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樹海2



「あっ!!ごめん、つい……。」


 ずっと握りっぱなしだだった手をユズハに放してもらい、この世界の事、今まであった事を大雑把に話していく……。


「その話が全部本当だとしたら、ここは私達のいた所とは違う世界ってこと?はっきり言って信じられないんだけど……。どこかからカメラが出てきて、ドッキリでした〜。って言われた方がよっぽど説得力あるわよ。

 それに、この娘達は魔族っていうんでしょ?魔族って確か、悪魔?悪い事するんじゃないの?どう見ても、モデルかアイドルがコスプレしてるようにしか見えないし、悪い娘達には見えないよ?」


「いや、言ってる事はわかる。僕も始め似たような事考えたよ。だけど、ここは異世界で、僕達はここにいる。信じようが信じまいが、それは変わらない……。

 でも、よかった。魔物に襲われなくて……。こんな所で出会ったけど、運が良かったかもしれない。場所によっては襲われたり、酷い目にあってたかもしれないし……。」


「……私もアキノくんと会えて良かったわ。もし、ここがアキノくんの言うように本当に異世界なら、誰にも知られずに死んでしまったりする事もあったかもしれないんでしょ?でも、ここは牢屋だよ?アキノくん全然焦ってないから、ドキドキもおさまってきたけど、これって大変な事なんじゃないの?」


「まあ、なんとかなるでしょ。今までだってなんとかなってきた。それに、ロッテとフィリアもいるし。いざという時は、僕がユズハを守るから。」


「アキノくん……。」


 目をキラキラさせながら、頬を赤く染めるユズハ。

 ん?


「なんにしても、まずは信じてもらう事が先か……。ロッテ、フィリア、ツノ触らせてもらってもいいかな?」


「はい、大丈夫ですよ。」

「は、はい。」


「えっ、ほんとにツノ触っていいの?なんかごめんなさい。と、その前に自己紹介よね。アキノくんと同じ世界から来ました。ユズハです。」


「魔王の娘のフィリアです。アキノさんにはいつもお世話になってます。」


「いえいえ、こちらこそアキノくんがお世話になってます。」


 なにこのやり取り……。


「って、えっ?ま、魔王の娘?魔族のお姫様!?品があって綺麗な人だなとは思ったけど……。私みたいなのが、お姫様と接していいの?」


「大丈夫ですよ、ユズハさん。アキノさんのご友人という事ですし、私は仲良くしたいです。」


「ありがとうございます。でも、お姫様なんて憧れちゃうなー。」


「わ、私はロッテと言います。魔王様の所でメイドとして仕えております。今は、アキノさんの身の回りのお世話全般を任されております。よろしくお願いします。」


「メイドさん!?今の服も凄く似合ってますけど、メイド服も凄く似合いそうですね。

 アキノくんの身の回りのお世話……ううん、よろしくお願いします。」


 挨拶を済ませて、ツノを触ってもらう。


「ほんとにツノ……なんだね。なんか信じられない……。」


「その気持ちはわかるよ。僕も初めてあった時に、ロッテのツノを触っちゃったし。」


 俯いて赤くなるロッテ。


「と、あとは魔法か?牢の中だから、大した事はできないけど……。光よ!!」


 指の先に小さな光を作ってみせる。


「これが……魔法!?すごい!!アキノくん魔法が使えるの!?」


「ある程度の魔法は使えるよ、ロッテとかフィリアの方が凄いけど。僕の場合は、異能のおかげかな。ユズハに使えるかはわからないけど。」


 そう、異世界の召喚者は今までみんな何かしらの異能をもっている。ユズハは、どんな異能をもっているんだろう?


「異能?さっきもそんなような事言って気がするけど、タツヤ君も何か使えるの?」


「ああ、タツヤの場合は、例えばゴブリンなんかの人型だけど、人間とは違う種族に職業を付けることができる。

 ……ユズハからすると、職業つけても意味ないと思うかもしれないけど、この世界では、その職業にあった能力が格段に上がったりするんだよ。それもかなり強力な能力だ。

 ちなみに、僕は人型の人間に近い種族と繋がることで、能力を使ったり、魔力がお互いに回復したりする。条件があったりして、まだ謎の多い能力だけど……。」


「ん……よくわからないけど、要はその能力のおかげでアキノくんは魔法が使えるって事だよね……。私にも何かしらの能力があるって事?なんにも感じないけど……でも、魔法は使ってみたいかも!!」


「魔法は、魔力がないと使えないから、異能によっては使えないかもしれないな。この世界の人間にも使える魔術なら、もしかしたら使えるかも……ただ、異能もどんなものか全く想像つかないからな、何かきっかけがあると発動するかもしれない。」


「ん、やっぱりよくわからない。私なんかに異能ってのがあっても、使いこなせないんじゃないかな?」


「まあ、どんな能力がは分からないけど、ユズハならなんでも使いこなすんじゃないか?容姿端麗、スポーツ万能、成績も優秀、まさに文武両道だからな。」


 そう、見た目委員長系であり、おとなしそうに見えるが、スポーツもなんでもこなし、空手と合気道も嗜んでいる、ユズハを怒らせると怖い、マジで。


「容姿端麗って、何言ってるのよ!!そうやってからかって……。恥ずかしいじゃないの……。私は普通よ、普通。私にやれることをただやってただけ。それを言ったらアキノくんだって凄いじゃないの、私アキノくんに勝てないこといっぱいあるわよ。」


 後半は否定しないんだな……。


「ユズハが普通なら、世界は凄いことになるぞ。僕が勝てないものもいっぱいある、得手不得手は、誰にでもあるだろ?」


「そうかもしれないけど……。」


「あ、あの、アキノさん、これからどうしますか?」


 話が別の方向に向かってしまったためか、ロッテが、本題に戻す。


「んー、出ようと思えばいつでも出れるし、とりあえずは、協議の結果をまってみようかな。」


「そう…ですね。ただ、1日ではもう帰れそうにありませんが……。アキノさんの能力で、皆さんにはもう?」


「いや、この森のせいなのか、みんなとの連絡は取れなかった……。あんまり遅いと探しに来るかもしれないな……。こんな広い森で、能力無しに探せるものでもないと思うけど……。」


 ……なにやら外が騒がしい。なにか起きたのだろうか?次第にあちこちから、悲鳴や、物音が聞こえてくる……。


 牢をでて確かめるか?

 そう考えていたその時、森で助けた子供達が、牢の前までやってきた。


「遅くなってごめん、なかなか抜け出せなくて。お兄ちゃん達、逃げて!!村にもさっきのやつらが襲ってきたんだ。大人が今は戦ってるけど、どうなるかわからない……。僕達を助けたせいでお兄ちゃん達が巻き込まれちゃうのは違うと思うんだ……。村の事はいいから、逃げて!!」


 なんてできた子達なんだ……。

 村にも木の魔物が襲ってきたって事か……。当然今まではそんな事はなかったと。何か異変が起きているって事だよな……。

 この子達は逃げろというが、逃げてこの子達に何かあったらと思うと……無理だな。また捕まるにしてもとりあえずは、村の安全を確保するか。


「ロッテ、フィリア!!」


「「はい!!」」


 頷く2人。僕の思ってる事はすでに分かっているようだ。


「ユズハ、どうやら村が襲われてるらしい……。さくっと退治してくるから、この子達を見ててくれるか?」


「それはいいけど……大丈夫なの!?」


「ああ、心配ない。行ってくる!!」


 そう言って、牢から飛び出す。ロッテとフィリアもそれに続く。


 外へ出ると、あちらこちらで、戦闘が行われているようだ。さすが獣人族というべきか、動きが俊敏である。木の魔物相手によく戦っている。だが、致命傷はないものの、ケガをしている獣人もいるようである。


 やるか……。目に入る魔物から次々と倒していく……。 

 魔物も弱いわけではないのだが、今までの経験のおかげで、難なく倒す事ができている。

 魔物を倒して回っていると、獣人達の中にはこちらに驚く者もいたが、とりあえずは無視である。獣人もそれどころではないらしく突っかかってくる事もない。


 あらかた倒し終えたというところで、先程の子供達が、走ってくる。


「お兄ちゃん達!!大丈夫!?」


 心配もあるだろうが、自分達が逃したせいで僕らが戦いに行ってしまったたため、責任を感じているのだろう。


「ちょっと、君達!!待って!!まだ危ないよ!!」


 ユズハが子供達の後ろから追いかけてくる……。

 と、不意に子供達の近くの街路樹が動きだす!!


「危ない!!」


 子供達を助けようと加速するユズハ。僕らも助けに向かうが、距離がある。子供達に魔物の枝が伸びたその時!!


 ズドンッ!!!


 大きな地響きが起きる。


 ……どうやら、ユズハが子供達に追いつき、木の魔物を投げ飛ばしたらしい……。

 そして、ユズハは高く飛び上がり勢いをつけ、魔物に向かって拳を振り下ろす。


 ズドンッ!!!……パキッ!!


 重たい音ののち、木の魔物は真っ二つに割れてしまった。



 そこに立つユズハの姿は……。

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