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ずっと、ここに20 最終章
ずっと、ここに20 最終章
一か月が経過した。
「やっぱり、朋子ちゃんだったんだ。俺の言ったとおりだろ」
あの幼なじみが店に来て、直哉に得意気に言った。
直哉は、いままでの経過を話した。
「え、そうなんだ、朋子ちゃん、いつ記憶が戻ったの?」
「お前がひと月前に来た後だよ」
「そうだったのか。よかったな。でもお前、もう朋子ちゃんを泣かすようなことするなよ」
「おう、そうだな。誓うよ」
直哉の言葉に嘘はなく、朋子が戻って心から嬉しそうだ。
朋子はその会話を料理を作りながら笑みを浮かべて聞いていた。
朋子は、自分が記憶喪失でなかったことは、誰にも言っていない。
幸せになるために、ついていい嘘もある。
そして、その幸せを守るために、ずっと嘘を隠していいんだ。
朋子はホールで幼なじみと話している穏やかな表情の直哉を見て、自分の選択は正しかったと確信した。
完




