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樹海深部10



 シュナに付き合ってもらい、魔術によって、結界を強化できないか色々と試しているところである。ちなみに、フェルスとはまた別のところに広めの部屋を作っている。


「だいぶ魔力の消費を抑えられてるかも、さすがアキノっち。」


 抑えられてるとはいえ、まだ足りない。何かあればいいんだが……。


「お兄ちゃん、フェルちゃんがこれを持って行けって。」


 アクアから手渡されたのは、洞窟で取れた宝石を加工したオーブ。台座とセットになっている。台座はシンプルになんの装飾もないようだ。


「アクア、ありがとう。シュナ、これを持ってちょっと試してみてくれないか?」


「りょ。」


 オーブを持ち、結界を張るシュナ。


「スゴ!!今まで半分くらいの魔力で、同じくらいのが張れるよ!!フェルっちマジ神!!」


 半分の魔力で済むとは凄いな、もう一つ作れるとして、さらに半分ってのはさすがに出来過ぎか……?


「そういえば、シュナ、巫女ってのは、他のハイエルフとどれくらい魔力が違うんだ?結界を張り続けるってことは、魔力も相当なものなんだろう?」


「魔力っていうより、適性かな。巫女じゃないハイエルフが結界を張ろうとすると、消費が大きすぎるんだよ。巫女になる娘ってのは、魔力も多いけど。ウチは愛の力で魔力も回復力もさらにアガってるから……アキノっちが社でずっと一緒にいてくれるなら、それもありかも!?」


「却下だ。それと、リンクな。」


 元々魔力の多い種族ではあるが、さらに高い魔力、確かに結界を張るのに向いているのかもしれない。あとは適正か……。


 オーブだけでも格段に魔力は上がるがこれだけでは駄目だ。巫女を使うという制度を変えるくらいの大きな事をやれないと納得しないだろう。他のハイエルフでも結界を張れるなり、結界の必要をなくすとか……まあ、これは無理だろうな。


「お兄ちゃん、なんかすごく眠たいから、少し寝てるね。」


 しばらく考えているとアクアが話しかけてくる。


「そのまま寝ると痛いだろうから、膝をかそうか?」


「えっ、そんな、お兄ちゃんに悪いよ!!」


「アクアはいつも頑張ってくれてるからな。これくらいはさせてくれ。」


「じゃあ……。ありがとうお兄ちゃん!!」


「えっ、ズル!!ウチも頑張ってるんだから、ウチにもしてよ〜。」


「シュナも頑張ってるのは認めるが、却下だ。」


「なんで?ウチはダメなの?」


「駄目というか……恥ずかしい。照れくさいんだよ!!」


「ふーん、多少は意識してくれるんだ……ま、今回はゆずってあげよっかな。」


「何にしてもとりあえず休憩にするか?疲れただろ?」


「うん。」


 シュナが近づき横に座ってくる。


「近くないか?」


「膝枕我慢したんだから、これくらいはいいっしょ?」


 なんというか、懲りないというか、すごく真っ直ぐなんだな。悪い気はしないが、やっぱり照れる。


「ああ。」









「おい……キノ、……アキノ!!」


 ん?声がする?寝てしまったか?

 目を開けると周りは真っ暗で、なにも見えない……洞窟で寝たはずじゃあ?シュナと、アクアは!?


 どうやら近くにはいないようだ……ここ…は……?まさか、またレイラがなにかしたのか……?いや、ここはレイラの能力では入れないはずだ。となると……?


「久しいなアキノよ。元気じゃったか?と言っても、ずっと見ておったんじゃがな。」


 アクアが歩いて近づいてくる。真っ暗でなにも見えないはずだが、アクアの姿はなぜかはっきりと見える。


 てか、じゃ?なんか懐かしい……まさか!!?


「アイリス、アイリスか無事だったのか!?」


 思わず駆け寄り、抱き締めてしまう。


「おお、おお、手厚い歓迎じゃな。無事というのもおかしいが、この通り、ピンピンしておる。……ただし、体はないがな。」


「アクアが身体を使っているからって事か……。それより、ここは?なんでアイリスが?」


「まあ、落ち着け。ここは、ワシの身体の中……というよりは、ワシの精神にアキノが直接干渉してきているといったところじゃな。」


「そんな事ができるのか?」


「偶然じゃろうな。アクアと……シュナと言ったか、そのハイエルフの影響じゃろう。何度も狙って干渉するのは難しかろう。

 それよりも、じゃ。なにやら面白そうな事になっておるのう。ハイエルフの結界か……それに代わる魔法……または魔術……を作るか……。ワシも協力しよう。色々と試しておったようじゃが、おぬし、どういう魔術を組んでおる?」


「面白いかは別として、アイリスが協力してくれるなら、心強い。今はこういう感じで…………。」


「ふむ、なるほどのう。相変わらず面白い事を考える。ワシは魔法が使えないからそういう発想はなかったの。魔術と魔法の融合……か。なら、ここはこうしてみてはどうじゃ?それから、ここは………」


「なるほど、さすがアイリス、じゃあ、こっちはこうしてみれば……よし、いけそうだ。」


 アイリスのアドバイスにより、魔術の精度に磨きがかかる。


「フェルスと言ったか?そのフェルスの作ったオーブ、その台座にも、魔術を組み込む。そして、主要な場所にオーブを置き、ポイントポイントに、小さな宝石をはめ込む……。そこに魔力を溜め込めば………。」


「魔力を貯蔵し、そこから魔力を使い、結界を張り続けると。すごい、凄いなアイリスは。こんな術式思いつかなかったよ。」


「ふん、無駄に長く生きておるわけではないわ。ま、あとは実際に試してみないとなんとも言えないがのう。………もっと長く話していたいが、そろそろ時間が来たようじゃな。次はいつ会えるかわからんが、なかなか楽しめた。また会おう、アキノよ。」


「ああ、必ずアイリスを助けてみせる。それまではもう少し休んでいてくれ。ありがとう。」


 意識が徐々に途切れていく……。




 目を覚ますと、元に居た場所のようだ。膝にはアクアが寝息をたてている。そして、いつの間にか肩にはシュナが寄りかかって同じく寝息をたてている。


 シュナ……結局くっついてきてるし……だが、もしかしたら、そのおかげで今回のような事が起きたのかもしれないからな。


「アクア、シュナ、起きてくれ。みんなの所に行くぞ。」

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