、許せるかな。『真実』を告げればね。」