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ドワーフの村8



「行きます!!風よ!!」


 ロッテによる、フェルスの人間大砲が放たれる。


 作戦と呼べるのか?一か八かにも程があるが。まあ、落ちて来ても、ロッテがなんとかしてくれるだろうが……。完全に他人任せである。


「うおおぉぉぉぉ………。」


 勢いよく発射され、声を上げるフェルス。どんどん声が小さくなっていく。

 サラマンダーからは、死角になるように、後ろから打ち上げてはいるが、相手も飛んでいるため、着地させようにも、難しいものがある。

 ある程度はロッテの風でなんとかなるかもしれないが、微調整はできない。しかも、サラマンダーに気付かれれば、加速されたり、避けられたりするかもしれない。


 その間も火球は止む事がない為、こっちはこっちで、忙しい。……頼むぞフェルス。


 高さがサラマンダーを追い抜いたが、やはり距離があり、背中に乗るなんて芸当はとてもじゃないが、できそうにない……。

 ついには折り返しに来たのか、だんだんと落ちてくる。……戦斧を両手で広げて、羽のように使い軌道を修正する。


 器用だな、フェルス。


背中の近くまでは行くが、相手も飛んでいる為、あと少しが届かない。

 そこへ、アクアが水の魔法を使い水の塊をフェルスの近くへと飛ばす。


 一瞬サラマンダーへの攻撃をミスしたかと思ったが、そうではないらしい。

 その塊をネージュが、凍らせる事により、空中に氷のブロックが出現する。もちろん、すぐに落ちてしまうが、フェルスの近くにいくつものブロックを作る事で、足場を作るつもりらしい。


 その意図をフェルスが汲んだのか、ブロックに近づき、横向きに跳躍する。

 元々身軽なのもあり、反動で氷のブロックは飛んで行くが、いくつものブロックを使う事によりフェルスもまた、サラマンダーへと近く事ができている。


 流石に気がついたサラマンダーは、フェルスへと火球を飛ばすが、それを見事にアクアが水の魔法で防ぐ。

 大量の水の蒸発により、あたりは白くなり視界はほとんどなくなってしまっている。

 そのおかげで、サラマンダーからはフェルスの場所を特定できず、逆に、フェルスからは、体の大きなサラマンダーは見つけやすい。

 そして、ついにサラマンダーの背中へと降り立ち、暴れ出す。


「グガァアアアアアア!!!」


 サラマンダーが苦しそうな声を上げる。どうやら、効いているらしい。そして、ついにサラマンダーが落ちてくる。



 ドオォン!!!!


 大きな音をたてて地面へと激突し、あたり一帯に砂埃が舞う……。


 ……フェルスは!?


「フェルス!!無事か!?」


 …………。

 …………。

 …………。


「ゴホッゴホッ!!な、なんとか無事だ…ぞ。」


 咳き込んではいるが、どうやら無事なようだ。落ちるサラマンダーの上にそのままのってサラマンダーをクッションがわりにしていたようだ。

 かなりの高さから落ちた為、フェルス自身への衝撃もかなりのものだとは思うが……。

 これで、そのままサラマンダーが起きて来なければいいのだが……。


 ……そうはいかないよな。


 少しの間、サラマンダーは動かずにいたが、やはりというか、体がピクリと動く。

 もちろん、倒せなかった時のことも考えてある。


「ふ、ようやく妾の出番ということだな。」


 そう、今までただのお荷物でしかなかった?3尾の狐人、ツバキにもついに見せ場がやって来たのである。

 すでに準備は万端。みんなもサラマンダーから離れている。


 ツバキの周りには青い炎。

 そして、例のごとく胸元から扇子を取り出し、ドヤ顔でサラマンダーへと扇子の先を向ける。


 そういう事しなければ絵になるんだけどな……。


「狐火!!」


 青い炎は、サラマンダーへと一直線に飛んでいき、着弾。

 大爆発を起こす。


 ドゴォォォォォォぉぉぉぉ!!!!



 おい、ツバキ、威力上がってないか?


 想像以上の大爆発を起こし、こちら側にも軽くない被害をもたらしながら、あたり一帯を吹き飛ばす。



 そして、満足気な表情のツバキ。しかもなんで少し艶っぽいんだよ……。


 爆煙がおさまると、やはり満足気にのびているツバキ。これでお荷物に逆戻りである。その威力は凄まじいものはあるが。


 ……サラマンダーは!?


 やったか?

 これで倒せないとなるときついな。


 爆発の中心には、傷だらけでボロボロになったサラマンダーの姿があった。

 あの爆発で、姿形を保っているだけでも凄まじい防御力だという事がわかる。


 ヨロヨロと身を起こすサラマンダー。


 まじか……。


 瀕死に近い状態ではあるが、まだ動けるらしい。今なら、みんなで畳み掛ければ倒せるかもしれない……。


 攻撃をしようと近づくと、ボロボロのサラマンダーの横に黒ずくめの男が立っていた。


「よくもやってくれたな……。爆発の威力には驚かされたが、こいつはまだ生きている。まだ終わりじゃないぞ。」


「今度こそ覚悟するんだな。サラマンダーも虫の息、サラマンダーを倒したらお前の番だ。」


「ふ、生きてさえいればなんとでもなる。」


 そういうと、黒ずくめの男は、薬のような物を取り出し、サラマンダーに食べさせる……。

 すると、サラマンダーの体が変化し始めた。ボロボロだった体が、再生していく……?

 いや、傷自体は治っているようだが、綺麗に治るわけではなく、まさに異形というような、ウニョウニョと気持ち悪いものが、傷を中心に体の表面を蠢いている。

 サラマンダー自体も、苦しそうな表情をしている。


 変化する前に倒そうと攻撃を試みるが、蠢くものが、触手の様に伸び攻撃を阻む。


「うわっ気持ち悪い。でも、なんか可哀想だな。」


 フェルスが誰もが思ってることを口にする。


「どうだ?私の最高傑作は、まだまだ戦えるぞ。」


 なんとも思ってないのは、黒ずくめの男だけだろう。

 このサラマンダーの為にも、早く倒してしまった方がいいのかもしれない。


 魔法や、攻撃を何度も仕掛けるが、触手が邪魔をして、弾いてしまう。


「ふふふ、倒せないだろう。だが、こんなもんで終わりだと思うな。」


 そういうと、さらにサラマンダーに薬の様な物を食べさせる。


 何と表現すればいいのかわからないような鳴き声を上げ、変化していくサラマンダー。

 もはや、かろうじて竜っぽいフォルムはしているものの、ドロドロとしていて、何者かもよくわからない状態になっている。


 そして、口をモゴモゴしてこちらに火球を放つ。それも最早火球とはいえず、黒っぽい紫をした毒々しい色をしている。

 液体のようなものを飛び散らしながら、こちらに向かってくるが、当然受けてやるつもりはない。

 アクアと、ネージュが魔法で対応するが、水でも冷気でも多少弱まりはしてるものの、こちらに向かってくる。

 ツバキを抱え、なんとか躱すと、元いた場所は、溶けてしまっている……。


 熱なのか、酸なのかもうよくわからない。

 ただ、喰らったらやばい事だけはわかる。


 どうする?ツバキはもう狐火を使えない。ロッテも風のカッターを飛ばしているが、体は切れているものの、すぐに再生してしまい、効いているのかわからない。


「じれったいな、早く倒してしまえ。」


 なかなか倒せない僕らに苛立っているのか黒ずくめは、さらに薬を与えようとする……が………。


「何をして、やめ、やめろ!!」


 パクッ


 サラマンダーは黒ずくめの男ごと飲み込んでしまった……。

 なんともあっけない最後だろうか。自業自得だとは思うが……。


 サラマンダーは、黒ずくめだけではなく、黒ずくめの持っていた薬のような物も飲んでいる。黒ずくめがどれだけ薬を持っていたかは知らないが、サラマンダーの変化は止まらないだろう。

 すでに、竜のフォルムすらなくなりうねうね蠢く巨大ななにかに成り下がっている。このままどうなるかは分からないが、悠長に見守っている事などできるはずもない。


 どうする?総攻撃を仕掛けても、効くかどうか分からない。全員で魔法を振り絞ったら倒せるかもしれないが、もしダメだった時は全滅してしまう……。

 僕も狐火を使うか?だが、ツバキほどの威力はない……。ツバキの狐火で瀕死にはなっていたが、薬のせいでサラマンダーの状態もよく分からない……。


「アキノ、ここは居心地がいいな。」


「うぉっ、ツバキ目を覚ましたか!?」


 サラマンダーの火球?を躱す為に、ツバキを抱えたままだったが、どうやら目を覚ましたようだ。ただでさえ、目のやり場に困るのに、こんな至近距離では、さらに困ってしまう、……今はそんな事言ってる場合ではないが。


「何を一人で百面相しておる。もしかしから、ここで終わるかもしれん。見たいなら、存分に見るがよい。触りたければ触ればよい。」


「ツバキ、こんな時になにいって……」

「こんな時だから、だ。無事生き延びれば、好きなだけ見るがよい。」


「ふ、結局一緒じゃないか。まあ、ここで死ぬつもりはないがな。ありがとう、ツバキ。ちょっと余裕ができた。状況は変わってないが。」


 こんなバカなこと言ってられるのも、生きてるからこそだよな……。さて、どうするか。


「アキノ、狐火が使えると言ったな?」


「力の制御はできないが……。使えない事はない。」


「妾も、さっきの威力にはとても及ばんが、狐火を使えそうだ。まあ、放った後どうなるかは知らんが死ぬ事はないだろう。2人でやればそれなりの威力は出ると思うぞ。出し惜しみをして全滅するより救いがあると思わぬか?」


「……まあ、確かにもっともではあるよな。やってみるか……。」


「うむ!!」


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