樹海深部9
「フェルス、ここにある鉱石と宝石で、エルフの長老達の杖のようなものは作れるか?できるなら、同等か、それ以上の物が。」
「無茶いうな!!加工自体はできなくないが、あれ以上の物をすぐに作れと言われて作れるものか!!」
「加工自体はできるんだな?形状は杖じゃなくてもいいんだが、魔力が上がればそれでいい。」
「極端な事を言えば、宝石を持ってるだけでも、魔力は上がる。ただ、アキノが言いたいのは、より能力を引き出せって言うんだろ?確かにそのままより、加工したり、装飾する事で、より効果が高くなったりするが……正直やってみないとわからない。それに、宝石がどれだけ集められるかわからないからな。まずは宝石集めからだ。」
「じゃあ、私の能力で宝石を探すから、回収をお願いできるかしら?」
「ああ、よろしく頼む。」
みんなで手分けして宝石を回収すると、それなりの数が集まってきた。だが、単体で大きな物は2つほどで後は、小さなカケラのような物が大半である。
「アタイは早速加工に取り掛かる。この洞窟じゃあ魔法は使えないから、外に行きたいんだが?」
「だが、ハイエルフ達が辺りをうろついているかもしれないからな……。」
「ア、アキノさん、洞窟と外の境界ってどこになるんでしょう?」
「普通に考えれば、出入り口だが……色々試してみるか。」
レイラの言う通り、洞窟を壊したり、レイラの力で変化させてみたが、しばらくすると元に戻るようだ。通路なども作ってもらったが、そこも洞窟内と認識されるらしい。
そして、通路をいっぱいまで伸ばしてもらい、そこから掘り進むとそこから先は洞窟外となるようである。
元の洞窟から一定以上の距離を掘り進む事によって、能力の範囲からは出ることができるわけだ。ただし、時間が経つと、能力で伸ばした通路は塞がってしまう。
通路をギリギリいっぱいまで伸ばしてもらい、その先に部屋を作ることで、魔法も使え、ハイエルフ達にも見つからないようにする事ができる。ただし、ずっと通路を維持するのは難しいらしく、何時間おきかに通路を繋ぐようにする。ちなみに、アクア、ツバキも、フェルスについて行っている。
「私達は〜、何をします〜?」
相変わらずフワッとした雰囲気で話しかけてくるネージュ。
「ん〜、考える事はいっぱいあるが、まずは腹ごしらえだな。」
洞窟の外に出るのは、さっきも言ったように危険だが、鍛治のように集中するわけでもなく、少人数でささっと食材を取ってくるくらいなら問題ないだろう。
ささっと食材を確保し、フェルス達の所へと向かう。そこでなら、安全に料理をする事ができるからである。ちなみに、レイラがこちらへ入ろうとすると、強制的に通路が塞がり、部屋に入る事ができなかった。
ロッテと手分けして、料理を作っていく。相変わらず手際がいい。心なしか機嫌もいいようだ。
レイラは能力のおかげで、飲食はしなくてもいいらしいが、食べれないわけではないだろう。レイラの所へ持って行き、みんなで一緒に食べる事にする。
「!!美味しい!!これも!!これも!!ああ、生きてて良かったわ。こうしてみんなと食事ができるのも幸せな事ね。もし洞窟から出れて死んでしまっても、もうこれで悔いはないわ!!」
そんな大袈裟なと思ったが、顔を見ると、涙を浮かべ食べている。ずっと1人でなんの楽しみもなければ、そういうものなのかもしれない……。
「そういえば、土人形達は、どういう感じで出してるんだ?」
「ああ、あれはなんとなくのイメージよ。人型を思い浮かべて、大きさとある程度の強さを設定する……みたいなね。ただ、多ければ多いほど、強ければ強いほど、こっちが辛くなるわ。」
「なるほどな。魔法を使うのに近い感じなんだな。え〜と、こんな感じか?」
人型をできるだけ詳細に思い浮かべてみる。大きさはとりあえず、プラモデルサイズ。プラモといえばあれだろう。白いロボット。プラモは昔よく作ったから、細かく覚えている。
すると、地面が盛り上がり、プラモサイズのあの白いロボットのような物が出来上がる。
「え!?なんで!?なんであなたにできるの!?しかも、これって……。こんなことできるの?私、自分の能力なのに全然知らなかったわ……。」
レイラに、リンクの事を説明する。
「できるかどうかわからなかったが、できたっぽいな……。だが、一体作るだけでかなり疲れるぞ……。」
「それがあなたの能力なのね……。じゃあ、獣人化してたのも?」
「ああ、ユズハの能力だ。」
「とんでもない能力ね。ますますあなたに興味がわいてきたわ。」
白いロボットが作れるという事は……。もう一つ試したい事がある。もう一つはフィギュアサイズ、イメージを集中して……。
すると、また地面が盛り上がり、一体のフィギュアが出来上がる。
「これって……私ですか?」
「わ、す、凄いです。小さいフィリア様が!!」
どうやら成功したらしい。フィリアの姿のフィギュアを作ってみた。これを等身大でも作る事ができればもしかしたら……。だが問題はまだ山積みだが……。
「なんなのよ、あなた。凄すぎるわ!!私も色々とやってみたくなっちゃうじゃない!!」
きっちりとご飯を完食し、みんなから少し離れ、ブツブツ言いながら、色々な形の人形を作っては崩してを繰り返しだすレイラ。
能力を使えたはいいが、効率が悪すぎる。二体作っただけでかなり消耗してしまった。
ちなみに、色々と試したレイラが言うにはのっぺらぼうの適当な土人形ならそこまで消耗しないということだ。試しに、僕の形をした等身大を作ってみたところ、消耗していた事もあるだろうが、一体で限界だったようだ。
さて、フェルスが頑張ってくれてはいるが、できない時の事も考えないとな……。どうやってハイエルフ達を説得するか。少なくとも、シュナがいなくなったとしても、現状維持が出来る事。極端に閉鎖的っぽいから、それでもいいというかはわからない。
何にしてもあまり時間かけられないだろう。獣人達の村は多少はましになってるとはいえ、ずっと続けば消耗する。エルフ達も協力しあってなんとかするだろうが、早く解決するのに越した事はない。それに、訪れてないだけで、この森には他にも村があるかもしれないからな。こんな馬鹿げた被害はない方がいい。
「シュナ、その結界ってのは具体的にどうやって作るんだ?」
「社に入って、やり方は何となくわかるけど、説明できない。とりま、ひたすら祈るみたいな?ちょーダルい。」
アバウトすぎる説明だが、その社自体に入る事で、さらに魔力を消費し、強力な結界を張るって事なんだろうな。それもハイエルフの魔法の一種なんだろうが、魔術に近い。魔術…………魔術か、試してみるか………。
「シュナ、ちょっと付き合ってくれ。」
「やっと、ウチの良さをわかってくれた?アキノっちはウチを選んでくれたんだね!!」
「……勘違いしてないか?魔法の事で試してみたい事があるんだ。」
「ああね。ウチとしては、そのま付き合っちゃってもいいんだけど……。」
ふわりと近づき、屈みながら上目遣いで目をキラキラさせながら覗き込んでくるシュナ。いや、可愛いよ、確かに可愛いけど。
「却下だ。」
今はそういう事をやっている暇はない。




