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樹海6



あれから西へとやってきたのだが、どこを見ても森、森、森。まあ、樹海なんだから当たり前といえば当たり前なんだが、なかなか中心部の大樹に辿り着けないでいる。


 途中、何度かトレント達に襲われたが、あまり個体差はないようで、気をつけていれば、やられるようなことはない。

 始めのうちは、心配ではあったが、ユズハの実戦訓練も兼ねて、戦ってもらうようにしている。その甲斐があってか、トレントぐらいであれば1人でも問題なく対処できるようになっている。


 とはいえ、相手は木の魔物だから大丈夫ってのもあるかもしれない。生身の魔物だと、返り血を浴びたり、生々しいなるので、躊躇してしまう可能性もある。

 戦いを見ている限りでは、やはり元の世界で格闘技をやっていただけあって、落ち着きがあり、一つ一つの動きが洗練されている。ロッテやフィリアとは、また違った美しさがある。

 そして、おそらくだが、人間の状態であっても、異能の効力か、身体能力が上がっているようである。もちろん、獣人化した時に比べれば、能力上昇は低いようだが……。いくら元の世界のでそれなりに強くても、さすがに、異世界の魔物と渡り合えるはずはない。

 

「ほ、ほんとにエルフはいるのでしょうか?」


「ハッキリとは言えないけど、今起こってる事の原因は何かしらわかるんじゃないかとは思う。とはいえ、暗くなってきたし、今日はこの辺で休むとしようか?」


「そうですね。見知らぬ土地を暗がりの中歩き回るのは危険ですしね。ユズハさんも、お疲れでしょうし。」


 少しひらけた場所にテントを張る事にする。さすがに、日帰りの予定だったため、テントの手持ちはなかったが、獣人の村から使えそうな物を借りてきた。


「えっ?こんな森の中で寝るの?危険じゃない?」


 もっともな心配をするユズハ。


「大丈夫だよ、絶対とは言い切れないけど、魔物が寄ってこれないように魔術を使っておくし、休む事も大事な事だ。ご飯もまだ食べてないだろ?」


「ん、確かに言われてみれば、お腹が空いてきたかも。でも、何もないのにご飯なんて、どうやって食べるの?」


 ん?と首を傾げながら聞いてくるユズハ。 この森も、魔族の村の周辺のように、食べ物はそこら中になっている。魔物が少ないため、肉はないが、食べ物に困ることはなさそうだ。


「この辺に自生してるものは食べれるものも多い、この世界は、何故か食べ物が豊富にある。手ぶらでも、よほど餓死するような事はないよ。ただし、人間には毒なものもあるから、注意は必要だけど。」


「ふーん、そうなんだ。でも毒があるんじゃ私1人では、やっぱりこの世界はやっていけそうにないね。アキノ君がいてよかった……。でも、調理はどうするの?生で食べる?焚き火して焼く?」


「とりあえずテントを張って、火はそれでもいいかな。ちょっと材料調達してくるよ。ロッテ、フィリア、ここはよろしく。」


「「はい。お気をつけて。」」


 さて、と。森だからか果物は多めだな。デザートにとっておいてと。野菜類もそれなりなってるし、ほんとすごいな、この世界。

 今後も食料には困らなそうなので、今回の分だけをとって持ち帰る事にする。


「ただいま、さて、作るか。」


「早かったですね。」


「ア、アキノさん、火の用意はしてあります。」


 さすが、気がきくロッテ。


「警戒ばっかりしてよく見てなかったけど、ほんとに色々なってるんだね。びっくり。でも、食器とかはどうするの?」


「焚き火だし、基本は串に刺して焼けばいいと思うけど……。コップと皿はあった方が食べやすいか。葉っぱを皿にしてもいいんだけど。作るか。」


 そう言って、その辺に落ちている枝を拾い、ナイフで削って、簡単な串を作っていく。大きめの木を拾い、風の魔法で、皿とコップを作っていく。

 それをみて、ロッテも真似てコップや皿を作るが、風の魔法の制御が僕よりも上手いため、一瞬で綺麗な食器が出来上がる……。


「すごいなロッテ。」


「い、いえ。これくらいは……ありがとうございます!!」


「すごい!!2人とも!!魔法かー、私も使えるようになりたいなー。」


 キラキラとした瞳で興味津々な様子のユズハ。


「魔術なら使えるかもしれないから、落ち着いたら教えるよ。」


「ほんと!?アキノ君ありがとう!!」


  よほど嬉しかったのか、僕の手を両手で握ってくる。そして、ハッと気付き顔を赤くしながら、ごめんねといいながらそっと手を離すユズハ。


「さて、ささっと作ってご飯にしよう。」





「ほんとに、魔法ってすごいんだね。なんでもできそう。」


「簡単な魔法なら、魔族であればある程度使えたりしますが、得意不得意もあって、使えない魔法もありますよ。それに、私達はアキノさんのお陰で、多少魔法を使っても苦になりませんが、魔力を消費するので、あまり無駄遣いはできないんですよ。」


「そっか、魔法も万能ってわけでもないんだね。」


 補足するフィリアに、なるほどなるほどといった表情のユズハ。


「さて、早めだけど寝ようか。……その前に、ユズハ。風呂は無理だけど、シャワー浴びるか?といっても、きちんとしたシャワーではないけど。」


「え!?シャワー浴びれるの!?浴びたい!!」



 とはいえさすがに、仕切りなどは無いため、テントを使って仕切りをつくることにする。そして、仕切りの向こう、少し上辺りから、水の魔法で雨を少量降らせる。そのままだと冷たいので、空中に描いておいた魔法陣を通ると、温かいお湯になるようにしてある。


「うわー、凄い!!ほんとにシャワーだね!!ただ……恥ずかしいかも……。」


 確かに、シートの様なもの1枚あるとはいえ、こっちもドキドキしてしまう。

 ユズハに続き、フィリア、ロッテもシャワーを浴びる。


 なんで、女の子って濡れると色っぽくなるんだろ……。やばいな。


 できるだけ見ないようにしてはいるが、どうしても気にはなる。そのままでは風邪をひいてしまうので、今度は風の魔法を魔法陣に通す事で、温風にする。簡易的なドライヤーである。魔族が風邪をひくかは分からないが……。


 ちなみに、僕も最後にシャワーを浴びている。


「やっぱり魔法はすごいよ!!なんでもできる気がしちゃう。」


「ア、アキノさんは魔法も魔術も使えますし、色々と研究なさってるので、私達もいつも驚かされてます。」


「好きでやってるだけだよ、そんなすごいことじゃない。」


「いえ、そういえるところが、凄いんですよ。」


「そうかなぁ?ま、役にはたってるし無駄ではなかったかな。さて、今度こそ寝ようか。」




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