樹海深部8
フィリアは剣を収め、レイラは縛られた状態で目の前に座らされている。みんなはすぐに解放され、この場に全員集まっている。みんな怪我もなく意識もはっきりしていて無事なようである。ちなみに、フェルスは元の格好に戻っている。
僕は縛る必要はないと言ったが、レイラ本人の希望で縛ることにした。
フィリアが相当怖かったらしい……。
縛ったのはツバキだが、何故か絶妙にエロい感じになっている。
どこで覚えたのだろうか?
「で、なぜこんな事をしたのですか?」
「ずっと1人でいたから、久しぶりに人が来たと思っていたずらしてしまったの。ごめんなさい。もう何十年?何百年?まともに人と接していなかったから。」
「何十年?何百年?どう見ても、20代半ばから後半くらいにしか見えないが?」
「ありがと。これは私の異能ね。洞窟にいる間は、飲食もいらないし、歳もとらないみたいなの。」
「不老不死なのか?すごい能力じゃないか?」
「確かにね。不死なのかは試してないからわからないけど、世界中の人がなんとしてでも手に入れたい能力かもね。けど……欠点があるの。それは、助けて欲しい事に繋がるんだけど、この能力の代わりに私自身はこの洞窟から出ることが一切できないのよ。」
「大きな能力には代償があるってことか……。」
「ええ、ただ、出る方法がないわけじゃないの。私がここから出るためには、ここの主を倒さなければいけないの。主っていっても、私の能力によるものなんだけど。私の力では到底勝てないし、能力のせいで魔法も魔術も使えない……。しかも、この辺りはハイエルフ達によって結界が張られている……。
つまり、何百年経とうとも、ここから出る事も出来ないし、死ぬ事もできない……。
そして、あなた達がやってきた……。
で、どんな人達なのか色々と試させてもらったわけ。調子に乗りすぎたみたいだけれど……ごめんなさい。」
フィリアの怒りは治ったようだが、他のみんなは元からそんなに怒った様子はなかったようだ。むしろ、恥ずかしさの方が上回っているのか、落ち着きがない。
へんに意識されるとこっちが恥ずかしかなるからやめてほしいんだが……。
すごい能力ではあるが、確かにそれでは生殺しというのか、救いがないな。魔法が使えないとなると、ハイエルフ達にはどうする事もできないだろうしな。永遠とただ生きてるだけというのも辛いだろう。
「だが、もし助ける事ができたとして、浦島太郎のように、洞窟からでたら歳をとってしまうとかはないのか?」
「……そうね、そういう事もあるかも知れないけど、もう十分生きたわ。それもいいかもしれない。あなた達が、たまにでもいいからここへ遊びに来てくれるなら、このままでもいいかもしれないけどね。でも、そこまで甘える事はできないわ。そこは気にしないでちょうだい。」
気にしないでと言われてもな……。実際助け出して洞窟から出たら、風化してしまったりしたら寝覚めが悪い。だが、本人が望むのならそれも人助けになるの……か?
「何にせよ、こっちが抱えてる問題が解決してからだな。それまでは保留にしておいてくれ。ここにずっといたんだ、それくらい大した時間でもないだろ?」
「ええ、そうね。この洞窟でたらあなた達が二度と帰ってこない事もあるかもしれないけど……いいわ。頼む側の立場ですもの。それくらい待つ事にするわ。それにあなたは、バカがつくほどのお人好しだもの、きっと戻ってきてくれると信じてるわ。」
まあ、助けないとはいっていないが、そこまで信頼されてもな……。
「ここでできることなら、私も手伝うわ。何かできるかしら?ここにある鉱石も使ってくれて構わないわよ?」
…………ふむ。
「レイラの能力を詳しく教えてもらえるか?」
「ええ、いいわよ。」
「てか、いい加減縄を解きたいんだが?」
「あら、私のこの姿に欲情してるのかしら?」
レイラがそんな事を言った瞬間、殺気が膨れ上がる……フィリア…か?
パッと見た感じではいつものフィリアだが?
「フィリア?」
「アキノさん、どうしました?」
キョトンとするフィリア。声をかけたと同時に殺気も消える。本人に自覚はないようだ。
レイラを見ると恐怖に怯えているかと思いきや、恍惚とした表情を浮かべ、これはこれで……。とか言っている。あまりの恐怖に変な方向に目覚めてしまったんじゃないだろうか……。
「レイラ、そのままの状態で放置して洞窟の入り口を塞いでいいか?」
「ごめんなさい、ごめんなさい!!」
気を取り直して、レイラの縄を解き、能力の内容を改めて聞く。
レイラの能力は、洞窟限定。しかも元々ある洞窟にしか効果がないという事だ。洞窟内であれば、能力を使う事ができるが、一度使ってしまうと、先述の通り、主を倒さなければそこから出ることができないらしい。
能力としては、その洞窟では魔法や魔術が使えなくなる。また、食事は不要、不老。洞窟をある程度好きな形に変えられる、土人形や、カメは限度はあるが自由に出すことができるということだ。効果範囲もそれほど広いわけではないらしい。
そして、洞窟の形はある程度の時間が経つと元の状態に戻るようだ。
ちなみに、洞窟外から魔法を撃たれたらどうなるのか聞いてみたが、この洞窟だけは魔法の効果を受けないという事だ。
つまり超遠距離から、ここら辺一帯を吹っ飛ばしても、レイラは傷一つつく事なく平気だと言う事である。
生きてく事だけを考えるなら、凄い能力だな。それが幸か不幸かはわからないが。
「レイラが協力してくれるなら、試してみたい事がある。」




