ゴブリン村に残された者達
「遅い!!遅過ぎる!!!一体何日戻ってこないつもりなんだアキノ達は!?」
「気持ちはわかるけど、落ち着きなよツバキ。お兄ちゃん達が約束を破るとは思えないし、きっと何か戻れない事情があるんだよ。」
「そうですね〜。でも〜、確かにアキノさん達が出て行ってからかなり経ちますからね〜。」
「アイツらならよほどの事がない限り大丈夫だとは思うが……。ってみんなして思ってるからこの状況なんだろ!?この会話何度目だ!?」
ツバキにアクア、ネージュにフェルスの4人は、アキノ達の心配をしてはいるが、あの3人なら大丈夫だろうと油断しきっているため、この場所から動けずにいた。そう、ゴブリン村の温泉に。
「いや、しかし確かに遅過ぎる気もするな……。」
「うん、もしかしたら大変な事に巻き込まれてるのかも……。」
「ですね〜。西の森に向かうって言ってましたよね〜?」
「お前らな〜。さっさと上がって、様子を見に行かないか?」
なんだかんだと言いながら、1番心配しているのはフェルスの様だ。
本来なら、ツバキ辺りが1番に暴れそうであるし、アクアがきちんとなだめながらも、方向修正していくというのが、いつものパターンというものだろう。だが、温泉のせいでこのざまである。
「ふむ、とりあえず森の方へは来たものの、どうしたものか……。」
「大体の場所はあってるんだよね?」
「ああ、間違いない。アキノ達が出かける時にこの辺りにいた事は確認しておる。」
「なんだかんだ言って〜、気にしてるんですね〜。」
「当たり前だ、アキノは妾の夫になる男だぞ!!」
無意味に胸を張るツバキ。
「で、その夫になる男は、今はどこにいるんだ?能力でわかるんだろ?」
「ふむ、それがさっぱりわからん。呼びかけも全く返事なしだ。」
「そういえば〜、雪の中でもアキノさん同じような事いってましたね〜。魔力が濃かったり、阻害するものがあると、使えないみたいな〜。」
「って、事は、そういう事だね。」
「居場所がわからない理由はひとまずそれでいいとして、帰ってこれない理由はなんだ?やっぱり何かに巻き込まれたってのが、1番濃厚じゃないのか?」
「まあ、なんにせよ、行ってみないとわからんな。とてつもなく広い森だが、妾とアキノの縁でお互い引き合うであろう。」
「また、根拠のないこと言ってー。でも、探す事については賛成かな。もしかしたら動けない状況にあるのかもしれないし……。」
「私も〜賛成です〜。」
「アタイも賛成だ。ツバキじゃないが、アタイ達なら、アキノ達に会える気がする。」
「フェルちゃんてさ、なんていうか、乙女だよね。」
「うっ、うるさいな!!アタイのどこが乙女だっていうんだよ!?」
真っ赤になりながらも反論するフェルス。
「そういう真っ赤になって照れるフェルちゃんもボクは好きだよ。」
「な!?…………。」
何かを言おうとするが、なにも言葉にでず、さらに赤くなって俯いてしまう。
「さて、行くか。」
覚悟を決めて森に足を踏み入れる4人。だが、森に入って数分歩くと、元の位置に戻って来てしまう……。
何度か試してみるが、結果は同じ。
二手に分かれて、一方は森へ、一方は待機をしていたが、結局戻って来てしまう。
「ふむ、入れんな。」
「うん、魔法?結界みたいなものかな?」
「どうしましょうね〜。」
「もしかして、中からも外に出られないんじゃないか?」
「それは〜、ありえますね〜。それで森から出てくる事ができないと〜。」
刹那、周りの空気が変わる……。
膨大な魔力がツバキの元で膨れ上がり……。
どうやら、ツバキが狐火を使おうとしているらしい。
「おいおいおいおい、ちょ、ちょっとまて!!そんなもん使ったら、森がアキノ達もろとも消失しちまうぞ!!」
ツバキはどうやら本気で放とうとしているようである。
そして、
「水よ!!!!」
ツバキの頭上に大量の水が発生し、そのまま一気にツバキへと襲いかかる。……といっても、ただ、水が落下しているだけではあるが。
当然ツバキはびしょ濡れである。
「これで頭が冷えたよね?ツバキ?」
「うむ、入れないなら吹っ飛ばしてやろうかと思ったが……。」
「フェルちゃんの言う通り〜、森が吹っ飛んじゃうかもしれないですよ〜。結界みたいなのが飛ぶ可能性もない事はないでしょうけど〜。」
「短絡的すぎるんだよ!!」
「まあ、なんにせよ村に戻るか、温泉で対策を考えるとしよう。体も冷えてしまったしな。」
「自業自得だけどね。」
村に戻り、早速温泉へと入る4人。
「ふむ、どうしたものか……。森へ入れないとなると、探しようもないではないか。」
「そうだね。魔法か結界かそういうのに詳しい人がいればいいんだけど……。アイリスお姉ちゃんがいればなぁ……。」
「アイリスさんは私には助けてあげる事が出来ないけど、森の方のことならなんとかできるかもしれないわ。」
「「「「!?」」」」
「セリア……さん?なんでここにいるの?」
アクアがもっともな事を口にする。
「ここの温泉っていうの?が気持ちいいって、噂で聞いたのよ。肌にもいいっていうし、広いってのもいいわね。……そんな事よりも、話を詳しく聞かせてもらえるかしら?あの子達絡みの事なのよね?」
「はい……。」
アクア達は、アキノ達が何日も帰ってこない事、探しに森へ向かったが、不思議な力で中に入れない事をセリアに説明する。
「なるほどね……。立場上、あんまりおおっぴらには動く事は出来ないんだけど、あの子達が関係している以上は放って置くわけにもいかないわ。なにもしなくても、あの子達なら解決して戻ってくるかもしれないけれど。ふふ、また女の子が増えたりしてね。」
「「「「!!」」」」
「ふふ、みんな可愛いわね。冗談は置いておいて、その場所に一度連れてってもらえるかしら?一肌脱ぐわ。って言っても、今はなにも着ていないけれどね。」
パチンとウインクを決めるセリア。色々と突っ込みどころはあるのだが、どう返していいのか、どう接すればいいのか距離感を掴めないらしく、真面目な返事しかできない4人であった。
「ふーん、こんな感じなのね。」
早速みんなで、森の入り口へとやってきたのだが、セリアは1人森に入って行き、戻ってきた。
「なにかわかりそうですか?」
「ええ、なんとかなるかもしれないわ。ただし、全てを解除すれば、この魔法を使った者にも気付かれるでしょうし、何か理由があるのであれば、それを消してしまっては何かしらの問題が起こる可能性がある……。
だから、解除するのは人が通れるくらいの大きさで、一瞬ね。つまり、入る事は出来るけど、何かしらの問題を解決しないと出てくる事は出来ないわ。それに、森に入れたからと言って、あの子達に会えるとは限らない……。
あなた達にその覚悟はあるのかしら?」
一瞬の迷いもなく、コクリと頷く4人。
「わかったわ。あの子達をお願いね。あと、これをアキノに会えたら渡してくれる?」
そう言って、首飾りをアクアに手渡すセリア。
「はい。」
「私に出来るのはここまで。気をつけて行ってらっしゃい。お土産話を温泉で聞かせてちょうだいね。」
「「「「はい!!」」」」
早く更新したいのですが、仕事の関係でこの時期は更新が遅れがちになってしまいます。楽しみにしている方すみません。
遅くても更新だけは続けていこうと思っているので、長い目で見ていただけると幸いです。




