#3 アレックスはさまよう
俺はアレックス。王都で剣士をやっている。
王様に魔王討伐を命じられ、世界を救うために旅立った。
城下町で有力な情報を得た。
東の王都ブサメン、南の鉱山キモオータ、
そして北の霊峰スキゾフレニア。
俺はこのヒントを手がかりに
魔王を倒す有力なものを見つけようとした。
まずはキモオータ鉱山だ。
ルートを正確かつ精密にたどる。平野の向こうに丘があり、
岩場を2つか3つ超えたところに大きな鉱山があるはずだ。
そこでまずはアウティーズム鉱物と
伝説の鍛冶屋ジヘイ・ショウの情報を得なければならない。
俺は馬の歩みを急がせた。時間はない。
都を出たのは朝。そしてもう昼になりかけている。
昼。予定だと既に鉱山についているはずだった。
しかし丘どころか岩場の1つもなく果てしない平野だけがある。
ごつごつした斜面の向こうにはまた別の斜面がある。
目視で確認できる範囲に目新しいものはない。
方向を間違えたのか。
来た道を振り返った。遥か遠くに王都、それに魔王の城が見える。
俺は引き返した。
時間の無駄だが南は諦めた。東のブサメンに向かうことにした。
奇妙なことにルートの目印が一切見えてこない。
森や湖、その先の砂漠がない。
それどころか妙に体が冷えてくる。
あのおばちゃんが知り得なかった場所なのか?
ようやく森に入る。しかし森は暗く散々彷徨うことになった。
出た時には自分がどの場所にいるか分からなくなっていた。
俺は時計を見た。午後4:00。
冷や汗が垂れる。またしても道に迷った。
日が暮れて王都がよく見えない。魔王の城もなかった。
ただひたすら体が冷えてくる。不安が俺を襲った。
俺はとにかく馬を走らせて森から離れた。
どこでもいい、どこか村を見つけられたら現在地がわかる。
そう言い聞かせた。
しかし行けども行けども
人の住んでいそうな村がどこにも見当たらない。
がむしゃらに道を走らせた先には森か平野しかなかった。
そしてついに日が暮れてしまった。