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倒れていた少女



「フィリア、回復を!!」


「はい!!」


 急いで、フィリアに回復魔法をかけてもらう。みるみると回復していくのがわかる。少しの間に外傷はほぼ無くなったようだ。


 リザードマン達の話によると、この村の周りを巡回していたところ、村から少し離れた南の森倒れていたという。見つけた時にはすでに怪我をしており、気を失っていたらしい。はじめは戸惑っていたが、怪我をしているので、とりあえず運んできたということだ。


 怪我は治ったが、まだ目は覚まさないようだ。しばらく休ませておけば問題ないだろう。

 しかし、なぜそんなところに?村が何かに襲われたのだろうか?それとも、何かをしに外に出たが、魔物にやられてしまったのだろうか……。

 なんにしても、こんな女の子が外に出ないといけないような事が起こったって事だよな……。知らない顔だが、人間か?見た目は限りなく人間に近いが……。



 「こ、ここは……?」



 どうやら目を覚ましたようだ。


「怪我の具合はどう?フィリアが治してくれたから、大丈夫だとは思うけど……。」


「怪我を治す?魔術かなにかか?って、ツノ!?魔族!!」


 そう言うと少女は、ベッドから飛び起き、一気に壁まで下がり、戦う姿勢をとる。


「魔族がなんでこんなところにいるんだ!!それにリザードマンまで!?…お前は人間か?」


 いきなり魔族やらリザードマンがいれば普通はこうなるか……。


「とりあえず落ち着いてくれ。僕はアキノ、人間だよ。召喚された人間だけどね。いきなりの事でびっくりしたかもしれないけど、危害を加えるつもりはない。そのつもりなら、助けたりはしない。さっきも言ったけど、傷は治ってるでしょ?君の名前は?」



「……確かに。とりあえずはそういう事にしておく。アタイの名前はフェルス、ドワーフだ。まずは礼を言う。だが、お前達は何者だ?異種族が一緒にいるなんて聞いたことがないぞ?」


 ドワーフ?イメージでは、髭面で背が低くくて、筋肉ムキムキでずんぐりむっくり、酒好きのオッサンというのが強いが……。当然女の子もいるわな。

 だが、フェルスは確かに背は低いが、細身で、ドワーフと言われても、ピンとこない。

 髪はアッシュグレーで、ツインテール。目はキリッとしている。どっからどう見ても美少女である。この世界のドワーフはこういう感じなのか?




 若干の警戒は解いたようだが、まだ信用してないらしい。ま、当たり前といえば当たり前だが……。


「話すと長くなるから、ざっくりいうと、種族を超えた仲間ってところかな。」


「ざっくりしすぎだな!!そんな事がありえるのか!?」


「見ての通りとしか言いようがないけどね。他の種族にどんなイメージがあるかわからないけど、ここにいるのは信頼できる仲間達だ。」


「にわかには信じ難いが……。で、アタイを助けた目的は?」


 相当信用してないんだな。それが普通なのかもしれないな。僕なんか助けてくれたネージュに感謝こそすれ、疑いなんてなかったからな。


「目的か〜、特に無い。」


「な……ない?」


「少女が怪我をして倒れてたから、助けた。それ以上の事はないよ。ただ、倒れてた理由によっては、力になる事もできるかもしれない。」


「助けた上に、力になれるかもしれないだと?ありがたい申し出ではあるが、すぐには信用できない。普通は、それなりの要求をしてくるものだろう?それに、アタイみたいなブスを助けてもなんの特もないんじゃないか?」


「普通は、か。じゃあ、僕らは普通じゃないのかもしれないな。それに、フェルスはかなり可愛い思うぞ。なあ、タツヤ?」


 一瞬…ほんの一瞬だが、空気がピリッとしたようだが、ここはスルーしておく。


「ああ、フェルちゃんはどっからどう見ても美少女だ。ツインテールもすごくよく似合ってる!!」


「な、な、な、何を言っている?か、可愛いだと?初めて言われ……。村のみんなはもっと……。そんなことより!!アタイはもう18歳、大人だ。子供扱いしないでくれ。」


 顔を真っ赤にして照れる様子のフェルス。本当に言われ慣れてない感じだ……。本当に可愛いのにな。ドワーフも美男美女が多いということなんだろうか?


「何にしても、だ。とりあえず食事でもしながら落ち着いて話をしないか?」


「そこまでしてもらう義理はない。助けてくれたことには感謝してい……」

 グゥ〜〜。


「お腹は正直らしいな。そんな状態で戻っても何もできないだろう?」


「くっ……。いただくことにしよう。」





「うまっ!!美味いなこれ!!お前が作ったのか?すごいな!!」


 お腹をすかせてたので、早速料理を作ったのだが……。

 凄い勢いで食べていくフェルス。

 

「そろそろ、倒れてた理由を聞かせてくれないか?」


「ああ、すまない。飯が美味すぎた。」



 フェルスによると、ドワーフの村が魔物に襲われたらしい。時々村に魔物が入ってくる事はあるが、今回はそういう話ではなく集団で襲ってきたようだ。

 襲ってきた魔物は、サラマンダーといい、でかいトカゲみたいなもので、普段はドワーフの村から南の火山地帯に生息していて、基本的にはそこから離れず、人も滅多なことでは襲わないということだ。

 それが、今回集団で襲ってきたらしい。そして、その中に数匹以上、異常にでかい個体がいたという。


 でかい個体か……。まさかな。

 だが、普段はその場を離れない魔物が襲ってきたという事は、ゴブリンの街での騒動を引き起こした奴が絡んでる可能性もあるか……。


「で、フェルスはそこからなんとか逃げ延びたと。」


「ああ、村のみんなに逃がしてもらったが、結局魔物に襲われて、あのザマだ。結局逃げたところで、みんなを助けるあてもない。ドワーフの村は他の村との交流をしてなかったからな。頼む村もなく、今アタイが一人で戻ったところで、助ける事も出来ない……。アタイ一人逃げ延びたところで……。くそっ!!」


 村の事を話こそしたが、僕らに頼る気はないらしい。村を助けたいなら、交渉してみるってのも1つだろうに。焦る気持ちと、村の外の者は信用できないってのが強いんだろうな。相手のことも信用できないのに、18の少女には荷が重すぎるか。


「ドワーフの村はここから遠いのか?」


「気絶してたせいで、ここの村の位置はよくわからないが、倒れてた辺りからならそんなに遠くない……。」


「行ってみるか……。」


「いや、お前話を聞いてたか?今村は襲われててまだ魔物もいるかもしれない、観光に行くわけじゃないんだ。死にに行くようなもんだ。怪我を治してくれて、美味い飯までご馳走になった事には感謝するが、そこまでのことはとても……。」


「まあ、気にするな。」


「気にするなってのが無理だ!!」


  引かないフェルス。


「相変わらずだなアキノは。まあ、アキノがそういうなら妾はついていくぞ。」


「ボクもついていくよ!!」


「私はそういうと思ってましたよ?アキノさん。もちろんついて行きますよ。ね?ロッテ?」


「は、はい。アキノさんが行くところならどこへでも。」


「私も〜、お手伝いします〜。」


「オレモ、テツダウゾ。」


「決まりだな。」


 話を聞いてる時点で、みんなも察しはついていただろう。当たり前のようについて来てくれるみんな。ありがたいな、ほんと。


「俺も手伝うゾ。」


「シグルドのマネしなくていいよ、タツヤ。シグルドとタツヤは別で頼みたいことがある。タツヤはゴブリンの街へ戻ってくれ。シグルドも護衛を兼ねてついて行ってくれ。その後のことは後で話す。」


 ゴブリンの街にはまだ魔法陣がないのが悔やまれるが、そこは仕方ない。


「なんなんだお前らは。命が危ないかもしれないんだぞ?そんな簡単に決めていいのか?」


「信頼できる仲間だって言っただろ?それに、フェルスのために行くんじゃない。僕が行ってみたいから行くだけだ。何も気にする事はない。」


「それは言い方の違いだけだろう!!」


「なんにしても、行くと決めたんだ。道案内は頼めるな?」


「あ、ああ……。それは…構わない……。危ないと思ったら逃げてくれよ。これでお前らにまで死なれたら……。」



「大丈夫だ。準備したら、向かうとしよう。」


だいぶ更新が遅れてしまいました。楽しみにしている方すみません。

いつもありがとうございます。

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