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ゴブリンギルド?4



 ゴブリンギルドができて、みんなにチュートリアルをしてもらってから、しばらく時間が経った。

やはり、はじめはみな右も左も分からない状態なので、戸惑う場面も多々見られたが、時間が経つにつれ、みんな少しずつ慣れてきたようだ。


 ギルドを活性化させるには、やっぱり魅力のあるサービスや、商品が必要だよな……。

 当面は料理なんかがメインになるんだろうけど。まだ施設なんかは時間がかかるし……。


 ふ〜む、どうしたものか……。

 人を集める…楽しませる……催し物……。


 ああ、あれは!?なんで忘れてたんだろ。僕はベーシストだったじゃないか。まあ、歌も歌うけど。


 楽器に…歌……ライブ!!


 そういや、こっちの世界に来て、楽器見てないよな……。ベースなら木から作った事もあるし、コイルもできなくはないか……。アコースティックなら音量はある程度でるけど、エレキも使いたいよな……。魔法でなんとか出来ないか?ちょっと試してみるか……。

 電気も頑張れば作れるんじゃないか?発電所みたいなのは時間がかかるだろうけど。


 やる事山積みだな。自分で勝手に悩んでるんだけど。






 「という事で、ライブをしたい。タツヤ、お前ギター弾けたよな?」


「おい、ちょっと待て!!話が見えん!!」


 思いついたら、とりあえずやってみたくなるのが人情というものだ。

 早速タツヤのところへ行って、一言目がそれである。分かるわけがない。

 思いついた事をタツヤに説明する。



「ああ、なるほどな。確かに娯楽みたいなものがないからな。そういうのもありかもしれん。だが、全く受け入れられない可能性もあるぞ?」


「まあ、な。そこはほら試してみないと分からないから。」


「面白そうだから協力はするがな。久しぶりにギター弾きたいし。」


 なんだかんだで、色々と協力してくれる、いいヤツだ。これも、少し時間はかかるだろうな。


「とりあえず、作りたい楽器は、ギター、ベース、ドラムに、ピアノだな。多分ピアノが難しいだろうな。キーボードとかも欲しいけど……。他の楽器にしても、はじめは音質とか言ってるレベルではないだろう。だが、始める事に意味がある。」


「それを思いついたところで、実際にやってやろうと思うのが凄いわ。ゴブリン達にも手伝ってもらえばかなり捗る筈だ。」


「そうだな、魔族にも手伝ってもらおう……。ん、そうか、手伝ってくれる人をギルドで募集しよう。」


「ギルドの依頼も兼ねるってか、よく考えつくよ。まったく。」


「すでに、メンバーの担当楽器はイメージで決めてある。実際できてから触ってみた感じで変えるかもしれないが。」


「楽器できてもないのにそこまで想像するのか……。」


「タツヤには、ギターを教えてもらう予定だ。」


「!!あの中の誰かに俺が教えるのか!?俄然やる気が出てきたぜぃ。」


 ほんと分かりやすいな、タツヤ。


「という事で、依頼を出しておく。楽しみだな。」


「ああ、楽しみだ……。」


 タツヤの楽しみだの意味が違う気がするのだが……。やる気があるのはいい事だ、そのままにしておこう。


 作曲とかもしないといけないな、久しぶりだ。うん、懐かしい。

 やってたジャンルはメタル、メタルコア、アニソンにボカロだったけど、はじめは簡単なやつから始めないとな。

 ライブハウスも欲しいし、衣装とかもいろんな種類があってもいいよな……。

 まあ、こういうのって考えてる時間が楽しいんだけど。





 狐人の村、魔族の村でも同じように、デモンストレーションからのチュートリアルを行い、ある程度の理解はしてもらえた。

 今回は、ギルド長同士の挨拶も兼ねるため、タツヤにも一緒に来てもらっている。


 狐人の村に行った時には、久しぶりにボタンさんに会ったというのもあって、しばらく話し込んだ。

 ツバキもボタンと話せて、嬉しそうであった。念話で話せるとはいえ、直接会って話すのはまた違うものだ。


 タツヤは、魔族の村に行くと言っているのに、ギリギリまでボタンさんと話していた。

 今後の事もあるし、交流を深めてもらうのは悪くないがな。


 魔族の村でもタツヤに、ガイゼルさんとセリアさんに会ってもらい、きちんと挨拶を済ませている。

 ……仮にも魔王の前というだけあって、タツヤはガチガチに緊張してたが……。


 ガイゼルさん、良い人なんだよな。そこらの人間より。


 魔族の村にも、ある程度の日数は滞在する事にしてあるので、フィリア、ロッテにもゆっくりしてもらうつもりである。


 ガイゼルさん達との挨拶の後、タツヤは、


「あれが魔王か?凄く良い人そうなんだけど……。それに、セリアさん?めちゃくちゃ美人じゃないか!!大人の色気も凄い!!」


 と興奮していた。


 一応、魔王の妻で、フィリアさんの母だぞ!!と念を押しておいたが、


「そんな事はわかってる、あんな美人と知り合いになれただけで充分だ。それ以上の事は望まない。」


 との事だ。




 久しぶりに魔族の村に戻って来たので、しばらく1人でフラフラする事にする。

 厨房に行くと、魔族が料理の準備をしていた。こちらに気付くと挨拶をしたかと思えば、この食材はどう思いますか?とか、これの調理方法は?とか根掘り葉掘り聞かれてしまった。

 味見もさせられたが、はじめの頃と比べるまでもなく、格段に料理の味が向上していた。


 やっぱり、魔族は元の能力が全体的に高いんだな……。


 村を歩くと、来た頃は活気がなかったが、まだ活気があふれているとまでは言わないが、魔族同士の交流がみられたり、ゴブリンや、狐人の村人がいることを考えると、だいぶ変わってきた印象を受ける。


 このまま、いい方向に向かっていってくれればいいんだが……。何事もすんなりいかないのが世の中の常である。





 次にいつこれるかわからないから、アイリスの家にやってきた。ずっと放置してあるから、掃除くらいはしておこうと思って。アクアも誘おうかと思ったが、アイリス本人というわけでもないので、今回は1人で来る事にした。


 勝手に人の家に入るのもどうかと思ったが、人の手が入らない家はすぐに朽ちていくからな。戻った時に家がないなんて事にならないようにする分には問題ないだろう。



 さて、と。掃除するか……。

 なんか、色々思い出すな。いきなり爺さんが出てきたと思ったら、アイリスが変身してたんだよな、確か。

 なんか懐かしいな……。あれから随分時間が経ったような気がする。早く戻してあげないとな……。


 このあいだ案内された部屋の掃除は終わった。奥の部屋も掃除するか……。

 掃除しながらも、1人で勝手に後ろめたさも感じている……。


 奥の部屋は、前回入っていない。一瞬躊躇するが、勝手に家に入っている以上もう同じだと言い聞かせて、奥の部屋へと入る。


 そこには、部屋いっぱいに本が積まれている。そして、机が1つ、机の上にはノートが並んでいた。


 これ、掃除のしようもないんじゃ?


 とりあえず、ホコリを取り、本を並べていく……。

 どれも、魔術に関する本のようだ。アクアを助けるために色々と研究していたのだろう。


 本を整頓していると、バサッと机の上のノートが落ちてきた。そのうち何冊かは、開いている。


 ……アクアのための研究のノート…か?

 勝手に人のノートを読む気は無かったが、アイリス自身を助けるヒントがあるかもしれない……。


 ノートには魔法の事、魔術の事が書かれていた。魔法については、アイリスが使えないため、憶測が多く、魔術に関してはかなり詳しく研究されていた。完全に理解はできないが、なんとなくは理解する事ができる。

 アイリス自身にも魔術について教えてもらっていたが、こんな事になってしまったため、充分に理解しているとは言い難かった。

 そのため、ここにある知識はアイリス自身を救うためにも役に立つだろう……。




 ふと気づけばかなり時間読みふけっていたようだ……。だが、当然一朝一夕で理解しきれるはずもなく、しばらく通う事にした。


 なるほどな……。対象の隔離と、移動……転移か……。面白いな。

 書いてあることは解るが、実際にやろうと思うと……。魔術においては、アイリスに敵うわけもなく、魔法においては魔族に遠く及ばない……。


 アイリスが、アクアを助ける事に成功させていない以上、今僕がアイリスを助ける事は到底できないだろう。


 今の僕に必要なものは、魔術の知識をさらに深めて使いこなす事、魔法についても詳しく知る事、使いこなす事だ…。

 そして、僕にしかできない事、魔術と魔法の融合……。双方のデメリットを補う事ができるようになれば、色々なアプローチができるようになるかもしれない。

 この事についてはまさに前人未到ってやつだ。なんにしても時間がかかりそうだ。



 すぐにアイリスを助ける事ができないにしても、ここに書いてある概念や研究は、色々な事に活用できそうだ。






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