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魔族の街と武器選び

 街の様子は思ったよりも普通。活気があるわけでもなく、かといって悲壮感が漂うというわけでもない。

 食堂の様なものもあるが、賑わいを見せるという事もなく、むしろ閑散としている。


 街の人?達は、ロッテとフィリアさんを連れているからか、比較的愛想もよく、挨拶も普通にしてくれる。


 ただ、ビックリしたのが、魔族の街なだけあって、多種多様な魔族がいる。蝙蝠の様な羽が生えていたり、異様に体格がゴツかったり、逆に小人の様に小さかったり。色々と特徴が異なる種族が当たり前の様に生活をしていることだ。

 魔族という括りでいえばそれまでかもしれないが、人間なんか肌の色が違うだけで差別などする事を考えると、意外と魔族というのは心が広いのかもしれない。ただ、他人に興味が薄いだけかもしれないが。


 それから、特筆すべきは、みんながみんな、美形という事だ、男も女もみんな美形。魔族って、そういうもんなのか?もっと、人間離れしている見た目をしてるかと思ってた。

 これはこれで、魔族の特徴の一つとも言えるかもしれない。


「ロッテ、フィリアさん、街はいつもこんな感じなの?」


「そ、そうですね。特に何もないのが日常です。」


「たまに魔物が街に入ってきますけど、この辺りにはあまり強い魔物はいないので、今のところ大きな被害もでてないですし、皆さん慣れたものです。」


「なるほどね、娯楽施設とかはないの?」


「娯楽施設……ですか?」


「そう、ゲームをしたり、映画を観たり、みんなでわいわい騒いだりできる所。」


「ゲーム、とか映画?とかは、よくわかりませんが、そういうのはありませんね。」


  ん〜、娯楽なんかも特にないってことか、じゃあ何を楽しみに生きてるんだ?


「そういや、魔族のお金ってあるの?通貨みたいなの。」


「お、お金は魔族の間にはないです。必要なものがあれば、交渉したり、他のものと交換したり、その分働いたりします。自分でものを作って交換してる者もいますね。」


 お金がないのか。基本は相手が認める対価を払えばいいって事だな。基準が無いってのは難しくもあるが……。


 街をうろうろ回ってるが、危機感のかけらもないな。このままでいいんじゃないかとも思えてくる。あえていうなら、もう少し活気があるといいかな、という程度。平和そのものだし。とはいえ、魔力を使うような事態にならなければ、であるが。対策は打っておくに越した事はない。


 まあ、こんなものかな。

 武器の選別もしたいし、ガイゼルさんの方もどうなったか気になる。あまりに急な話だから、数日はかかると思うけど。

 そういえば、魔族の統治ってどうやってやってるんだろ。その辺りもおいおい聞いておかないとな。




「ガイゼルさん、ただいま戻りました、人数はどの位集まりましたか?」


「アキノ様、お帰りなさい。料理の研究班に関しては、とりあえず10名ほど集まりました。他の食材の調達班、警備班については、まだ結果が出てないようです。」


「ありがとうございます。ではまず、その10人に僕が料理を教えます。そして、それをそれぞれ広めてもらって、教える人数を増やし、食材の研究をしながら、同時に魔族全体への普及速度、魔力の回復量も計測していただきます。普及率と魔力の回復量を把握することにより、今後の計画が立てやすくなります。」


「よろしく、お願いします。」


「明日から、ロッテとフィリアさんと森へでて、魔物と戦って来ます。まずは自分がどこまでやれるのかを知らなければならないので。それから、料理に使えそうな食材もできれば見つけてこようと思います。僕の住んでいた世界と似たような物が多いみたいですので。」


「わかりました。ですが、決して無理はなさらないで下さい。アキノ様は、我らの希望なのですから。」


「そんな大層なもんじゃないですよ。やれる事はやってみようと思いますが。」





 さて、明日のために武器を探しに来たのだが……。

  錆びて使い物ならないものが多そうだ。しかし、逆にいえば、放ったらかしにもかかわらず、錆びすら無いとすれば、相当な業物か腐食などに強い素材、何かしらの加護?とかがかかってるかもしれない。呪いの魔剣なんかは勘弁して欲しいが………。まあ、たぶんそんなのは明らかに禍々しい感じだろうから、触らなければ問題ないだろう。


 で、当然のようについてきてるのが、ロッテとフィリアさん。扱えそうな武器があるならそれに越した事は無いし、あとで呼ぶつもりだったから、別にいいんだけど。


 2人もこの武器の置いてある部屋には初めて入るらしく、色々と見てまわってる。


「魔族って、基本はどうやって戦うの?」


「魔力が充分にある状態であれば、魔法がメインですね。幻術だったり、肉体強化だったり、攻撃魔法だったり、それぞれですが。」


「武器は使わないの?」


「ほとんどの者が使わないですね。」


 ん〜、なるほど。魔法があればその方が手っ取り早いから、あえて武器を使う必要もないのか。だが、魔法を使えば当然魔力も消耗する。魔力を極力使わない戦い方も覚えていってもらわないとな。


「ロッテも、フィリアさんも何か武器を選んでくれるかな?自分が扱いやすそうなやつ。使ってみないと、わからないと思うけど。」


 といいつつ、自分も武器を使うなんて初めてだからよくわからない。何日か試してみるしかないか。


 結局、使えそうな武器は、ショートソードとダガー、大剣、弓、槍に棍のような物といった感じだ。武器の名前とか全くわからん。


 フィリアさんはショートソード、ロッテは棍を選んだようだ。


 僕は残った武器の中から、ダガーを二本、それから大剣を選んでみた。大剣なんか振り回せるのかなどと心配ではあったが、この武器の特性なのか、少し重いが、見た目に反して軽く感じ、凄く扱い易かった。大剣てなんか、男のロマンが詰まってる感じがするし。あとは明日試してみるか。





 今度は料理を教える時間だ、ちょっと詰め込みすぎた感がある。もちろんロッテとフィリアさんも一緒である。


 魔族ってのは、要領がいいのだろうか、軽く教えただけでも、みんな初めてにもかかわらず、なんとなく形になっている。

 これなら、思ったより料理の普及は早くできるかもしれない。まずは、食堂から解放していって、各自でも作れるように広げていく……そうなれば、魔力の枯渇は避けれるようになるだろう。


「ア、アキノ様、た、食べてもらえますか?」


 と、ロッテ。


「ん、どれどれ。うん、よくできてるよ。」


 ロッテは満足気な表情だ。


「アキノ様、こっちもお願いします。」


「フィリアさん、料理初めてだよね?飲み込みが早い。」


「ふふ、ありがとうございます。」


 実際、ロッテもフィリアさんも僕が作ったものとほぼ変わらないものを作っている。普通なら教えたとしても、何かしら失敗しそうなものだが。もちろん、簡単なレシピのものしか作ってないが。これなら、難易度を上げていっても、問題なさそうだ。


 問題は肉類がないのと、調味料、香辛料だ。海とか無いのかな、この世界。


「フィリアさん、この世界って海か、湖、川とかって無いの?」


 てか、そもそも海とか通じるのか?


「ええ、ありますよ、海も湖も、川も。大きな湖や、川はこの辺りにはありませんが、海なら比較的近くにありますよ。」


 あった。

 しかも全部あった。


「じゃあ、魚とかいるの?」


「魚……というか、多種多様な魔物が棲息しています。」


 魔物か〜、釣りとか難しいのかな。


「その魔物って、結構強かったりする?」


「はい、この辺りの魔物より強いと聞いています。もちろん、個体差はあると思いますが。」


 海が近いなら、魚料理も欲しいよな。強いというなら、対策をしてからじゃないとダメそうだ。とりあえず、塩だけでも確保したい。


 とりあえず今日はこんなもんだろう。


「みなさん、今日はお疲れ様でした。定期的に料理を教えようと思うので、また次回までに、それぞれ研究したり、広めたりしておいて下さい。」


 今日来てくれた10人の魔族達は、それぞれ手ごたえを感じたのか、みんなやる気をみせている。自分でも、腕を磨いておかないとな。


「ロッテ、フィリアさん、明日もよろしくね。」


「はい、よろしくお願いします。」


「は、はい。お願いします。」



 さて、明日は初めての戦いを経験する。ムチャだけはしないようにしないと………。


 どうなることやら。


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