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樹海深部7



「まずは、自己紹介からしようかしら。私の名前はレイラ、人間よ。あなたも人間よね?名前は……アキノだったかしら?」


「やっぱり人間なのか?なんで名前を知っている?」


「せっかちね、答えてあげるって言ったでしょ?名前を知ってるのは、さっきも言った通り見てたのよ。所々にカメがいたでしょ?あの子達が見てるものは全部私にも見る事が出来るのよ。」


 確かに所々にカメがいたな。そういう役割があったのか……。監視カメって所か?


「それって、カメとカメラを掛けているのか?」

「言わないで。たまたまそうなっただけだから……。」


「魔法か何かか?だが魔法も魔術もここでは使えないはずじゃあ……もしかして異能か?」



「そう、あなたと連れも獣人化してたわよね。あれも異能でしょ?ここでは魔法の類いは使えないはずだもの。あなた達も召喚者よね?」


「ああ、僕とユズハは召喚者だ。ここではってのは、この洞窟がそうさせてるのか?それともそれも異能なのか?」


「ここは元々はだだの採掘場、珍しい宝石が採れる…ね。あなた達も見たでしょ?魔法が使えないのは、私の異能の一つ。」


「洞窟に入ってすぐにあった宝石か。あれもお前がわざと見えるようにやったのか?」


「ええ、あなた達がどんな人物なのか知りたくてね。欲に駆られて宝石に手を出すようなら、とっとと追い出していたわ。そんな人達とお話ししたくはないし。あなた達は見事合格ってわけ。その後土人形達を使って、あなた達の強さ、行動を見させてもらったわ。」


「土人形も異能なのか?あの霧も?」


「ええ、霧というかガスね。これは異能ではなく、自分で作ったものだけど。土人形は私の異能ね。洞窟内では色々な事ができるの。もちろん、できない事や制約も多いわ。

 あなた達、ここに何しに来たの?魔族も含め、色々な種族がいるようだけど、地上では当たり前になったのかしら?それとも、あなたが特殊?」


 地上ではってことは、長いことこの洞窟から出ていないか、地上の事に全くが興味ないといったところか?地上の監視はできないみたいだな。


「後者、特殊な方だな残念ながら。この世界でも、色々あるみたいで、種族間で手を取り合うというのは稀らしい。

 ここへ来た理由は、ハイエルフ達が原因だ。」


 ハイエルフをはじめシュナの事情、ここに入るに至った状況を話す。



「なるほどね。地上はいつになっても何かしらの問題を抱えてるのね……。てっきり、あなたの趣味かと思ったわ。とはいえ、色々な種族の美人、美少女を連れて歩いてるだけでも充分驚愕に値するけど。

 で、誰か本命か知りたくて、ちょっと試させてもらったの。あなたがとてつもなく奥手だということはわかったわ。ある意味ではあなたといても安心できるでしょうけどね。別の意味ではあの子達は苦労しそうだけど……。」


「?やっぱり何かしてたんだな?フェルスなんかは服までかわっていたぞ?何をしたんだ?」


「あれは、雰囲気を出すために着替えさせたのよ。他意はないわ。そうね、ちょっと抑えていたものを解放させただけよ。特に体に害はないわ。(正確には色事に対して解放したんだけど。)あなたには何故か効き目がないみたいだけれどね。もう少し過激なものを見たかったわ。残念。でも、あなたもいい思いしたからいいでしょ?」


「確かにそう言われればそうかもしれないが、本人達の気持ちってのがあるだろう?ガスの効果だかなんだか知らないがそういうのはどうかと思うぞ。」


「ふうん、まあいいわ。あなたがバカがつくほどのお人好しってのは分かったわ。」


 今まで少し距離を置いていたレイラがぶつぶつ言いながら近寄ってくる。


「性格は…悪くないわね、強さも充分、襲われるような危険もないと……。うん、決めた、あなたに頼みがあるの。聞いてくれる?それによく見ると顔も悪くないわね。いい返事をくれるなら、みんなとはできなかった続きを私がしてあげてもいいわよ?」


 そう言って顔に手を伸ばしてくるレイラ。そして……バチッ!!


「なっなに!?」


 もしかしてリンクしたのか?今のところ、特に変わった様子はないが……。


「あなた、何かしたの?なにも変化はなさそうだけど……。まあいいわ、頼みを聞いてくれる?それとも先払いがいいかしら?」


「何を言ってるんだ?そういうのはお互いの気持ちがあってだろう?

 頼みの方は内容によっては聞いてやれるかもしれない。だが、まずはみんなを解放してくれ、それから話を聞こう。今の問題が解決してからになるかもしれないがな。」


「可愛いわね。私はいいって言ってるんだからいいんじゃないの?ま、それはこの子に任せるとしようかしら?もしかしてこの子が本命かしらね?この子にはたっぷりとガスを吸ってもらったの、さてどうなるかしら?」


 何を言っているんだ?


 奥から誰かが来たようだ。


「アキノさん!!無事でしたか!?」


 こちらに気付き走り寄ってくるフィリア。だが、レイラが気になる事を言っていたな。もしかしてフィリアも……。フィリアもみんなみたいになってたら……この状況はまずい……。


「今お助けします!!」


 そういうと、腰からショートソードを抜き、両手足の縄をあっという間に切るフィリア。そして、突然フリーになったためバランスを崩して、フィリアの方へ倒れ込む。

 フィリアは、僕を優しく抱きとめ、耳元でよかった……と一言。


 フィリア、イケメン過ぎる……。


「ありがとう、フィリア。助かったよ。あと、離してもらえると……。」


 レイラの言う通りなにかされてるなら、素直に離してはくれないだろうが……。


「え、あ、すみません。ご迷惑でしたか?すぐに離れますね。」


 あれ?普通……だよな?


「アキノさん、どうしました?」


「いや、フィリアも無事でよかった、なんともないか?」


「はい、特に外傷もなく、魔法が使えない以外は特に異常はありませんよ。ですが、それよりも!!」


 フィリアが、レイラの方へと向き直り、剣を構える。


「アキノさんになにをしたんですか!?」


 普段のフィリアからはとても考えられないような殺気を出し、レイラにぶつけている。


 こんなに怒ったフィリアは初めてだ……。いや、僕の為に怒ってくれているの…か。

 だが、この状態はやばい。レイラが下手な事言おうものなら、即座に斬り捨ててしまいそうだ。


「フィリア、一旦落ち着いて。僕は大丈夫だ。なんともない。」


「アキノさんは、黙っていて下さい!!」


「はい……。」


 フィリアのあまりの気迫に押されてしまう……。


 殺気をビンビン当てられているレイラも生命の危機を感じているようで、顔面を蒼白にし、震えている。


「してない、してない!!なにもしてない!!ただ話をしていただけ!!」


「手足を縛り付けておいて……ですか?」


 フィリア、ちょっと怖い……。


「ごめんなさい、調子に乗り過ぎたわ。みんなも解放する、聞きたい事は全部話すから、なんなら、縛り付けてくれても構わないから…ゆる……許して……下さい。」


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