ずっと、ここに9
ずっと、ここに9
一週間経ち、関谷が様子を見にきた。
「トモコさん、二階にいるよ。診てやってくれ」
直哉は一階で新聞を読んでいる。
関谷は二階の部屋に行った。
「トモコさん、ケガの具合を診に来ました」
「ありがとうございます。もう痛みはないんです」
関谷は顔を覆っている大きな絆創膏をゆっくりと剝がしていった。
「もう、大丈夫だ、うまく治っている、よかった」
関谷がトモコの顔を見ながら、絆創膏をゴミ箱に捨てた。
一階に降りていき、直哉に治ったことを伝えた。
「トモコさんが作った食事を食べて行ってくれ。すごく美味しいんだ」
「悪い。今日は、野暮用ありだ。帰るわ」
関谷はソコスカと帰ってしまった。
直哉はトモコの顔を見るのがなんだか恥ずかしかった。
トモコも直哉に顔を見せるのが恥ずかしかった。
「トモコさん、ケガ治ったんだってね。部屋に入るよ」
直哉はドアを開けた。
トモコは窓から外を見ている。
そして、こちらをゆっくりと振り返った。
逆光になっており、よく顔が見えない。
直哉は少しづつ近づいていった。
顔がうっすらと見えたその時、息が止まりそうになった。
元妻だ!
「ト…モ…コ…⁈」
「直哉さん、トモコです。顔見てガッカリした?」
少し、うつむき加減に言った。
「いいや、違う。トモコさんって、字は月をふたつの朋に子供の子って書くのかな?」
「え、そうです。なんで分かったんですか?」
「いや‥」
直哉は動揺した。