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樹海8



 夜が明けると、早速獣人達がやってきた。エルフは見つかったのかと。

 ん、と2人を指差すと、村長はえらくびっくりした様子で、2人をまじまじと見だした。

 一通り見終えると、納得したのか、2人から目を離す。


「また決闘だとかいうのか?」


「いや、エルフが本当にいたとはな……。伝承が本当なら、エルフは我々森に住む者達を守ってくれている存在。決闘などできるものか。お2人とも、こんな村ですが、どうぞ自由に使って下さい。」


 簡単に頭を下げる村長。

 いや、態度違いすぎじゃね?



 村長には戻ってもらい、ようやく話を聞くことができた。

 金髪のエルフの方は、エリシアというらしい。改めて見ると、金髪のロングでストレート、尖った耳に、緑の瞳、整った顔立ち、そしてスレンダーなスタイル。どっからどう見ても、誰がなんと言おうとまごう事なき、エルフである。

 そして、もう1人のエルフが、やはりダークエルフという事だ。イメージでは、もう少し好戦的なのだが……。このダークエルフ、アルヴは見た目も態度もかなり大人しそうに見える。エルフという種族とあってか、優しそうな顔はしているものの、やはり美形である。


 2人はそれぞれ、エルフの中でもハイエルフの血が混ざっていて、他のエルフ達より高位との事だ。2人が、ハイエルフとのハーフというわけではなく、代々受け継がれできた血筋の末裔だと。


あまり血筋でどうこうというのは好きではないが、国や種族によっては能力などに差が出るし、風習によってはそういう事もあるのだろう。


 エルフと、ダークエルフは容姿も含め考え方も全く違うためか、戦争状態だという。全力での潰し合いこそないが小競り合いは日常茶飯事ということだ。

 もっとも、好戦的なのはダークエルフで、エルフから仕掛ける事はほとんどないという。


 だが、アルヴはそんな状況が嫌になり、周りに戦争をやめれないかと相談したが、誰も聞く耳を持たず。ならば、エルフ側と交渉しようとエルフの村に出向いた時に出会ったのが、エリシアだという。

 エリシア自身も、無意味な戦いはやめたいと考えており、何度か抜け出しては密会を繰り返していた。色々と話すうちに互いに惹かれ合い、エルフ達の大規模な戦いが起こった今回、2人で逃げ出してきたと。

 2人が一緒に逃げて行くのを見つけた、ハイエルフの血筋をよく思わないエルフたちが、混乱に乗じて2人を亡き者にしようと追いかけてきているのだという。

 直接的に何かをしてきたのは今回が初めてらしいが……。

 それぞれの種族の中でも、問題があるらしい……。


「で、現在に至ると……。」


「「はい……。」」


 僕らの事は、すでに軽くではあるが自己紹介はしてある。人間がいる事、そして、何より魔族が一緒にいる事が信じられない様子であった。

 助けられたとはいえ、まだ僕らの事は信用してはいないようだ。


「トレント…木の魔物達はエルフも襲っていたが、あれはエルフ達が操ってるんじゃないのか?」


「ええ、確かにあれらはエルフが操っているのは間違いないのですが、私達エルフとダークエルフではなく、ハイエルフによって、制御されています。」


 金髪のエルフ、エリシアが答える。


「2人が血をひいてるという、ハイエルフか?」


「はい、今までにこんな事はなかったので、ハイエルフ達に何かあったのではないかと思います。私達にはあれを止めるすべはありません。」


「という事は、ハイエルフの所に行かないと、解決しないってことか……。」


「はい、何がが起きているのであれば、それも解決しなければならないかもしれません……。それから……ハイエルフの所へ行くためには、私達エルフの長が持つ杖と、同じくダークエルフの長の持つ杖が必要になります……。」


「つまり、エルフ達のゴタゴタをなんとかして、ハイエルフ達の所へ行き、ハイエルフ達の所でも起こっているであろう異変も解決しないといけないってことか……。」


「はい、エルフもダークエルフも今の状況では、協力も難しいでしょう……。あれが攻撃してきた事は問題ですが、両者にあれに構う余裕などないでしょう。」


どうしたものかと考え込んでいると、黙って聞いていたユズハが口を開く。


「こんな状況で口を挟むのはどうかと思うのですが、お2人は禁断の恋ってやつですよね?駆け落ちまでしてお互いに一緒になろうなんて、愛し合ってるんですね。応援します!!お2人とも、お互いのどこに惹かれたんですか?」


 禁断の恋というやつに興奮しているのか、目をキラキラさせながら、質問をするユズハ。何気に、ロッテも気になるようで、2人を交互にチラチラと見ている。フィリアは……やはり気にしているようだ。……女子だな。


「そうですね、では僕から…」

「乗り気だなオイ!!」


 思わず突っ込んでしまった。


「え、あ、すみません。僕達の事を応援してくれる人なんて初めてなので、嬉しくて。

 ……ダークエルフは、良くも悪くも自分の欲求に正直なところがありまして、それは恋愛においても同じで、押しが強いというか、がつがつしてるというか…そういうのが苦手でして。僕はダークエルフの中では珍しくこういう性格ですので……。

 ですが、エリシアは清楚で可憐で、僕の話もよく聞いてくれますし、まさに理想なんです。もちろん容姿も含めて大好きです。」


 エリシアは顔を赤く染め、みんなもお腹いっぱいっという表情だ。

 こそっとアルヴから聞いた所によると、ダークエルフは、肉付きがよく巨乳が多いようなのだが、そんなダークエルフ達に執拗に迫られた経験もあり苦手意識が強いのだという。そこにきて、エルフのエリシアは、エルフの特徴にもれなく、スレンダー…つまり貧…いや、品乳だと。先述のように、性格も容姿も見事にタイプとのことだった。


「では、私も…」

「ラブラブだなオイ!!」


 エリシアも嬉しかったのか、意外に乗り気である。


「ラブラブ?いえ、一方的に言ってもらっただけでは、公平じゃないですから。

 エルフの民は、基本的に規律と、伝統を大切にしています。ただ、それが私には窮屈過ぎるのです。何をするにも、規則、規則。それはエルフの男性も同様です。そういう人達に魅力を感じなくて……。

 私はもう少し自由に生きたい。そして、一緒になるなら、自由な生き方をしてる人がいい。そう思っていた時に出会ったのが、アルヴです。

 ダークエルフは野蛮で攻撃的だと聞いていたので始めのうちは警戒していましたが、誤解だとわかり、柔軟な考えをするアルヴと話してるうちにどんどん惹かれていきました。そして、一緒になるなら、この人しかいないと。」


 甘ーーーーーーーーーーい!!!!


 せっかく簡潔に説明して次にいきたかったのに、全部言いやがったよ。人によっては殺意がわくだろ、リア充爆発しろとか。

 襲ってきた奴らもそんな感じだったとか?な訳ないか……。

 幸せなのはいいことだけど、このままじゃ何も解決しないからな。どうしたものか。


 なんにしろ、エルフ、ダークエルフの問題を解決しないとなんともなりそうにないな……。

 双方の主張を聞いて和解させるか、とことん戦わせて、勝者のいう事を聞かせるか、はたまた、この2人に賛同する仲間を増やして、新たな勢力をつくるかといったところか……。


「杖を手に入れるとして、2人とも長を説得して持ってこれる自信はあるか?」


「「いえ……。」」


 だよなやっぱ。


「それぞれのエルフで、両種族が仲良くなるという事に賛成する人達はいると思うか?」


「どうでしょう。僕の場合は、ほとんどが聞く耳を持ってくれませんでした。仲良くするのは否定的ですが、戦争はなくなってもいいという声はありました。」


「私の方も同じくですね、仲良くというのは抵抗がありそうですが、戦争自体は無くなって欲しい人が大半だと思います。元々、私達エルフから攻撃をすることもありませんし……。」


「仲間を増やすなら、戦争を望まない者達をなんとか引き込まないといけないな。両種族の友好は別にしても。ダークエルフ達は、別の物に興味がいけばいいんだろ?熱中できるものを作るなり、作らせるなり。……まあ、そのためには森の外にも行き来できないと難しいかもしれないが。」


「森の外にも出られないのですか?」


 エリシアが聞いてくる。


「ああ、間違いなく出れるはずなのに、気がつくと同じ場所に戻ってるんだ。」


「ハイエルフの村へ行く時とと同じという事ですね……。ハイエルフの所へ行く時も、杖がなければ同じようにいつまでたってもたどり着けないのです。」


「杖があれば、森から出られるかもしれないということか。」


「ええ、おそらくは。」


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