表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/49

第24話 正しい評価

 買い物の帰りに寄った雑貨屋。

 最初こそちょっとしたハプニングはあったが、今は店主であろう二人も落ち着いている。


「ここは、雑貨屋……でしょうか?」


 勝手に雑貨屋と言ってしまっているが、それが正しいのか何のお店なのかを尋ねる。


「ええ、その通りです。俺達は最近この街に引っ越したばかりで、店も始めたてなんです」


 どうやら雑貨屋で合っていたようで、やはりこの街に来たのも最近のことらしい。


「お二人は、ご夫婦でしょうか?」


「ええ、まあ」


 受け答えは殆ど男性一人で行ってくれている。

 まあ、こちらもアンナは完全に後ろに控えてしまっているので、お互い様だが。


「そうなんですね。お店は内装も綺麗ですし、良い雰囲気だと思います」


「ありがとうございます」


 あまり得意な訳でもないが、悪くしてしまった空気を良くするために軽く雑談をしている。

 そうして二人の緊張を解す意味も込めて、しばし歓談を続ける。


 そして、穏やかな雰囲気で会話をしていると、



「いやー、しっかしラース様とは初めてお話しましたが、やっぱり噂なんて当てにならないもんですね」


 ふと、男性がそう言った。


「ちょっと、あなた!」


 それに対して女性が咎めるように告げる。

 男性としても緊張が解けたからか、つい溢してしまった言葉といった感じで、しまったという表情をしていた。


「いやー、今のは何でも無いんです。お気になさらないで下さい」


 と、男性は告げるが大体なんのことなのかは察しがつく。

 二人としては深掘りしないで欲しいことだとは思うが、俺としては確認したいことなので申し訳ないが聞かせてもらおう。

 それに、話を聞いた上で問題ないことを伝えた方が最終的には二人としてもすっきりするだろう。


「大丈夫ですよ。恐らくですけど俺の話を色々と聞いたんですよね?良ければ教えて貰えませんか?誓って怒ることは無いので」


「え、いや……それは」


 俺の言葉は流石に予想外だったのか、言葉に詰まる男性。


「お願いします」


 初めはそれは出来ないといった様子の男性だったが、俺が真剣に聞いていると分かったのか、



「……その、仰る通りです。……俺達はこの街に来たばかりなので、住民の方々からラース様の話を聞かせてもらって。…………その、ラース様は横柄だとか悪童だっていうことを」


 どうやら予想通り、俺の悪評を聞いていたらしい。

 例え初めは俺のことを知らない人でもすぐに知るくらいだから、ラースの悪評の広まり方は凄いな。

 

「言い辛いことを言わせてしまってすみません。ありがとうございます」


 二人を安心させるために出来る限り柔らかい表情を心掛ける。

 中々に無理を言ってしまったからな。


 しかし、おかげで俺が街の人からどう思われているのかが、より詳しく知ることが出来た。

 まあ予想していたのと全く違いは無かったけれど。


 と、そんな風に考えていると、


「で、でも!やっぱり噂なんて当てにならないもんですよ!今、お話させて頂いた感じではラース様は凄く良い人でしたから!……なぁ?」


「え、ええ。伝え聞いた感じとは随分違っていて。とてもお優しい方ですし」


 あくまで噂は噂だと、自分達が感じた印象を語ってくれる二人。

 多分お世辞では無いのだろうが、前のラースはまさに悪童であるため、何とも言い辛い。


 とはいえ、



「………いえ、住民の皆さんの話は何も間違っていませんよ」


 と、そう告げると、


「「え?」」


 二人揃って疑問の声を発した。


 また、俺の後ろでアンナが静かに驚いた様子も感じ取ることが出来た。



「俺は噂通りの悪童だったという訳です。傲慢で不遜で横柄で、最低の貴族だったと思います。……いえ、事実そうでした」


「え、でも、今のラース様はとてもそんな感じには見えません、けど」


「ええ、凄く善良な貴族様だと思いますが」


 過去のラースを知らなければ、中々信じられることでは無いかも知れない。

 転生してからの俺自身は、流石にそんな評価を受けないように生活してきたからな。


「ありがとうございます。……実は、恥ずかしながら最近になってようやく改心したんです。なので、今は自分でも普通に生活していると思いますが、それまでは本当に酷い人間だったんです、俺は」


 と、詳しく説明するも尚、二人は納得のいかないといった様子だった。


「そ、そうなんです、ね?」


「最近改心した、と」


 ただ元々聞いていた話と、態々俺が嘘をつくことも無いからか、段々と信じ始めてきた。

 とはいえ、どれだけ言葉で語っても元のラースを知らなければ想像の範疇に過ぎない。

 

 それに住民の人達の方が正しいと言いたかっただけで、別に自分の印象を下げたい訳ではない。

 なので、


「お二人が俺に良い印象を抱いてくれたのなら嬉しいです。ただ、その評価は今後の付き合いの中で改めて決めて貰いたいと思います。このお店には今後も伺わせて貰うと思うので」


 自分から振っておいてなんだが、あまり長く続けたい話題でもないためこの辺りで終わりにする。

 この店は雑貨屋で使い勝手も良いだろうし、店の雰囲気や二人の人柄も好ましいので、今後も訪れる機会はあるだろう。


 と、俺が話を締めるようにそう言うと、


「わ、分かりました……」


「……はい」


 二人は尚も納得しきってはいない様子だったが、俺が話を終わらせるように言ったからか、ただ頷くのみだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ