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ずっと、ここに2
ずっと、ここに2
京都での出張は、行くまでは憂鬱だったが、行ったら行ったで楽しかった。
店長研修は毎日午前中で終わり、午後から京都の寺社を巡ったり、嵐山や奈良の方まで足を延ばした。
京都の店長が皆を案内してくれた。
夜は、毎晩、店長同士で先斗町に飲みに行った。
飲みに行くと、皆、同じような店の悩みなどを同じように抱えていて、同士のように感じ、昔からの友人のような気がしてきた。
学生時代に戻ったような気がした。
土曜日、最後の夜は皆で再会を約束して、万歳をしてお開きとなった。
翌日、日曜日に新幹線に乗り、東京に着いたのはお昼くらいだった。
中央線に乗り、阿佐ヶ谷の家に戻った。
門が開けっぱなしになっている。
あれ、閉めて行かなかったなと直哉は思った。
そして、カバンから玄関の鍵を取り出そうとした。
しかし、いくら探しても鍵が見当たらない。
落としたのかと思ったが、ノブを回したら空いていた。
しまった、鍵をするのを忘れていたんだ。
ドアを開けると、鍵は玄関の靴箱の上に置いてあった。
そういえば、出かけるときに、新幹線の時間が切迫していて、焦っていたなと思い出した。