樹海深部4
小さい土人形達が一気に間合いを詰めて、襲いかかってくる!!
全部は捌ききれない!?
「アキノ君!!」
小さい土人形数体をなんとか倒すが、倒しきれなかった人形達から一斉攻撃をくらいそうになり、とっさに防御体制をとる!!
バキッ!!ドスッ!!ドゴォ!!
激しい音はするが攻撃が来ない?
防御体制をとき、周りを見ると土人形達が一掃されている……。そして、そこには耳と尻尾の生えたユズハが立っていた。
「アキノ君、大丈夫!?」
「ああ、大丈夫だ。ありがとう。それより、その姿は……。」
「うん、アキノ君が危ないと思ったら、居ても立っても居られなくなって、気付いたらまた尻尾と耳が……。」
そう、どうやらユズハの異能が発動したらしい。今度は猫耳ではなく、犬?耳である。尻尾ももふもふしている。語尾もニャは付かず、ワンも付かないようだ。
「ん、異能…だよね。でもこれで私も戦える!!」
「無理はしないように!!」
「ん、ありがと。」
さて、いつまで出続けるかわからないが、とにかく倒していくしかないだろう。ユズハが、バタバタと土人形達を倒していく。魔法が使えない今、ユズハが一番能力が高いかもしれない。
僕もユズハに負けないよう、土人形達を倒していく……ん?妙に体が軽い。力も魔法での強化はしていないのにもかかわらず、強くなってる?
「アキノさん、耳と尻尾が……。」
「ア、アキノさん、か、かわいいです……いえ………すみません…。」
「お兄ちゃん、ユズハお姉ちゃんと一緒になってるよ。」
「ふん、これもありだな。」
「ふえ〜〜。」
「それは、どうなってるんだ?」
「アキノっち、もふもふしていい?」
みんながそれぞれ僕を気にしているようだ。……確かに耳と尻尾がある。ユズハが獣化してる時にリンクしたからか?ユズハが獣化してる時は、僕もできるって事か?
なんにしても、今はありがたい。いつまでこの姿でいれるかわからないが、今のうちに倒せるだけ倒しておいた方が良さそうだ。
土人形は、その後もでかいの小さいの中位のと、色々なバリエーションをみせながら、ひたすら攻撃を仕掛けてきた。僕とユズハがメインに動いて倒し、フィリア達にはみんなを守りながら戦ってもらっている。
獣化のおかげで、ずいぶんと戦いやすい。守ってもらってるとはいえ、ほぼ2人で土人形達を捌けてしまっている。
今更ながら異能って凄いんだなやっぱ。まあ、人の異能すら限定的ではあるが、使えるってのは僕の異能も充分チートと言えるが……。
どれくらい倒したのかもう覚えていないが、数が減ってきたように思える。あと一息か?と思ったその時、小さいのが出てこない代わりに、一際でかい土人形が現れる。数は3体、普通の人間の2倍くらいだろうか。
早くはないが、力が強い。
「ユズハ、一緒に倒すぞ!!」
「うん!!」
2人で協力し、一体、また一体となんとか倒していく。さすがに、これ以上はきつい。ユズハの異能もいつまで続くかわからない。最後の一体を倒すと、土人形達は出てこなくなった。
まだ油断はできないが、これで全部倒しきったという事だろうか……?
「終わったか?」
「どうでしょう、不意打ちでいきなり襲ってきたりもありえますよね……。」
「い、一応警戒だけはしておいた方が良さそう……ですね。」
ロッテの言う通り警戒だけは解かずに、休憩をとることにする。しばらくは、土人形も姿を現わすことなく、ある程度の休息を取ることができている。
「さて、先に行ってみるか?」
みんなも立ち上がり、移動を開始しようとしたその時、洞窟内にいきなり霧のようなものが、満ちてくる……。
そして、一気に周りが見えなくなってしまう。
「みんな!!大丈夫か!?」
………。
誰も返事しない?さっきまでみんな近くにいたはずだが……。この霧の中で何か起こったか?
「おい、誰かいないか?返事してくれ!!」
…………。
こんなわけもわからない洞窟で、しかも魔法も使えない状態で離れ離れは危険すぎる。早くみんなを探さないと!!
だが、どこを探せば……。
考えていると、霧が一気に晴れてきたが、入ってきた側の通路には霧がかかったままである。やはり、みんなの姿はない。
そして、奥へと続く道は、霧が晴れている……。
奥へ進めという事か……?明らかに何かに誘導されてるな。だが、この状況では行ってみるしかないか……。
通路を歩いて行くと、小さな部屋のような場所に出る。部屋といっても、形が部屋っぽいだけで、木などでできているわけではなく、岩肌のままである。
また土人形でも出てくるのか?と思ったその時奥から現れたのは……。
「アキノ、無事だったか…よかった……。他のみんなは?」
フェルスも1人でみんなを探していたのだろうか?一瞬ホッとしたような表情をして近づいてくる。
「フェルス、よかった。無事だったんだな?そう聞いてくるって事は、フェルスも1人という事だな。みんなはどこにいったんだ?てか、フェルス、その服装はどうした?」
そう、近づいてきたフェルスはいつもの格好ではなく、ふりふり、ひらひらのついたワンピースをきている。タツヤじゃないが、元がいいだけに、ツインテールも相まって、凄く可愛らしいが……。
そして、そのまま近づいてきて、くっついてきて、腕を組む。
「ちょ、フェルスどうした?みんながいなくなって不安なのか!?」
「気がついたらこんな格好になってた……。みんなの事は心配だけど、そうじゃない。アタイって、魅力ないか?」
この状況でなにを言ってるんだ?不安で現実逃避してるのか?
「フェルスどうした?」
「アキノ、答えてくれ、アタイは魅力ないか?」
「いや、タツヤも僕も言ってるだろう、フェルスは美少女だって。」
「それは本心なのか?ただ、アタイがブスだから、気を使って言ってるんじゃないのか?」
ほんとにどうしたんだ?フェルス。表情もいつもと違って、思いつめた顔をしている。
これは、きちんと言ってあげないいけない気がするな。
フェルスと正面で向かい合い、両肩を優しく持つ。
「フェルス、お前は意地っ張りなところはあるが、周りの事もよく見ていて、気を配る事もできる。一歩引いて、周りの状況をきちんと把握して動く事ができる。手先も器用だし、見た目も凄く可愛いい。とても魅力的な女の子だ。」
「本当か!?」
フェルスが今まで見たことないような笑顔を見せて喜ぶ。その表情も相まってどっからどう見ても、美少女という言葉以外は当てはまらない。そして、その表情は見る人を魅了する危うさを秘めている。
そしてフェルスは、一歩こちらに近すぎ、上目遣いで僕を見つめ、少し顔を上げ、瞳を閉じる………。
「ちょ!!フェルスほんとにどうしたんだ!?」
声をかけるが、動こうとしないフェルス。
どうしたものか……。
こういうのって、下手に引き剥がしても、傷付けるよな……。気持ちもなくするのは失礼だし。
だが………。
フェルスの両肩を持っていた手を離し、背中に手を回す……そして……そのまま……優しくハグをする。
一瞬、ビクッとして、んっ!と、軽く声を上げる……。
そして、そっと離れると、目を開けるフェルス。その顔は赤く染まっている……。
「まあ、今回はこれで……。」
軽くうつむき、聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟く。
「ん?」
「いや、なんでもない。」
とりあえず、落ち着いた……か?
「みんなを探すぞ、フェルス。」
「ああ。」
フェルスと先へ進もうとした、その時、また霧が部屋の中に広がってきてしまった。
そして急激に…眠……け………が………




