ドワーフの村5
巨大化したサラマンダーが暴れて、逃げ惑うサラマンダー達がこちらにも向かってくる。
「くるぞ!!」
「「「はい!!」」
さっきのふざけた雰囲気とは打って変わり、みんな一気に切り替えそれぞれ対応していく。
基本的にサラマンダー達は逃げているので、襲ってくるわけではなく、向かってくるので、対応自体は難しくない。だが、四方八方に逃げているとはいえ、こちらに向かってくる数も多い。
フェルスも、修行の成果が出ているらしく、サラマンダー達をうまく捌いているようだ。
あらかたのサラマンダーは逃げていったようだが、メインの巨大化したサラマンダーは残っている。
……どうやら、巨大化したサラマンダーは2体いるようだ。近くで巨大化しているところを見ると、やはり食べてたものに原因があるのだろう。
巨大化して、凶暴性が増しているらしく、巨大化した2体のサラマンダー同士でも攻撃をし合っている。
今の所は、お互いにしか注意がいってないらしく、こちらの事はお構いなしで暴れている。
こちらに注意が向いていないなら、面と向かって倒すより遥かに楽である。
それに、ゴブリンの時と違って、4本の足で立っているため、突進されるときついが、攻撃も届きやすく、足への攻撃もしやすい。
それぞれ別れて、まずは別々の足を攻撃する。
足を止めてしまえば、動く事も出来なくなるからだ。
だが、やはり強度も上がってるらしく、思ったよりもダメージが通らない。が、魔法で追い討ちをかける事で、足を動かなくしていく。
表面は硬いが、中はそこまで硬くはない。
近くにいたフィリアに加勢をしようとしたが、全くその必要はないようだ。
シグルド達に剣技を教えてもらったというのもあり、戦っているのに、華麗に舞っているようにすら見える。容姿の可憐さも相まって、思わず見惚れてしまうほどだ。
ロッテは、鎌で斬りつけ、魔法で攻撃。1人でうまく立ち回っている。こちらも言うまでもなく、動きが洗練されている。
魔族って、ほんとなんでもできるんだな。
フェルスも、斧を使うだけあって、攻撃力が高く、しっかりとダメージを与えているようだ。攻撃されると弱いため、その辺りは、アクアとネージュがうまく援護してくれているようだ。
そして、ツバキは……。
何もしてない。
正確にはできないといった方がいいか。基本的にツバキは一撃必殺。狐火を使うとしばらく動けなくなる。だから、少し離れた所から、戦況を見ている。とはいえ、ただ見てるわけではなく、きちんと周りの状況を見て、全体の状態は知らせてくれるので、決してサボっているわけではない……。たぶん。
もしかして、ガッツリ戦いたくないから、大技以外は使おうとしないとかないよな……。とはいえ、身体能力としては、魔族に及ばないし、魔法での援護になるとは思うが。
2体の巨大化したサラマンダーの足を動かなくしてからは早かった。警戒すべき攻撃もないため、一気に倒すことができた。とはいえ、それなりに消耗はしてしまったが。
「ふう。とりあえず倒せたな。今回は2体のサラマンダー巨大化したが、原因はやっぱり食べてたものだよな?」
「そうですね、私も何かを食べてたのは見てましたし……。ただ、何を食べていたかまでは見てなかったですね。」
餌自体に原因があったのか、その中の原因となるものを2体が食べたということだろうか……。
「なんにせよ、サラマンダー巨大化したという事は確認できた。さらに進んで、その原因を探るとしよう。」
みんながコクリと頷く。
さらに歩みを進めるが、特に変わった様子はない。サラマンダーの数が急に少なくなったのと、さらに温度が上がってきたくらいである。
サラマンダー達にも適正な温度でもあるのだろう。
ん?
見間違いか?
少し遠いが、人影が見える?
みんなにアイコンタクトをして、気づかれないように、屈み込む。
「 人影がが見えるんだけど、誰か確認できる?」
みんなは首を振るが、1人だけ返事をする。
「おお、確かに、黒ずくめの人型のやつが立っておる。」
「見えるのか?ツバキ。」
「ああ、顔まではよくわからんが……。ゴブリン供が言っておったやつかもしれんな。」
「ゴブリン達に村を襲わせ、巨大化させて暴れさせたやつか……。サラマンダーも巨大化した事を考えるとやっぱりその線が濃厚だな。」
「な、なぜこんな所にいるんでしょう?」
「それはわからないけど……。」
「あいつのせいで、アタイの村が!!」
飛び出そうとするフェルス!それを即座に止めるアクア。
「フェルスお姉ちゃん、今は駄目だよ。何が目的でここにいるのかわからないし、もしかしたら、あいつ1人じゃないかもしれないよ。」
できる子アクア、よくわかってる。
「とりあえずは〜、尾行ですかね〜。」
「だな。」
しかし、なぜこんな所にいるんだろうな。サラマンダーは大量にいるが、それ以外には……。
気づかれないように距離を取りながら、あとをつけていく。
すると妙に開けた場所に出る……。
開けた所を中心に、周りは岩で囲まれている。入ってきた所と、奥の方だけが、囲いがなく出入りできるようになっているようだ。
明らかに何かしらの手が入ったような感じである。……闘技場?テレビやアニメなどに出てくる闘技場を模している?観客席はないようだが……。
慎重に進むが、全員が通路を抜けたところで、退路を断たれる。
通路を大きな岩が塞いだのである。巨大な何者かによって……。
何者かというのは、あまりに突然だったのと、岩に隠れて姿が見えないからだ。
退路を断たれたという事は、当然……。
「ようこそ、我が実験場へ。どうやら1人、人間も混ざっているようだが……。歓迎しよう。そして、存分に楽しませてくれ!!」
黒ずくめの男が現れ、言いたいことだけ言うと、奥の通路へと姿を消す……。
そして、代わりに現れたのは……。




