ずっと、ここに14
ずっと、ここに14
早速、翌日から朋子は働いた。
初めはホール担当だ。
客がきたら、「いらっしゃいませ。お席にご案内いたします」と言い、手前の席から案内していく。
手前の席に客がいると、外から見ても活気があるように見えるからだ。
そして、おしぼり、お水を提供し、注文を聞き、オーダーを料理人に伝える。
料理が出来たら、速やかに客のもとに運ぶ。
朋子は、初めはぎこちなかったが、すぐに慣れ、その日のランチ時間にはもうすでにスムーズにこなしていた。
直哉は働きぶりをみて、ホッと安心した。
客に待たせることなく、無事にランチタイムをこなす事が出来た。
朋子はあの時から変わっていない。
美人で穏やかで、仕事はテキパキとこなす。
一生懸命に働く朋子を見て、直哉はかつて申し訳ないことをしたと再び後悔の念が強く湧いてきた。
朋子は16時に仕事を上がり、直哉の家に戻り、掃除、洗濯、夕食の準備をした。
直哉が19時に家に着くころには、夕飯が出来上がっていた。
「疲れた日は、夕飯は外で食べよう。無理しなくていいよ」
直哉は朋子を気遣った。
「全然、大丈夫です。ありがとうございます。直哉さんは優しいですね」
優しいなんて朋子から言われたことは過去なかった。
本当に昔の自分は酷い男だったんだ。