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その2

僕が覚えている一番昔のファーストフードの記憶は、小学校低学年のころのことだ。僕はその時母と代々木のMが付く店に来ていた。


店内は割と、混んでいたような気がする。おそらく土曜日か日曜日の昼下がりだ。

なぜ僕がそんな昔のことを覚えているかというと、その時景品がもらえるキャンペーンをやっていたからだ。おぼろげな記憶で申し訳ないのだが、確かプロ野球の12球団のマスコットか何かが描かれた4×4の折れる紙みたいなのがあって、それを折り曲げて行って2×2の面を作る、というルールだったはずだ。その4面のうち同じマスコットを何面かそろえると景品がもらえるのだ。(もし詳しく覚えている方がいたら教えてください笑)


僕はその時適当に折っていたら(あるいは母が折っていたのかも知れない)、たまたま3面くらいがそろって、プリンがもらえたのだ。今にして思えば何でファーストフードで景品がプリンなのかは謎だが、とにかくその時の僕はそれが異常なほど嬉しかったのだ。ただでプリンがもらえる、という不思議さが子供にとっては嬉しかったのかも知れない。


それと同じ頃、日曜日になると千駄ヶ谷の将棋会館へ行って、将棋を指していた時期があった。帰りの途中に父の車で最初のとは別のMの付くファーストフードの店へ行って、骨つきの大きなチキンを食べるのが楽しみだったのを覚えている。あれって舌をやけどするほど熱いのを重々分かっているのに、ついついすぐにかぶりついてしまうのだ。小学生にとっては、あのチキンはやたら大きく感じた。いや、今でも十分大きくてサクサクなのだが、あの頃はとにかく特別な美味しさがあった。


その次あたりの記憶は、小学4年生くらいの時、お茶の水のLが付く店でのことだ。その時代はそのチェーン店のエッグタルトがやたら美味しくて、行くたびに注文して食べていたのを覚えている。今じゃ販売しなくなってしまった?ようで何だか悲しい。

僕がお茶の水のお店にいたのは、塾が始まる前の腹ごしらえのためだったのだが、その店を出て塾へ向かおうとした時、Mr.childrenの「君が好き」がスピーカーからかかっていて、何故かそれを鮮明に覚えている。J-POPが全盛期真っ只中の、いい時代でもあった。


その頃はFの付くお店の振って混ぜるポテトも大好きだった。チーズ味だとかバター味だとかの粉をポテトが入っている袋に入れて心ゆくまで混ぜるのだ。小学生だったから、狂ったように振っていたのを覚えている。普通のポテトも美味しいが、自分で振って混ぜて作ったポテトは本当に格別だった。


中学になると、友達とファーストフードの店に行って、カードゲームでデュエルをすることも多くなった。別に教室の机でするのと何ら変わりはないのだが、ファーストフードの机って、何故かデュエルをするのに最適な大きさなのである。20代か30代の男性の方には分かっていただけるだろうか笑

とりあえず申し訳程度にポテトだけ頼んで周りもかえりみずデュエルに夢中になっているのだが、今考えてみたらはた迷惑な話である。でもなぜか10代の男というのは、カードゲームがとにかく大好きなのだ。


浪人のあと、埼玉の行田で合宿の運転免許を取っていた時期があった。

行田って結構何もないところだったが(行田の方ごめんなさい)、合宿所の近くにMのお店があって、たまにそこへ行って朝食を食べていた。例によって背部の壁にはやたら楽しそうな外人たちの写真がプリントされていたような気がする。


僕は仮免のL字クランクか何かでミスを犯し、不合格になってしまった。しかも具合の悪いことに次の日は仮免の試験自体がない日で、泊まり込んでいる僕は丸一日何もやることがなくなってしまった。僕はファーストフードのお店でぼーっとしたりだとか、大宮まで行ってぶらぶらして過ごしていた。

その店の前には長い一本道が通っていて、車がぶんぶんと走っていた。仮免に落ちてしまった人間が車の走る姿をただ眺めているという、シュールな時間だった。






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