ドワーフの村3
ドワーフの代表の許可がおりたという事で、早速ボタンさんに連絡を取り、前もって動いてもらっていたタツヤとシグルドに次のプランに移ってもらう。
「で、ついてくる事になったのはいいが、フェルス。ほんとに危険だぞ?」
「わかってるよ、でも、村の事をお前達だけに任せるのは違うと思う。」
「てか、なんで代表の前と態度が違うんだ?」
スルーしておこうとも思ったが、気になって仕方がないからストレートに聞いてみる。
「アタイは、みんなと見た目が違ってブスだから、そういう所で点数を稼がないといけないんだよ!!だから、みんなの前では、おとなしくするし、目立たないようにする……。」
見た目を気にして……か、難しい年頃だな。自分をブスだと思っていれば、目立ちたくはないか……。
確かに、他のドワーフの女の子を見ると、身長こそフェルスと同じくらいだが、全体的にころころしてる。フォルムが丸いと言えばいいのか。対してフェルスは、細身である。
ドワーフ達の中では、ころころして、ふくよかな方がモテるようだ。
種族による感性の差か。元の世界でも国によって、好みの違いはあるからな。
自分の感性で言えば、フェルスはフィリア達と同じく、美少女の類なんだけどな。
「僕らの前では気にする必要はないか。まあ、その方が気が楽でいいだろう。だが、自分を偽り続けても辛いだけだぞ?ドワーフ達の間ではわからないが、前にも言ったが、フェルスは可愛いと思うぞ。」
「よ、余計なお世話だよ!!」
「なんにしても、だ。とりあえずフェルスの実力を知らないとな。実力次第で戦い方も変わってくる。ちなみにだけど、魔法は使えないよな?」
「使えるわけがないだろう。魔族の血が混ざってるって聞いたばかりだし。そもそもドワーフは魔法を使えない。使い方すら知らん。」
そうだろうとは思ってたが。魔族とのハーフだから、もしかしたら魔法も使えるようになるかもしれないな。
「フェルス、手合わせ願おうか。武器はその戦斧で。僕はダガーを使うよ。」
「そんなもんでいいのか?怪我しても知らないからな。」
「本気でこい!!」
フェルスが、両手に斧を構えて向かってくる。
動きはなかなかいいようだ。斧を軽々と振り回している。細腕からは想像出来ないパワーで連撃を仕掛けてくる!!
確かに力はあるが、ダガーで防げない事もない。そもそも、力を逃してやれば耐える必要もない。
……そろそろ、反撃してみるか。
連撃はたいしたものだが、防御面はどうか?
……ある程度の単調な攻撃はなんとか受けるが、フェイントを入れたりすると脆い。
「はあ、はあ、はあ……お前、強いな。」
「まあ、それなりに戦ってきてはいるからな。ちなみに、ここにいるみんなも、同じくらい戦えるからな。ツバキを除いて。」
「おい!!」
ツバキからツッコミが入る。
「ここぞという時の破壊力と態度のでかさは、誰も敵わないが、普段は役に立たないからな。」
「お兄ちゃん、本当のことだとしてもはっきり言ったらいくらツバキでも傷つくよ!!」
「アクアちゃん、それ追い討ちになってるから……。」
あっ!!しまった。みたいな顔をしているが、アクアの場合絶対わざと言ったんだろう……。
「アキノよ、大事な事を忘れておるぞ。胸の大きさも誰にも負けておらぬわ。」
気にするどころか、アピールしてきやがった!?確かに、そこは認めるが……。
「いや、少しは反論しろよツバキ。……とまあ、冗談はこれくらいにしておいて……。フェルス、何日かすると、仲間達がこの村にやって来る。村の修復と、いつ来るかわからないサラマンダーの攻撃から守るためだ。
それまでの間、村に留まりながら、戦闘訓練をしていくぞ。」
「冗談だったの…か?マジで言ってる気がしたが……。
ああ。ついて行って役に立たないどころか、足手まといになるのも嫌だしな。よろしく頼む。」
聞いたところによると、この村のドワーフ達は職人のような者達が集まっているため、武器や防具などを作ったりはするが、戦士のような者はいないらしい……。
元々力は強い種族であり、武具の質が高いため、この辺りの魔物位は問題なく倒せるという事だ。
指導者という指導者はいないという事だな。まあ、僕らも師と呼べる様な人もいないし、似たようなものではあるが。
何日か復旧作業を手伝いながら、ドワーフの村で過ごしていると、シグルド達がやってきた。村の復旧作業と、サラマンダー達から村を守ってもらうために。
編成はリザードマン達と、ゴブリン達である。もちろん、それぞれの村の警備は残したままである。タツヤによりつけてもらった職業にもよるが、基本的には、リザードマンは戦闘、ゴブリン達は、復旧作業担当である。
こっちに向かう前に、タツヤとシグルドにやってもらっていたのは、人集めだ。こうなる事を見越して、あらかじめギルドからの依頼という形で参加者を募集し、ボタンさん経由で連絡をし、ドワーフの村に来てもらったというわけだ。
ほぼ戦う事のできないタツヤにはゴブリンの街で待機してもらっている。
ここ数日で、フェルスの動きもだいぶ良くなった。むしろ、数日にしては成長しすぎなくらいだ。この辺りも魔族の血が関係しているのだろうか……。フェルス自身のセンスも当然あるのだろうが。
「ここ数日で、だいぶ強くなったが、本当について来るのか?フェルス。」
「ああ、ついて行く。もともとあの時助けてもらってなければ、死んでいたかもしれないんだ。この命、村のために使いたい。」
「わかった。だが、無茶はするなよ。」
どうやらついてくるという意思は変わらないらしい……。
出発の挨拶をしにフェルスのオヤジさんの所へと向かう。
「オヤジ、行ってくる……。」
「気をつけるんだぞ。……それから、これを持っていけ!!」
フェルスのオヤジさんが取り出したのは、鎧……ブレストプレートのようだ。
胸当てと、腰から下を守る部分のセパレートになっており、動き易さと軽さを重視してあるようだ。しかも、細部にまできちんと装飾がされており、相当な気合を感じさせる。
フェルスが付いて行くと決めた時から、オヤジさんはこれを作る事を決めたのだろう。
オヤジさんを見ると、気丈には振舞っているが、眼にクマはでき、この前よりやつれているようにも見える。
少しでも危険から身を守れるように、寝食を惜しんで作り上げたのだろう……。
「オヤジ……。すまない。大事に使わせてもらうよ。」




