髪切り事件1 私変身します?
「髪切り魔?」
「そう、被害者は皆、若くて美しい娘ばかりで、髪の色は金髪、茶髪、銀髪、黒髪、とさまざまなんだけど、3ヶ月で12件もの被害報告が上がっているの」
紅茶のカップを両手で包む様にして持ち、長いため息をつく親友の顔は険しい。
「髪は乙女の命よ、許せないわ!・・でも捕まらないのよ
内通者がいるんじゃないかって疑いも出てきて」
内通者!?
「この騎士団内に犯人に情報を流してる者がいるって事?」
それは裏切り行為だ。
「その可能性もあるって話なんだけど、昨日アベルが囮捜査を提案してきて」
誰を囮にするのだろうと思っていると
「お前が行って髪切られた所を現行犯逮捕してこいって言われて・・」
「ローラが囮になんの!!?」
それはちょっと無理がある、ローラはたしかに長く美しい髪をしているが身長178cmと
高くガタイもいい方で、たとえドレスを着ても体格とかですぐバレる。無茶言うなぁ。
「それは無理があると、思うよ・・・」
正直に思った事を伝えると
「分かってるわ、それにもし内通者がいるなら騎士団の内部の人間と顔見知りの囮は使えないもの・・・でも、待って・・変身すれば、いけるかしら?」
変身?誰を?と思いながら紅茶をすする。顔を上げると、こちらを見てニンマリと笑う親友と目が合う。
「エ?」
「ユリ、変身しましょう!」いい事思いついたといわんばかりの顔で、がしっと腕を掴まれ、
「エエェェェ?」
有無を言わせずに引っ張られ
くっ、さすがにプラチナランク、力つぇぇ、などと思ってしまう。それから2時間私は親友に拘束された。