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ずっと、ここに18
ずっと、ここに18
直哉は食事が終わり、リビングでいつものようにテレビを見ていた。
朋子がコーヒーを入れてくれている。
匂いがしてきた。
いつも食事の後にコーヒーを入れてくれる。
これも自分が昔から好きな絶妙な温度で入れてくれる。
「はい、コーヒーどうぞ」
朋子はテーブルにコーヒーを置いた。
その時、直哉は目を疑った。
朋子の左手の薬指にあの指輪がはめてあったのだ。
それは、朋子がこの家を出て行ったときに置いていった結婚指輪だ。
「その指輪…?」
「あ、これ?仏壇に置いてあったの」
「なんで、君が…」
「だって私のじゃないの。さっき謝ったから許してあげる」
直哉は、目を見開いた。
「えぇ!、思い出したの‥⁉︎」
朋子は直哉の様子を見るようにじっと見つめた。
「ーうん、全部、思い出した。もう私を泣かせるようなことはしないでね」
直哉はこの奇跡に言葉を失い、神様に感謝をした。