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樹海5



「これで、僕らを受け入れてもらるんだよな?」


「もちろんだ、あれだけの実力差があればな。お前達人間が、我々より強いとは……そして、魔族に関しても、強かったのは昔の話と思っていたが……。」


「おい!お前、さっきなんか使っただろ?卑怯じゃないか!?」


 見張り役の獣人が、つっかかってくる。


「ああ、魔術の事か?お前達獣人はタフそうだったからな。早く終わらせるために使わせてもらった。無駄な怪我をさせないためでもある。試合形式とはいえ、能力の使用は禁止じゃないだろう?そんな事を言いだしたら、獣人と人間で身体能力の差がある事自体が、卑怯ということになる。」


「ぐっ……。」


「とりあえず、木の魔物…トレントのことを聞かせてもらおうか。」




 村長から話を聞くと、子供達が言っていたことと大体同じで、この森に入ってくる侵入者に対して攻撃をし、本来は森を守っているそうだ。森に出る魔物にしても、トレント達のおかげで、凶暴な魔物は少ないため、村が襲われる事もなく、戦う事もあまりないという事だ。


 ……それで、こいつらは弱かったということか、形としては戦う事はあっても、実践はほとんど経験がないというわけだな。

 トレント達が襲ってきた時に、村に怪我人が出てたのは、トレント達が強かったわけではなく、ここの獣人達が弱かったということらしい。


 トレント達が襲ってきた理由を聞くと、はっきりとはわからないとの事だ。が、トレント達は純粋な魔物ではなく、森の中心付近に住むと言われるエルフ達によって制御されていると伝わっているとの事。

 もしかしたら、そのエルフ達になにかがあったのかもしれないと。

 だが、ここの獣人達は、あまり出歩かないため、エルフをみたことも、あったこともないという。


 つまり、そう伝わってるだけでなにもわからないと……。この状況を解決するには行ってみるしかないが……。一度ゴブリンの街に戻った方が良さそうだな。


「とりあえず、一度村に戻ってから、どうするか決めたいんだがいいか?」


 特に断る必要もないが、一応村長に言っておく事にする。


「決めるとは?この村はお前達を認めたとはいえ、他の者は認めていない。それに、今起こっているのは村の問題だろう。お前達には関係のない話ではないか?牢にまで入れた我らを助けるなどと馬鹿げた事を言うわけではあるまい?」


「まあ、普通に考えればそうなんだが、僕はそういう馬鹿なんでね。お前達を助けるというよりは、子供達を助けるついでにお前達が助かるって話ではあるが。知り合った以上、放っておくのも寝覚めが悪い。」


「………変わった人間もいるんだな。いや、お前達が特殊なんだろう……。お前達に関しては村を自由に使わせてやろう。あとは好きにしろ。」









「はっ!?」


 獣人達の村を後にして、森との境目辺りに来たはずなのだが……。


「森から出られませんね……。」


 そう、もうとっくに森を出れてもいいはずなのだが、森から出られずにいる。

 ずっと森が続いているのである。


「お、同じところを何度も歩いてる気がします……。」


「それは僕も思ってた。なんらかの力で、森から出ることができなくなってるってことか……?」


「ん、それじゃあほんとはもうとっくに森から抜けてるはずってこと?」


「ああ、獣人達の村はそんなに森の奥って訳じゃないよ。すでに往復分くらいは歩いてるはず。」


 これも、異変と関係があるのか……?

 だとすれば、エルフ達に何かあったか、はたまた、なにかを起こしているということか?どちらにせよ、その問題を解決しなければ森から出られない?


「一度、獣人達の村に戻ろう。」


「「はい。」」

「うん。」





「なんと……森から出られないだと?我々は森からでないゆえ詳しいことはわからんが……。お前達が出て行った後にもトレントが数体ではあるが、村を襲ってきた。なにかが起きているのは間違いないだろう。」


 村に戻り、村長に話してみるが、やはりわからないようだ。そしてまた、トレント達が現れたと。


「エルフ達の所へ行ってみるしかないって事か……。」


「私達は当然ついていきますよ、ねっ?ロッテ?」


「はい、ア、アキノさんが行く所ならどこへでも。」


 視線をフィリアとロッテに向けると、当然いうように返してくる。

 さて、ユズハだが……。


「私もついていく!!」


「危険だぞ?おそらくただでは済まないはずだ。」


「ん、分かってる。フィリアさんと、ロッテちゃんはよくて私は駄目なの?2人も女の子でしょ?足手まといにはならないようにするから……。知らない世界で、1人ぼっちは嫌なの。」


 それはわからないでもないが……。


「わかった。できる限りはみんなでサポートするけど、何が起こるかわからない。覚悟だけはしておいてほしい……。」


「うん、わかってる。」


 とはいえ、だ。ユズハに異能があるとはいえ発動条件がはっきりとわからない今、ただ連れていくのは危険過ぎる。

 付け焼き刃でしかないが、しばらくは実戦経験を積んでもらうしかない……。


「村長、村の戦えるやつらを集めてくれ。」


「それは構わんが、何をする気だ?」


「はっきりいって、この村のやつらは弱すぎだ。これじゃあ、村をいつまで守れるかわかったもんじゃない。あまり長居はできないが、そいつらに戦い方を叩き込む。」


「なんと、まさか人間にそんなことを言われるとは……。我々獣人も落ちたものだ。だが、背に腹はかえられぬか、よろしく頼む。」


 こうして、獣人達と、ユズハの実戦訓練が始まった。もちろん、指導は、僕とフィリア、それにロッテだ。

 ユズハも、合気や空手をやっているため、教える側に回ったりもしている。

 ちなみに、最初に助けた子供達も強い希望により参加している。自分たちの身は自分たちで守るそうだ。


 まったく、大人の獣人達とはえらい違いだ。

 自ら志願している事もあって、飲み込みが早く、群を抜いて成長している。

 元々身体能力は高いのである。型や基本を覚えれば、成長は早い。


 ……まあ、僕らの場合は教えれるほど基本ができているわけではないが。


 ユズハは、対人戦であれば前回のようになんとかなる場合もあるが、ここ異世界においては、それだけでは危険過ぎる。

 一対多数で戦ったり、武器を使用しての戦闘も行なっている。

 もちろん、武器の扱いは全くの素人のため、主に受ける側の訓練だが。

 魔物においては、爪や牙、中には飛び道具を使ってくるやつらがいる。森にでる魔物は、トレントのおかげか、あまり強くはないため、練習相手としてはちょうどよかった。


 たった数日ではあるが、全く何もしないよりはマシだろう。

 あまり長くいても、自体は好転しないため、そろそろエルフを探しに向かうとする。 

 全てが、らしい。との事なので、実際のところは行ってみないとなんとも言えないが。


 なんとか無事に解決するといいが……。

 みんな心配してるだろうな。


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