表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と神様の異世界冒険記  作者: サイトゥー
天と地 運命の夜
110/113

孤高なる武神

男の話をしよう。剣と戦で赤く染められた彼の生涯を。


彼は産まれる前から周囲に注目をされていた。


「彼の実験は成功するだろうか?」「彼は父親のようになれるか?」


彼は実験体だった。彼を身篭った母親に禁忌の魔法の印を刻み込み、産まれてその力が世界を左右する程の力を持つかと言う、正気の沙汰ではない実験の。


そして産声を上げた彼を見て、周囲はこう言った。


「駄目だ、また、失敗だ。」


彼は産まれて直ぐに欠陥品と言われた。産まれたて赤ん坊には何を言っているのか分からなかっただろう。だが、彼は違った。母親の胎内で外の言葉を理解し発音していた。

だから、自分が何者であるかも当然理解していた。

世界を左右する程の力を持ち、また、利用されるだけの怪物だと。


だが、彼はそれでも良かった。彼はただ、誰かに必要とされたかっただけなのだから。


故に、彼は欠陥品と言われた時に怒りを露にし、鼓膜が張り裂ける程の怒号を上げた。


周囲にいた者達は死んだ。母親は生きていた。兄弟も。


彼の凄まじい憤怒は彼の限界を直ぐに見せた。


彼は体が弱かったのだ。人形のように細く、繊細で、華奢で、そして女神のように美しかった。しかし、彼には美しさなど不要。


そんな彼に、阿修羅と呼ばれた兄弟は『力(能力)』を与えた。


『神羅万剣』、剣を食らえば喰らうほど力を増し、喰らった剣を何度でも製造できる。まさに、戦いだけに特化した能力だった。


彼は力を使って自らの体を強化した。


世界の果てを旅し、龍神神話に描かれた孤高なる武神の大剣を手に入れ、


更に策略と芸術の街に行き、恋人によって暗殺された悲劇の唄姫が愛用した大剣を手に入れ、


極東の国の戦に参戦し、敵を懺滅し血肉と骸の丘を作り上げた。


そしていつの間にか、『孤高なる武神』、『金色の武神』と呼ばれるようになった。


彼はいつも孤独だった。家族がいようと、愛を囁く女がいようと。


ただ、ほんの一時、とても短い間だけ、彼は孤独ではなくなった。たった一人の少女の存在で。


彼は孤独(孤高)


誰にも理解されない(触れられない)


骸の丘で邪悪(哀しげ)に笑う


戦場に立ちくし、骸の丘を見上げる(そして鉛の涙を流す)


人にあらずの身(化物)、金色の武神(武人)


故に、生涯に意味は無く(空虚な心)


その名は問うにあらず(誰にも語られない)


彼は決めた、奉げよう。(この命と剣、全てをある女のために)


一人の女の為に。(私が愛した、自ら触れることさえ出来なかった女のために)


この体は『無限の剣』で出来ていた。
























昔のことを思い出した。『ワタシ』と言う全てを。

この世に生を受けたあの時から私の心には戦いしかなかった。

母上は、そんな駄作の私を嫌という程可愛がってくれた。何故自分を捨て何処かに消えた父親にそっくりな私を育てたのか。母上にとって私は憎んだ夫そっくりの息子のはずだ。私の赤い双眼を見るたびに辛く、憎むべき過去を思い出しただろう。

何故、私を棄てなかった?何故私を……た?

何故だ、母上。貴方は私のような戦いと欲しかない駄作で自分を棄てた忌々しい男の子供のはずだ。なのに、何故だ。私には未だに分からない。誰も教えてくれない。

いや、私は誰かに教えてもらうなどと言う幸せなことは出来ないだろう。

私は孤独だから。私は愚か。戦いしか能がないから。

だが、私はずっとこの答えを探している。


月詠、そなたなら私に教えてくれるだろうか?

私の母上の行動を。

















妖怪の山 


「……っ。いつの間にか眠っていたのか。」


目覚めた途端、体の節々からの激痛が私を一気に覚醒させた。

記憶を探り、何が起こったかを鮮明に思い出す。


「…L、いるか?」


無意識に言葉が出た。確か私はLの魔法剣の誤爆によって吹っ飛ばされたのだ。

眩暈を振り払い、木に寄りかかりながらも立つ。そして自分の体に異常がないか確認。ふむ、特になしだ。

どうやらLとは離れてしまったらしい。気配が感じられない


「…行くか。」


レギを担ぎ、私はとりあえず高い場所へと登った。






同時刻、風魔。


「グングニルゥゥゥゥゥ!!!!何処だァァァァァ!!!」」


風魔は半狂乱で妖怪の山を駆け巡っていた。誰かに後ろから攻撃されたらしく、目覚めるとグングニルのペンダントが無くなっていた。


「グングニルゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!」


能力半分出力、髪は紅蓮となり腰まで伸びる。背中からは巨大な翼が出現し、周囲の敵をなぎ払っていた。


「くそっ!!!」


そして風魔は激情していた。こうなったらもう止まらない。彼の親友の言葉である。


「おおおぉぉぉぉぉっ!!!!」


轟々しいまさに竜の咆哮のような叫びを上げ、風魔は敵軍に突進していった。














その男はとある山の頂上に立ち、目の前に広がる光景を微笑んで笑っていた。

彼の目の前には禍々しいオーラを放つ泥の池だった。その泥には触れたものを池の底へと引きずり込むのではないかと言うぐらいに蠢いていた。


「随分と楽しそうだな。」


彼の背後から声が掛けられた。何所と無く、懐かしさを感じさえる声だった。彼は振り向いた。

そこにいたのは白衣を纏った銀髪の青年だった。だが、彼からはその優しげな容姿からは絶対に出せない邪悪さと残酷さが感じとれた。


「誰だ。」

「ん?私を忘れたか、まぁ無理もあるまい。この姿では誰だか分かるまい。」


自虐的な笑いを洩らす青年の右腕が巨大化し、巨大な爪と見る者を脅えさせる悪魔の手となった。


「神殺し、お前のその能力はゲームにフェアではない。私が貰おう。」


この世のどんな悪よりもなお黒い笑みを浮かべた青年に男性はかつての上司を思い出した。


「まさか……きさ、いや…貴方は、なっ!!?」


青年の正体を理解した彼の胸に青年の悪魔の手が貫いた。しかし、血も肉も出ない。男性は無傷だった。瞬間、男性の胸が光り、彼の力を奪っていった。

青年は右手を引き抜くと、また黒い笑みを浮かべた。


「確かに。お前の能力は貰ったぞ?」


男性は地面に膝を付き、必死にその身に圧し掛かる吐き気を催す邪悪と恐怖に耐えていた。


「死んだと聞いていたが、生きていたとはな。まぁ良いさ、あとはあの子達に任せよう。」


淡々とした声で、青年は男性を見下ろした。男性の頭があがり、青年と目が合う。


「何故、貴方が…此処に、死んだ…はず……。」

「ん?失礼だな、人を幽霊扱いするな。まぁ、普通ならありえないだろうけどな。」


意味不明な言葉を吐いて、青年は踵を返し歩き出す。


「君が何をしようと必ず死ぬ。これは確定だ、お前はチェスで言うチェックメイトにはまったのだ。いや、お前は王ではないな。ただのポーン(雑兵)か。」


それだけ言い残して青年は一瞬でその場から姿を消した。




















忌羅は歩いている途中に、何故か昔のことを思い出した。自分がまだ幼く、母親と兄弟と暮らしていたあの黄金の日々を。




「忌羅ちゃ~ん、おいで~。」


背後から凄く甘く、魅惑的な声が掛けられた。母上だ。振り向けばいつも抱き着いてくる母上。


「ん~、やっぱり可愛い~!」


特に抵抗もせず私は母上に持ち上げられる。そして母上に抱えられ、部屋へと戻る。抱きしめられていても私はなんの感情も抱かないし、表情にも表さない。いや、表せない。この頃の私には疑問と怒りしか表せなかった。


部屋に戻ると、兄上の阿修羅。姉上の刹那。弟の修羅。妹の赦奈。妹の希殺羅がベッドの上で戯れていた。


「きゃ~っ!皆可愛い~!」


私を抱きしめたまま、母上はベッドに飛び込み阿修羅達を抱きしめた。


「私の子供だけあって可愛いわ~、食べちゃいたいぐらい可愛いわー!」


私達の頭や頬を撫で、ついには頬を擦り付けてくる母上。何故こんなにも楽しそうなのか。


「母上、今日はお仕事は大丈夫なのですか?」


まだ幼い感じだが大人びた顔の修羅が母上に聞く。母上は苦笑いして、修羅の九本の尻尾に顔を埋める。


「良いのよ~、今日はサボって皆と遊ぶわ!」


母上の満面の笑顔。母上が一番子供っぽいのでは?と思うほど母上は無邪気で、そして残酷だ。


母上の仕事は九尾の狐の一族を治め、人間に神託を告げるいわば、『神』らしい。私にも詳しいことは分からない。ただ、母上が仕事をしている時だけは別人ではと思うほど性格と雰囲気が変わっている。

仕事中は一人称は「わらわ」だし、常に殺気と呪術を放ち相手を恐怖で縛る。まさに、『女帝』と言うぐらいの恐ろしき女性だ。


「一日ぐらいサボっても誰も私に意見出来ないわよ~。」


尻尾を使って私達を引き寄せ、膝の上にのせる。希殺羅と赦奈はまだ産まれたばかりなので、本能のままに母上に抱きつく。

姉上も甘えたいのか、母上の膝の上で丸くなる。

修羅や阿修羅は甘えると言う行動が理解できないのか、首を傾げとりあえず身を母上に預けた。

私は特に何もせず、紅い双眸で母上を見上げた。


「ん~?忌羅ちゃん、どうしたの?私に見惚れちゃった?きゃ~!良いわね!忌羅ちゃんとデート!」

「母上は、何故……私をこのようにするのだ?」

「ふぇ?このようにって?」

「何故、私を愛でるのだ?」

「そんなの、家族だからじゃない。あと私の可愛い~子供よ。」


当たり前だ、と言う感じで母上は私を持ち上げる。


「忌羅ちゃんは~特にイケメンでぇ~魂も結構純粋だからね。将来は良いお嫁さんを貰って幸せになるのよ~?」


眩しく微笑み、私の瞳を覗く母上。

違う。そうじゃない。


「母上は、何故父上に似た私を愛でる?」

「ん~?」


私に父上との関係を言われても母上の笑みに変化は無い。

私達の父親、神己骸は母上を捨てて何処かへと消えた。阿修羅も修羅も私も父上に似ているが阿修羅と修羅はまだ母上寄りなのだ。私は完全に父上と同じ顔である。紅い双眸に白い肌。そして笑みはいつも邪悪に歪む。魂の形質までもが同じなのだ。

そんな私を愛でても、母上は父上を思い出し悲しむのではないのか?


私は再び母上に聞いた。


「あのね、忌羅ちゃんとかは時間が掛かっちゃうかもしれないけど、それが…なのよ。私はあの人を……………の。だから、私は貴方達を…………の。あの人が何処かに行ってもこの思いは変わらないわ。」


一部がよく聞き取れなかった。首を傾げる私に母上はそっと囁いた。


「貴方にも、きっと大切な人が出来るわ。その時、貴方は分かる。私達の…を。」


妖艶と微笑み、私を抱きしめる母上。


「貴方はひとりぼっちになってしまうかもしれないけど、きっと貴方を理解する人に会えるわ。それまで、頑張りなさい。忌羅。」






その時母上が囁いた言葉の意味を私はずっと探している。





















私は数分歩いてある山の頂上にたどり着いた。

だが、その瞬間凄まじい殺気と憎悪、禍々しさが私の体に波のように圧しかかってきた。

……私は踏み込む。何も恐れることなど無い。


「………。」


私は目の前に広がる光景に体が一瞬だけ硬直した。しかし、一瞬で殺意が体中から溢れ出た。理性でコントロールできないほど、今までに無い程の殺意と憎悪が私を修羅場へと踏み出せた。

その場には見るだけで吐き気を催す程の邪悪さを放つ泥の池があったからだ。

そして私が殺意を向けるそれは池の前に立っていた。

男だ、黒い髪で長身。体には黒い外套を巻いているが、あの体から出る膨大な魔力と肌にくるこの悪寒。それらが男が何者であるかを私に思い出させた。


「久しいな、金色の武神。」


男が振り向きさまに私に話しかけた。私はレギの刃を地面に突き立て、返す。


「そうだな。今更過去の亡霊がこの山に何の用だ?返答次第では叩き斬る。」

「何、安心してくれ。邪魔さえしなければ俺はお前達には危害を加えない。」

「そんな言葉を吐くならまず後ろの悪趣味な池を消せ。目障りだ。」

「それは無理だ。この池は俺の目的を果たす為に必要なモノだからな。」


この男とは会話が成立せん。斬る。

私はレギを引き抜き、切っ先を男に向けた。


「おいおい、義理の家族に剣を向け「黙れ雑種風情が。貴様が我が身内を語るなど我が一族全員への侮辱だ。だから死ね。」


地面を蹴って、レギを水平に払う。男の首に迫った瞬間、黒い液体がレギの刃を止めた。男が液体を纏わせた拳を振るい、私を吹っ飛ばす。

地面を何度か転がった私は爪先で地面を削り、停止。すぐに蹴って再び接近。

レギを振るう。何度も黒い液体を切り裂き、レギが男を切り裂こうとするが男はいつの間にか私の背後に接近し、拳で背中を打ち抜いた。

今度は顔面から地面に叩きつけられる。即座に体を捻って追撃を回避する。


「無様だな、金色の武神も結局は剣を振るうだけの狐だな。」


男は嘲笑し、私に歩みよる。

私は顔に付いた泥を袖で拭い、レギを構える。


「馬鹿は死ななければ治らないな。頼れるのは剣だけか、頼る仲間もいないとは…まさに孤独だな。」


男の口元が嘲笑うかのように歪む。私は顔色一つ変えず、レギを構える。


「そうだ。私は孤独だ。誰も頼らぬ。死ぬ時も孤独に寂しく死ぬ。後には何も残らない。それだけだ。」


目線で発動。私の背後の空間が歪むと目を覆う程の剣が出現する、剣の銀河とでも例えるか。神羅万剣を今こそ解き放つ。

今、私の背後で展開する剣は私が今までに喰らってきた全ての剣を大量に複製した本物以上の力を誇る贋作。その数は森羅万象この世の全てより多いと私には確信があった。


神羅万剣ワールド・ブレイド!!」


私の合図と共に剣が男に殺到。逃げ場となりそうな場所にも剣を放ち、完全に包囲する。

剣の一つ一つが描く輝く影と着弾による爆風で男の姿が見えなくなる。

剣の嵐が殺到する中、私は瞬きをせずにずっと見ていた。

同時に、口の中に鉄の味が広がる。何処か切ったか臓器の何処かやられたか。

だが今はそんなことを考えている場合ではない。

あの男を殺さなければ。私が朽ちようと。


その時だった。爆風の中から黒い槍が飛び出し、私の眼球に迫った。左手を超高速で動かし、寸前で止める。同時に私の腹部に激痛と口から赤黒い塊が吐き出された。

いつの間にか別の黒い液体が地面の下から私の腹部を貫いたのだ。

レギで叩き斬ろうと思った瞬間、今度は背後から黒い液体が私の体を貫いた。液体は私の体の中で形を変え、臓器を掻き混ぜ、破壊し更には心臓や肺へと繋がる血管をも切断した。視界が真っ赤になると同時に吹っ飛ばされた。態勢を整える暇もなく、地面に激突。無気力に地面を転がった。


「剣を振るって、飛ばすしか能がない狐が、俺に勝てると思ったか?」


私は今まで多くの敵と戦った。


毒を吐く不死身の竜。


世界の海の半分の大きさを誇る大海龍。


神をも喰らう巨大狼。


異界の穢れた魔神共。


どれも私の剣が通用した。腸を切り裂き、首を撥ね、体を真っ二つに裂いてやった。


だが、この男には私の剣が通用しない。今の私ではこの男には勝てない。


あくまで今、だがな。


私は邪悪な笑みと共にレギを杖にして立ち上がった。


負ける訳にはいかぬ。あいつの想いを踏み躙ったこの男だけには絶対に。


「体中の血管を潰した。お前はもう助からない。孤独に誰にも看取られず死ね。」


男は酷く耳障りな声で笑う。揺れる視界を無視して、私はレギを構える。


「いや、訂正しよう。俺が看取ってやる。」


男は醜く唇を歪ませ言った。


「月詠にはお前は最後まで誰にも必要とされなかったと伝えておこう。」


バギッィィィィンッ!!!!!!

壊れた。今まで私の心を制御していたモノが。


「aaaaaaaaaaaaaaaaaaaakuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



怒号が竜の咆哮のように周囲の木々をふっ飛ばし、ついには粉微塵にまで分解した。

体中に残されたわずかな血液が沸騰し、湧き上がる。尾が私の憤怒とともに紅く染まり、本数が一気に54本まで増える。もう私は止まらない。


「貴様だけはッ!月詠の意思を穢しッ、踏み躙った貴様だけはッ!!我が全てを持ってでもして殺してくれるッッッ!!!!!!!」

「臓器を破壊したのにまだ動けるか、やはり破壊神の息子は皆化物だな。」


私の体が超高速で回復、再生する。体中が溶岩のように熱く煮え滾り、目の前の悪魔に殺意を見せる。

左手に悲劇の唄姫レインを出現させ、レギと二刀流の構えを取る。私の背後で空間が波紋を生み出し、そこから無限の剣が出現する。


「aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!」


狂気の叫びを上げ、地面を蹴る。男は腕を組んで余裕の笑みを見せる。

私の背後から展開した剣達が男に殺到。しかし、男は黒い液体を盾にして防御。さらに、液体を槍へと変化させ、私へと殺到。

レギとレインで斬る。液体は切断され、ただの黒いモノとなって地面に滲みこんだ。

大剣の刃が男に迫る。液体が防御。形を変形させ、私の心臓を再び貫く前に発射された剣が液体を消し飛ばし私を守る。

斬る。戦いに生きた武神の剣が液体ごと男の命を刈り取ろうとする。

斬る。恋人に暗殺された悲劇の唄姫の剣が男の肉を刈り取ろうと振るわれる。

斬る


斬る。斬る。


斬る。斬る。斬る。


斬る。斬る。斬る。斬る。


斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。


斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。


斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。


斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。


斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。


斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。


斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。斬る。


斬る!!!!!!!!


まさに舞。剣の舞。

レインとレギの刃が風の如き速さで振るわれ、咲き乱れ散る桜のように命を刈り取ろうとする。


「馬鹿め。」


男が呟いた。液体が爆発。私の体を欠片の一つ一つが刈り取っていった。


「聖剣では無い限りこの『我が憎悪、それは憤怒アヴァ・ドゥン』は破れん。」


男の拳が私の腹部に突き刺さった。が、今度はしっかりとレギとレインで両腕を刈り取った。しかし、後方に吹っ飛び地面に転がる。


「お前の邪悪さこそが月詠の意思を穢している。いや、刹那も修羅も貴様も皆、俺の月詠を家族のように扱っていること自体が彼女の思いを踏み躙っている。」


おとこの、声が聞こえた。


私だけ、ならともかく……あんなに月詠が愛した、姉上までもを侮辱した。


コノ男だけは、殺ス。


殺サナケレバならない。


魔力はまだ残っている。


「皆、死ね。俺は皇を復活させる。貴様らは邪魔だ。」


だが、死ぬだろう。


それがどう、した。


まだ答えは得ていない。


母上、兄上、姉上、修羅、赦奈、希殺羅…………




許せ。


お前達の、兄弟は答えを得ぬまま死ぬ。


私がシンでも、お前達は悲しマナイだろう。


それでも、良い。


ただ、私を、


神己忌羅を


忘れないでくれ



私は立ち上がり、二本の剣を地面に突き立てた。


「ん?降伏か?無惨に殺してやろうか。」


邪悪な笑みを浮かばせ、私は男に言う。


「私は死ぬだろう。だが、ただでは死なぬ。」


血塗れの目を開き、男を睨みつけた。


「私が最後に見せるのはッ、我が生涯ッ!我が全てッ!孤高なる武神と呼ばれし神己忌羅の全てだッ!」


ダンテよ、お前にこの瞬間だけ感謝しよう。


使わせてもらうッ!


唇を動かし、言葉を紡ぐ。


身体は剣で出来ている


血潮も骨も、肉も全てが剣


ただ一度も理解されなかった


彼は常に孤高、骸の丘で邪悪に笑う


たただ独り、戦場に独り、立ちつくし骸の山を見上げる


人にあらずの身、金色の武神。その名は問うにあらず


故に、生涯に意味は無くただ剣を振るう


ならばこの命と剣、全て一人の女の為に


その身体は、無限の剣で出来ていた


その場一帯が光に包まれた。





男が目を開けるとそこは山の頂上ではなかった。


血と肉、剣と骸しかない丘だった。一面が鎧と血肉に染まり、その血肉に無限の剣が突き刺さっている。黄昏に輝く太陽と黄金の光が丘を照らす。


その丘に血だらけの金色の武神は立つ。


「貴様が挑むは無限の剣ッ!数々の兵共つわものの証ッ!恐れずして来るがいいッ!!!!」


忌羅が発動したこの丘。


名は『無限の剣光』


神己忌羅が『原典』と呼ばれる魔術を扱う魔術師に頼んで創り上げた『神己忌羅が東方の国で作り上げた血肉の丘』の再現だ。彼は大量の魔力を使うことによってその血肉の丘を具現化したのだ。

この世界にいる限り、神己忌羅は無限の『剣』が精製できる。剣の強度も上がり、骸が相手の血を吸収し力を奪う。



金色の武神は両手の大剣を掲げ、言葉を紡いだ。


「我が剣は常に孤独」


すると、剣が輝きだした。男があまりの眩しさに目を閉じた。


目を開けると、男は驚愕した。


その丘には何十人もの神己忌羅が立っていたからだ。

どれからも等しい殺気と威圧感を感じた。


「我が体は剣で出来ている。ならばこの丘での剣の製造は自由だ。意味は分かるな?」

「なるほど……己を『剣』と認識し、この世界の能力と合わせたか。」


男は感心し、丘を眺めた。微笑。


「だが、どれだけお前がいようと俺には勝てない。剣しか使えない狐ごときが。」


男の足元から黒い液体が出現した。が、瞬時に地面に消えていった。


「……なに?」

「この世界は液体というものは全て骸が吸収する。お前のその憎悪も憤怒も全てこの丘が吸収する。」


忌羅達が一斉に剣を構えた。蹴った。


数十人の武神が男に殺到した。


「aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaakuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


憤怒の怒りを上げ、忌羅達は男へと切りかかった。



















「!!!」



何処かで金色の男性がある山がある方向を向いた。


「どうしたの?あなた?」


隣にいた金色の美女が男性に抱きつく。


「…………そうか。お前は、皆のために尽くしたのか……。」

「ふぇ?どうしたの?」


男性は美女を撫で、邪悪な笑みを浮かべた。


「フッ、お前に似たものだな。玉藻。」

「ふぇ?え、私?」


金色の男性は遥か遠くを見据えた。


「忌羅、お前は……優しい子だよ。また、会おう。…………息子よ。」

















「…………くっ、がァッ……まさか、お前が……貴様、コタローの意思までをも」


肉が裂けて爆ぜる音がした。









風魔は走り回っているうちに近くから『吐き気を催す邪悪』を感じ取った。

その方向を睨みつけると、その邪悪はとある山から感じられた。

瞬間、山の頂上が黄金の光に包まれた。


「なんだ……今の……。」


一旦能力を解除して、風魔はその山へと走っていく。


「おい待て馬鹿。」


突如、襟を捉まれた。ぐぇっと喉の奥が詰まる。

咽ながら、誰かと確認する。


「Lさん?」

「おう。無事でなりよりだ、十六夜。」


風魔は喉を擦りながらLに訊いた。


「どうしました?」

「どうしたもこうしたもじゃねぇ。お前は行くな。」

「……何故ですか?」

「あそこに行けばお前は残酷な選択を強いられる。アレは俺に任せな。」


Lが風魔の肩を叩いて、山へと向かおうとした。

その手を風魔が掴む。


「……説明してください。何故俺が行ってはいけないんですか。」

「……お前、グングニルはどうした?」

「なんでグングニルを「速く答えろ。時間が惜しい」

「……誰かに奪われてしまいました……。」



風魔が下唇を噛む。Lは何かを考え込んだ。


「……………………創界の鍵、皇、魔神、月詠、黒魔術、風魔………………!」


Lは目を見開き、風魔を睨みつけた。あまりの剣幕に気圧される。


「十六夜!お前は両親に会いたいか?」

「え?何故今そのことを……」

「早く答えろ。」

「…………正直、母さんには会いたいですけど……父さ、いや……アイツだけは絶対会いたくありません……。」

「よし、おk。それだけで充分だ。」



Lは一人で納得すると、さっさと山へと駆け出した。風魔も慌てて後を追う。


「ちょっと!Lさん、説明してください!」

「今は時間が惜しいから自分の目で理解しやがれ!ただし俺に付いてくればお前は自分の運命を呪うだろうよ!」


Lの言っていることが分からず、風魔は更なる説明を求めようとしたがLがさらに加速し後を追うのにそれどころではなかった。


「……そういうことかよ……腐ってやがるぜ……あの野郎共…………ッ」


Lが途中でつぶやいた言葉の意味が風魔には分からなかった






山の頂上


Lと風魔は急な登りを苦とせず、頂上へと辿り着いた。

Lは何かあったのか、少し呼吸が乱れている。

風魔は能力で体力の限界を超えてなんともない様子だ。


山の頂上には、泥の湖があった。


しかし、頂上の地表は何かあったのか大量の血と、何かに削られたあとが残っていた。

それらがここで激戦が繰りひげられたのだとLは理解し、踏み出す。


と、そこで地上を黄金の光が覆った。二人はあまりの眩しさに視界が遮断された。


「!?」


視力が回復した二人が目を開けると、Lの目の前には血だらけの忌羅の後ろ姿があった。

腹部や胸にも大きな穴を穿たれ、いつも九本のはずの尾が54本に増えていた。


「おーおー、随分と無残な姿だな。き、ら…………?」


忌羅に異変を感じたのか、Lが彼の前側に回りこんだ。

Lの表情が凍りついた。風魔も忌羅に駆け寄り、その顔を見た。


「忌羅さん…………?」


いつもの殺気溢れる真紅の目は何も見ておらず、光がなかった。

両手に持つ愛用の大剣レギとレインを、地面に突き立て、像のように動かなかった。

風魔がゆっくりとその手に触れると、とても冷たかった。


彼の体中から流れ出る血が地面に流れていく。Lがとても哀しそうな目をして、風魔は理解してしまった。


神己忌羅が死んだのだと。


「え……忌羅さん?なんで、なんで……忌羅さん……?」


彼の体を揺する。しかし、忌羅は動かなかった。


「忌羅さん……忌羅さんってば……ねぇ、忌羅さん……。」


何度も呼びかける風魔の肩をLの手が掴む。


「馬鹿。もう死んでる。遅かったか……。」

「遅かった!?じゃあLさんは忌羅さんが何者かと戦っているのかが分かってたんですか!?分かってたのに俺に説明しなかった!?」


Lの胸倉を掴み上げる。風魔の怒りにもLは冷静に答えた。


「馬鹿が。俺は忌羅がクズに負けるわけがねぇと信用したから、お前に言わなかった。忌羅と俺は数千年の相棒だぞ?信用しなくて簡単に殺し合いができるかってんだよ。」


風魔の手を掴んで、引き剥がす。Lの目を見ると悲しみと怒りが入り混じっていた。


「忌羅はお前に怨まれようと、自らが愛した、触れることさえできなかった女のために最後まで剣を振るった。最後の最後に剣光まで使いやがって……。そこまでお前の母親を、忌羅は愛していたんだぜ。」

「え…………?」


何を言っているのかがよく分からない。


困惑する風魔にため息を吐きながらも、Lは泥の湖の方向を向いた。


「分からないならいい。ただ、これだけは憶えておけ。」


泥の湖の上に、巨大な泥の塊があった。


「孤高なる武神、神己忌羅は、風魔月詠を愛しているのだと。」


ゆっくりと泥の湖の方に歩いていくL。風魔はその場で彼の背中を見ている。


「俺は忌羅が愛とか~のためとか言うのは正直気持ち悪い。吐き気がする。ただ、あいつほどの男が触れることさえ出来なかった女だ。いい女なんだろうな。」


引き締められた彼の目は、まっすぐ泥の塊を睨みつけていた。


「出てきな、もう一度地獄に送ってやるよ。」


構えの姿勢をとる。すると、泥の塊がゆっくりと崩れた。


泥の中から少女が出てきた。


闇よりも暗い漆黒の長髪。血のように赤に染まり生気を失った瞳

身に着けている衣服は黒く、喪服のようにも見えるがボタンなどは見えない。

血の気が無いと思うほどの白い肌に、幼さを残す美貌。


風魔はその顔を見て、グングニルに似ていると思った。


「……お前が、忌羅をやったのか?」

「えぇ……命令でしたので…………」


少女は手についた、おそらく忌羅の血を舐めてLの質問に答えた。

その答えようもグングニルに似ている。


「で、次は俺達ということか。」

「いえ、風魔さんは捕らえよと……貴方は殺してもいいって……マスターが……。」


少女の視線が風魔に突き刺さる。凄まじい悪寒を感じながらも、風魔はLの隣に並び少女に質問する。


「アンタ、誰?」

「あら……?私のことも忘れてしまったのですか……?マスター。」


マスター、その言葉と懐かしさで理解した。

この少女が誰なのかを。


「まさか、グングニルか……?」

「えぇ……私ですよ、風魔さん。」


風魔さん。

以前はマスターと呼んでいた風魔を少女、グングニルはそう呼んだ。

その風魔は


「お前…………随分と大きくなったな!え、何成長期?いつの間に俺より大きくなったんだよ!」

「フフッ……相変わらずですね、風魔さんは……。」


ゆっくりとした足取りで風魔に近付くグングニル。妖艶と微笑む彼女と風魔の間にLが立ち塞がる。


「十六夜。お前は状況を理解してるのか?」

「え、グングニルと会えた…………こ、と……。」


忌羅。思い出した。


先程のLの忌羅を殺したのはお前かという質問でグングニルは「命令だからやった」と答えた。つまりはそういうことなのだ。


「そういうことなんだぜ。この女は忌羅の仇だ。」

「それじゃあ、まさかグングニルを……!?」

「馬鹿。忌羅の仇はこの女とは別だ。問題なのは、この女をどうやって『我が憎悪、それは憤怒アヴァ・ドゥン』から解放するかだ。」


グングニルの足元には黒い泥が渦巻いている。彼女はLの説明にも微笑み、風魔に向かって歩き続ける。


「いいか、お前はこの女と戦え。」

「え!?何言ってるんですか!俺がグングニルと戦う理由なんて何処にもないですよ!」

「拒否権はない。俺はこの女を操ってるクズをぶっ潰す。お前はそれまでこの女とダンスでもしてな。」

「それは無理だな。知恵の神よ。」


突如、グングニルの背後に男性が現れた。

黒の神父服を身に纏い、フードを被っている。

彼の足元にもグングニル同様、黒い泥が渦巻いていた。


「俺の我が憎悪、それは憤怒は破れん。たとえ英知の結晶であろうとな。」

「おうおう。お出ましですか。」

「貴様もあの弧のように殺してやろう。」

「やれるものならやってみろよ。俺に殺される覚悟があるならな。」


神父服の男性はゆっくりと歩き、Lの前までやってきた。

フードを覗き込もうとするが、何故か見えない。


「十六夜、あの女は任せた。」


頷く。風魔はグングニルに手招きして、Lたちから離れた。グングニルも笑みながら頷き、歩く軌道をLからずらす。



Lと男性が対峙する。

Lの両手の黒い手袋が光を発すると、男がLから離れる。


「馬鹿が。」


Lの手袋から男に対して爆炎が放たれた。男は黒い泥を壁にして防ぐ。

今度はLの十本の指全てに魔方陣のようなものが浮かび上がり、魔法が発動した。


圧縮された水

雷級の電気

合金の槍

溶岩のように滾る炎

光の反射放出


五つの魔法がLの十本の指から一斉に放たれた。

黒い泥が壁となって全てを防ぐ。


更なる魔法を発動させるが、全て防がれてしまう。


「お前は眷属達と戦ったのだろう?我が憎悪、それは憤怒は絶対に破れん。」

「はいそうですかっ!」


Lは攻撃する暇さえも与えず、魔法を紡いで放つ。


その光景を風魔は眺めている場合ではなかった。


「フフッ、風魔さん……折角の時間ですから……何かしませんか?」

「何かって……何?」


二人は隅っこで向かい合っていた。

近くでみるとグングニルは風魔より大きくなっていた。

爪先から頭まで見る。やはり風魔より大きい。


「んーやっぱりでけぇなぁ……」

「ふふっ……風魔さんは大きいしかいいませんねっ……」

「だってさぁ……あの幼女が俺より大きくなるってどういうことだよ。」

「良いじゃないですか……貴方を抱きしめられるのですから……」


突然、グングニルが風魔を抱きしめた。

以前は抱きしめるほうだった風魔も今度は抱きしめられていた。


「あぁ……気持ち良い……」

「あ……その……グングニル?」

「風魔さん……」


時間が経つにつれ、グングニルの拘束力が強くなっていく。


「こんなにも、愛おしい……」

「えーと、グングニルさん……?」


引き剥がそうとするも、力が強すぎて風魔ではとても無理だった。

限界突破でなんとかグングニルを少しだけ離す


「ぐ、グングニル……このままだと俺が窒息死するから、一旦離れてくれると非常に嬉しいのですが……」

「フフフ……じゃあ、キスしてください。」

「貴様ら人が一生懸命戦ってるときに何イチャイチャしてんだゴラァッ!!」


グングニルが風魔に顔を近づける。ゆっくりと目を閉じて唇を突き出す。

どうしようかと、動揺しまくる風魔。彼女の唇が迫る。


「んっ……。」


抵抗する余裕がなく、風魔の唇とグングニルの唇が重なった。

心地よい感触と共に眠気が襲ってきた。


グングニルは近くで戦いが起きているにも関わらず、風魔を押し倒す。


「貴様らーッ!この作品を官能小説にするつもりかッ!」

「んんっ…………。」


グングニルと目があう。生気のない瞳だった。


以前の彼女はこんな目はしていなかった!


眠気が吹き飛び、グングニルを突き飛ばす。彼女は地面に尻餅を付いて、不思議そうに風魔を見つめた。


「どうして……?……眠っていれば、快楽が得られたのに……」

「グングニル、お前何があったんだ。」

「なにを言っているので「答えてくれ、お前はどうしてそんな姿になってしまったんだ。」


立ち上がって、変わり果てた少女を見つめる。少女は悲しそうに目を伏せた。


「……私の体は、魂までもが『我が憎悪、それは憤怒アヴァ・ドゥン』の能力によって染められてしまったのです……あの人には逆らえない……。」

「……俺が、気絶してる間に……そうなったのか?」

「えぇ……でも風魔さんのせいじゃありませんよ……能力に負けてしまった私が悪いのですから…………。」

「そうか…………。」



風魔は短く返すとLと戦っている、男性を見た。


「あの男が、お前を操って忌羅さんを殺させたのか?」

「……言い逃れするつもりはありませんが、そうです。」


足を踏み出した。地面が砕けた。

風魔の髪が腰まで伸び、真紅に染まっていく。

紅蓮に染まった瞳はまっすぐ、男を睨みつけた。


「……こんなにも感情が抑えられなくなったのは刹那さんの時以来だ……殺してやる」


感想をお待ちしております

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ