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ドワーフの村



 早速準備を整え、フェルスが倒れていた辺りにやってきた。


「この辺りに倒れてたらしいが……。フェルス分かるか?」


「ああ、この辺りまで来ればわかる。……確かこの辺に……。」


 木々の間にはいり、なにやらごそごそとしているフェルス。


「あった、アタイの武器だ。」


 そう言って見せてくれたのは、両刃の手斧2丁。ただの斧ではなく、至る所に装飾が入っており、その作りから質の高さが伺える。


 フェルスの武器は斧か。てか、こんな小柄な女の子がこんなもの両手に持って戦うのか?想像できないな。やはりドワーフということだろうか。ドワーフということはもしかして?


「この武器は、フェルスが作ったのか?」


「いや、アタイも武器は作れるが、これほどの物はまだ作れない……。これはオヤジが作ってくれたものだ。いつかはこれを超えるものを作るつもりだ。」


 やっぱり武器作れるんだ。さすがドワーフ。斧は倒れる前に隠しておいたか、リザードマン達がその場に置いてったってところだろう。魔物はこんなもの持ってかないだろうし。フェルスのオヤジさんは鍛治師ということか。

 フェルスみたいな女の子でも戦うんだな。ドワーフ全体がそうなのか、フェルスが例外なのかはわからないが……。


「ドワーフの村はあとどれくらいで着く?」


「村はあっちの方だ。この、ランナー?って鳥のお陰で、あっという間に着くと思うぞ。」


 そんなに簡単にはいかないか……。フェルスが指差す方角から、大きな音が聞こえてくる。


 魔物か?


 みると、でかいトカゲ……コモドドラゴンみたいな集団がこっちに向かってやってくる。あれがサラマンダーってやつか。


「みんな、避けるぞ!!」


 散開してそれぞれサラマンダーをかわしていく。襲ってくるわけでもなく。こっちに構いもせずただひたすらに進んでいるようだ。僕らをただの障害物としか認識をしていないようである。とはいえ、避けようともせずに突っ込んでくるため、こちらが逃げなければいけないが……。


 数十匹のサラマンダーが通った後は、踏み荒らされてひどい状態である。


 こいつらが村を襲ったってことか……。村の方からきたってことは……。


「フェルス!急ぐぞ!!」


「ああ、わかってる!!」


 速度を上げ、村へと向かう……。村の方からは火の手も上がっているようだ。



「くそっ!!」


 悔しそうなフェルス。村に着くと、さっきのサラマンダー達の仕業だろう、崩された家や、まだ燃えているところもある。


「みんな、手分けしてこれ以上被害が出ないようにするぞ!!」


「「「はい!!」」」


 ネージュや、アクアは、水と冷気、氷などを使い、まだ燃える家の火を消していく。フィリア、ロッテ、ツバキはけが人の手当てに当たっているようだ。


フェルスは……。ある家に向かって、一直線に走っていく。


 フェルスの家か?

 ついていくことにする。


「オヤジ!!無事か!?」


 潰れかけた家に入っていくフェルス。


「!!フェルスか?なぜ戻ってきた!!ここはもうダメだ逃げろ!!」


 家の中は、工房になっており、武器や防具が散乱している。フェルスのオヤジさんはかなりの怪我を負っているようだ。


「オヤジ!!そんな事言ってる場合じゃない!!大丈夫か!?」


「ワシの事はいいから逃げろ!!お前には死なれたくない!!ワシはこのざまだ……もう長くはない……グハッ!!」


 血を吐く、フェルスのオヤジさん。


「オヤジ!!オヤジ!!」


 その時、無情にも、今までなんとかもっていた家が崩れる。

 とっさに、大剣で2人を守り、落ちてきた屋根を支える。


「アキノ、お前……。」


「く、ちょっときついな、これは。早くオヤジさんを助けてやれ。」


「ああ。」


 オヤジさんを動かそうとするが、怪我が酷いためなかなか動かせずにいるフェルス。


「そこの人、フェルスの知り合いか?すまない。こんな事に巻き込んで……。すまないついでに、この娘を連れて逃げてくれんか?ワシの事はもういい。」


「オヤジ!!」


「………最後だから言っておこう。ずっとお前の母親はお前を産んだ時に死んだと言っていたが、まだどこかで生きているかもしれない……。」


「なんだよ!!最後って!!なんなんだよそれ!?」


「お前の母親は、魔族だ。そして、お前はドワーフと魔族のハーフだ……。もう時間が少ない……全ては語れんが、母親を……。」


「オヤジーーーーーー!!!!!」












 サラマンダーから攻撃を受けていないとある一室にて。



 救助作業もひと段落し、みんなで集まっている。フェルスのオヤジさんも。

 そう、フェルスのオヤジさんもである。

 あのあとすぐにロッテとフィリアが駆けつけて、ロッテが家を吹っ飛ばし、フィリアがオヤジさんの怪我を治したのだ。つまり、オヤジさんは生きている。


 オヤジさんは、まさにドワーフのイメージそのもの。ずんぐりむっくりで、ヒゲ面、ムキムキの太い腕。疑いようの無いドワーフである。


「クソオヤジが!!アタイはもう駄目かと思って……。」


「ガハハハ、皆さんのお陰でどうやら死なずに済んだようだ。聞けば娘も助けていただいたようで、ほんとになんと言っていいか……。」


「いえ、自分達で勝手にやっている事なんで、お気になさらず。それよりも、人様の家の事に首を突っ込むのはどうかと思うのですが、フェルスが魔族とのハーフと言いましたよね?」


「はて、ワシそんな事いったか?」


「オヤジ!!とぼけんな、アタイもはっきり聞いた!!どういう事なんだ?」


「さすがに言い逃れはできないか。お前の母親の事をきちんと話そう。」




 何気にオヤジさんがデレたり、話が長いのでまとめると、鍛治のための材料を取りに炭鉱に通ってたある日、オヤジさんは大怪我をしてしまった。そこに現れたのが、フェルスの母親というわけだ。

 初めて見たときは、そのまま殺されると覚悟したが、その魔族は、オヤジさんの怪我を治してくれた。

 それから、2人は炭鉱で会うようになり、フェルスが生まれた。

 当然、魔族との生活を村ではできるわけもなく、炭鉱で暮らすつもりであったが、フェルスには普通の生活をさせたいと、母親の強い要望により、オヤジさんは、村に帰り、フェルスと暮らすようになった。

 もちろん、しばらくは炭鉱にも通っていたが、ある時、母親が、もう会うことはできない。巻き込むわけにはいかないからと、姿を消したという。


 その後、何度炭鉱へ行っても母親に会う事はできなかった。という事だ。

 何かに追われていたのか、見つかったのか……。だが、もしかしたら生きている可能性もあると。


「アタイが魔族とのハーフ……。じゃあ、これはできものじゃなくて……ツノって事か……?」


 そう言って、フィリアとロッテを見つめた後に、ツインテールを解くと、結っていた根元の辺り左右に膨らみがある。

 それを隠すためにツインテールにしてるって事か……。さすがに、ツノだとは思わなかったようだが。


「フェルス、色々とショック受けてる所悪いんだが、今の状況を知っておきたい。オヤジさん、今この村はどんな状態なんですか?」




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