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アレックスの大冒険  作者: 呪毛無
第一章 アレックスの冒険
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#7 アレックスは適性検査を受ける

俺はアレックス。国王の命により

魔王を倒すことになった流浪剣士だ。

城下町の手がかりを得て

俺はブサメン、キモオータ、

そしてスキゾフレニアに向かっていた。


だが道に迷い時間を失った挙句

50000ゴールドをなくしてしまった。

気絶した俺は介抱されてブサメンにたどり着いた。


資金を失ったのは痛い。だが都合が良い。

急いでブサイカーメン王の墳墓に向かい

オーバーテクノロジーを手に入れなければ。



アレックスはブサメンの城に向かった。

覆われた壁の中で悠々と宮廷生活に勤しむ貴族。

その壁の外で貧困に苦しむ平民。


ニート王国よりもひどい。

この国は大丈夫なのか。

政治というものがわかっているのだろうか。


「おじさんも変に思う?」

「ああ。みんな妙にピリピリしているというか」

「鋭いね。」


道中でメン・ヘラーはこの国の政治について

子どもながらの率直な感想をアレックスに教えてくれていた。


この国の支配構造。

圧倒的権力を持つ王政と貴族。

圧倒的支配下にある市民、商人。


宮廷はブサメンの圧倒的技術力をもって

市民の保護、および権力の正当性を訴えている。表向きは。

しかし裏では不当な利益を貪り続け

毎日お祭り騒ぎに明け暮れているということだ。


「宮廷はいつも笑い声が絶えないよ」

「ただ王様の笑顔を自分は見たことがない」

「いつもみんなから笑わない王様だって言われてる」


笑わない王様、か。

アレックスはこの違和感を覚えておくことにした。




「ブサメン王殿、来客でございます」

「通せ」


アレックスは中に入った。

壁から何まですべてが黄金だ。

この部屋は富と権力に満たされている。


「ようこそわが城へ、アレックス殿」

「いえ、伝達の1つもなく急な訪問、誠に申し訳ない」

「構わん、こんな辺鄙な土地だ。どうせ暇しかない」


「見よ、ここからの眺めを」

「不毛な土地に囲まれたオアシス。そこから世を睥睨するのはあまりに興がない」

「わかるかねアレックス殿」


「民にも増してこの世が不毛な砂漠であることを嫌というほど見せつけられる」

「砂漠の王とはそういう宿命にあるのだ」


笑わない王様か。確かにその通りだった。


「まあいい、それで何の用かね」

「は、実はブサイカーメン王の墳墓に立ち入らせていただきたく思いまして」


「なに、ブサイカーメン王の墳墓だと」

ブサメン王は初めて顔をこちらに向けた。


「あそこに何があるかご存知で?」

「ええ、だいたいは」


「立ち入った者は生きて帰っては来られぬ」

「私のせいではない。先代の王が作ったものだ」

「毎年大勢が亡くなっている。民にも悪影響が及んでいる」

「そこで実力があると認められた者のみを通すことにしたのだ」


「自分では不服ですか」

「いや、テストが通ればいい。すぐに結果が出る」

「ぜひ受けさせてください」


「うむ、問題なかろう」

「ではついてきなさい。」


アレックスはブサメン王に続いた。

「ところでアレックス殿。ニート王はご健全か」

「ええ、おかげさまで」


「私とニート王は長年懇意にしておってな」

「同じ王政を敷く者同士、共に協力関係を築いておるのだ」

「ほれ、最近よく聞くだろう、ファシズムだの権威主義だの」

「流行りの政治運動に民が乗せられて妙に不穏でな」

「そちらの国でクーデターの心配は」


アレックスはそこまで不穏ではないと答えた。


「なるほど、そちらの国では王と民がうまくやっているようだ」

「それに貴族が・・・」


ブサメン王は何かを言いかけて言葉を濁した。


「王は王でなければならぬ。国を一人が納めるゆえ、すべてを統制できるのだ」

「王が正しい判断を持っていれば、これほど都合の良いものはない」

「いつまでも互いを意識して議論をしていては国は動かぬ。そうであろう」


ブサメン王は門を開けた。

「さあ、あの機械の上に立ちなさい。テストをはじめよう」


機械はニート王国の技術を明らかに超えたものだ。

鉄板のようなものから所々光が点滅して

ゴウンゴウンと音が鳴っている。


「あの巨大な板に問題が出る」

「アレックス殿はただそれに口で答えてくれればよい」


ブサメン王がそういうと巨大な板に文字が現れた。


数を問う問題、剣術の知識を問う問題、戦闘における状況判断を試す問題だった。


そして最後の問題が出た。


「あなたに死ぬ覚悟はありますか?」


当然イエスと答えた。

剣士として、当然の答えである。


板からフッと文字が消えた。

まるで魔法のようだった。

オーバーテクノロジーの片鱗を見た。


「終わりました。しばらくお待ちを」


しばらく待たされるのかと思ったら意外と早く結果が出た。


「おめでとう、アレックス殿」

「合格だ。墳墓攻略に適性があるという結果が出た」

あまりにあっけなかった。


「だが心せよ。生きて帰ってきた者は誰ひとりおらぬということを」


そういうとブサメン王は機械のボタンを押した。

床が割れて階段が出てきた。


「ではごきげんよう。どうかご無事で」

そういってブサメン王はそそくさと立ち去った。


見慣れた光景というわけか。

まるで興味がなさそうだった。


だが俺はそれでは困る。

一国の、ニート王国の運命がかかっているのだ。



アレックスは勇気を振り絞った。

階段を降りて試練に立ち向かった。




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