表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第一王女を探さないで〜隠された愛と男装王女の誓い〜  作者: 国士無双
第2章:王子様、ぼくを探さないで

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/129

君だけが知る、ぼくの秘密

【※情報】後書きはニコくん(第6王子)視点です。

【※参考】サラちゃんが見た不思議な夢は、第83話『【番外編】第一王女と不思議の国の王子たち?』の内容になります。

 不思議な夢を見たせいか、早く目が覚めてしまった。しかも、全身がだるくて、重たい。


(もうちょっと寝たい……けど、このままベッドにいたら、寝坊するかも。それだけは避けたい!)


 自分に気合いを入れて、慌ただしく制服に着替える。そして、ザダ校一般科1年A組の教室へ向かった。


 ガラッ。


 ドアを開けると、教室はシーンと静まり返っていた。


 まだ誰も来ていないようだ。


「あっ。一番乗りで着いちゃった……」


 始業時間まで、余裕がある。昨日の夜、ルルと一緒に読んでいた少女漫画を取り出して、ページをめくる。本当は続きが気になるはずなのに、どうしてだろう……全く集中できない。


 窓の外に目をやり、自分の体調を振り返ってみる。


(お腹が痛いし、体も冷えてる。そのせいか、漫画の内容が頭に入ってこない……)


 それに教室の窓から差し込む朝日が、いつもよりずっと眩しく感じる。そのまぶしさに耐えられず、前を振り向いたところ――。


「うわぁっ!」


 ぼくの叫び声が、教室中に響き渡った。

 

 いつの間にか、ニコくんは席に着いていたようで、じっとぼくのことを見ていた。

 幸い、教室にいるのは、ぼくとニコくんだけ。


「ニコくん?! ごっ、ごめん! ボーッとしてた! おはよう……」

「おはよ」


 気づいていなかった自分に恥ずかしさを感じて、手に持っていた漫画で顔を隠す。


(夢の中で、ニコくんが出てきたから……)


 それでも、ニコくんはお構いなしに、ぼくの漫画を持ち上げた。


「あっ、恥ずかしいからダメ!」

「オレは気にしない。それより、サラ。もしかして、具合悪いのか?」

「えっ……? そうだね。いつもよりは、疲れてるって感じかな? でも、大丈夫!」


 笑って、誤魔化してしまった。見透かされてる気がして落ち着かないけど、ニコくんに心配をかけたくない。

 

 ニコくんも、ぼくの気持ちを察してくれたのか、「分かった。ちょっと出かけてくる」と言って、席を立ち、財布を手に教室を後にした。


(どこに行くんだろう? それにしても……)


「うーん。そんなに、顔に出てたのかな……?」


 思わず、独り言を漏らしながら、自分の頬っぺたに手を当てる。


「冷たい……」


 思ったよりも手が冷たくて、自分でもびっくりしていたところ、ある人物が教室にやってきた。


「サラ! おはよー! 昨日のバイト、よく頑張ったわね! 今日もアタシと……って、あら?」


 ケイちゃんが挨拶と同時に、すぐ、ぼくの手を両手で握りしめていた。


貴女(あなた)……体の調子が悪いのね? 手がこんなに冷たいなんて!」

「へっ!」


 動揺して、情けない声が出てしまった。


(嘘! ケイちゃんにもバレちゃってる?)


「本当は、今日もバイトのヘルプに誘おうと思ってたんだけど……」

「助けが必要なら入るよ! エプロンも……ちゃんと乾かしたし!」


 我ながら、声が裏返るほど慌ててしまった。自分でも驚くくらい。

 でも、ケイちゃんの力になりたくて、ぼくの方から話を続けた。


「それに、ぼくは……昨日、シンイさんたちに迷惑をかけてしまった。今日こそは、ちゃんと最後まで働きたいんだ」

「その気持ちは嬉しいわ。でもね、無理するのは絶対ダメよ。昨日より、ずっと顔色が悪いもの……。その状態で働いたら、かえって周りに迷惑をかけることになるわよ?」


 ケイちゃんの言う通りだ。

 今日無理して、また迷惑をかけるのは――いちばんダメだ!


「ごめんね……ケイちゃん。実のところ、いつもより、体調が良くないんだ……」

「謝る必要はないわ! それに、アタシは第4王女のケイ・クマリーよ? 人員集めなんて、お茶の子――いや、アタシの場合は“コーラの子”さいさいよ♪」


 ケイちゃんは太陽みたいに明るい。お茶ではなく、コーラなのは、ケイちゃんの大好物だからだ。


「ありがとう、ケイちゃん」

「どういたしまして! あら、ニコ……珍しい。あんたが、こんな時間に来てるなんて!」


 ニコくんは、右手にほうじ茶のペットボトルを持っている。買い物を済ませて、教室に戻ってきたようだ。


「ん……今日はたまたま目が覚めた」

「そうなの〜? ところでさ、誰かバイトやってくれそうな人、知ってたりする?」


(あれ……! 人員集めできるって言ってたけど、案外、難しいのかな?!)


 ケイちゃんを見ると、口笛を吹いて、「どうにかなるわよー」という顔をして、何やら誤魔化している。

 

 やっぱり心配だ。人が集まらないなら、ぼくも手伝おうと思っていたけど、杞憂だった。


「ああ、自販機でサラと同じ剣術部の双子に会ったけど、二人とも金欠って言ってた」

「あら! さすが、ニコ! いい情報を聞いたわー! アタシ、双子のところへ行ってくるわー!」


 ケイちゃんは、ぱっと顔を輝かせて、勢いよく教室を飛び出していった。


(すごい……行動力の塊だ! しかも、臨機応変……!)


 ケイちゃんに感心しながらも、双子なら、「いいよ」と言ってくれるだろうから、ぼくも一安心した。


「良かった……ありがとう、ニコくん」


 お礼を伝えたタイミングで、ニコくんがぼくの机にペットボトルを置いた。


「えっ?!」


 間違えて置いたのかと思って返そうとしたけど、その前に、「差し入れだから」と大きな手で止められた。


「遠慮するな、サラ。まだ、しんどいようなら、今日オウレン先生に相談した方がいい」

「いいの……? 温かいお茶、嬉しい。助かるよ……ありがとう」


 素直に甘えて、すぐに一口飲んでみる。

 温かくて、香ばしいお茶の香りが心地よくて……体が冷えているぼくにピッタリな飲み物だった。


(ニコくんって、クラスの中でも一匹狼で怖がられてるけど……。とっても優しいし、本当に頼りになる!)


「決めた! オーちゃんに相談するよ!」

「そうだな。あと、()()が来たら……オレ以外の吸血鬼族には、絶対に会うなよ。バレたくないのなら、絶対に」

「うん、了解……」


 ニコくんは、何のことかはっきり言わなかったけど、ぼく自身、ちゃんと分かっていた。


(だけど、その話をされるなんて……恥ずかし過ぎる! 今のぼく、顔……絶対、赤くなってる……!)

 

「大丈夫か? さっきから、顔が青くなったり、赤くなったりして……」

「大丈夫だよ。ただ、恥ずかしいだけ……」

「デリカシーなくてごめん。だけど、無理するな」


 いつものように優しく、ぼくの頭を撫でてくれた。

 しばらくの間、照れ隠ししてしまったけど、ニコくんの優しい手のぬくもりに、甘えることにした。

<余談:ニコくん(第6王子)視点>

【オレだけが知る、君への想い】

 

 サラは、艶のある黒髪に、透き通るような青い瞳をしている。

 ぱっちりした目で見上げられると、なんて返していいのか分からなくなる。

 顔も……その……かわいい。

 他にも、漫画に夢中になってるときの真剣な顔とか、照れてるときの表情とか、全部。オレだけが知っているサラの表情だ。


 だけど、今日のサラは、いつもとちょっと違ってた。

 寝不足か、いや、女性特有のものに悩まされているのかもしれないが……とにかく放っておけなかった。


 オレは言葉が得意じゃない。優しい声も、気の利いた冗談も、上手くできない。

 だからこそ、困ってるサラには、できる限りのことをしたくなる。

 

 それに心配でもある。

 オレ以外の吸血鬼族のやつらに気づかれて、興味を持たれたらどうしようとか。


 サラは、優しくて、誰にでも平等で、お人好しすぎる。

 だから、誰かに奪われるんじゃないかって思うと――焦る。

 

 オレだけが、知っていたい。

 あの表情も、あの声も、あの仕草も……全部。


 はぁ。オレらしくもない。

 この気持ちは、一体……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ