北の地
ロッテとフィリア、シグルドと共にゴブリンの街からかなり北へとやってきた。やはり、北に進むにつれ、どんどんと気温が下がってくる。ウェアを着込んでいるのもあって、まだ、魔法なしでも大丈夫そうだ。できる事なら魔法を使わずに済ませたい。
まだ距離はあるが前方に真っ白に雪を被った山々が見えている。おそらくあの麓のあたりに、花は咲いているのだろう。
今いる辺りも、進むにつれ景色が変わっていき、今は辺り一面雪景色になっている。
ここに来るまで、途中魔物と遭遇したが、シグルドが職業がついてどう変わったかを確かめたいというので、見守る事に。見事に1人で倒してみせたのだが、その表情は驚きに満ちていた。……多分。
シグルドによると、職業の恩恵はでかいらしく、戦闘するとその差がはっきりとわかるらしい。ただ、感覚と肉体のズレがあるらしく、ある程度慣れなければならないとの事。
強くなるのに越したことはない。今の所はまだ、ウェアのお陰か寒さによって、動きに制限は出てないらしい。
全身モコモコのトカゲというのもな……。
「辺り一面雪景色だな。ここまで真っ白なのは初めて見たよ。」
「私も雪を見るのは初めてです。」
「わ、私も初めてです。ふわふわしてますね。」
みんな興味津々である。……1人を除いて。
「ハヤクイカナイカ?」
一応、カイロみたいな物を大量に作って服にも仕込んであるが、シグルドにはこの環境はきついのだろう。
とまあ、順調にいかないのが当たり前。この寒い地域にもしっかりと魔物は生息しているようだ。
視界に入るのは、大熊のスノーバージョン、簡単にいうと白熊だ。前は大グマに苦戦してたが、今回はどうだろう。あれからだいぶ強くなった。だが、こいつの強さはわからないからな。油断はしないでおこう。雪の中の戦闘というのも、経験がない。
まずは、シグルドと攻撃を仕掛ける。左右から、同時に斬りかかる。
が、雪の中というのもあり思ったよりも攻撃が浅い……。足を取られる上に、踏ん張りがきかないからだ。
白熊は、雪の上でも機敏に動く。
雪の中で生活しているのだから当たり前だろう。すぐに攻撃を仕掛けてくる。が、こちらは4人いることを忘れられては困る。
白熊の後ろからロッテが近づき、鎌で片足を狩る。バランスを崩したところをフィリアが、斬りつける。そして、そのまま倒れ込む白熊に大剣でトドメを刺す。
連携もだいぶ様になってきてるし、これくらいの魔物ならなんとかなりそうだ。
「スゴイモノダナ、ソノレンケイハ。オレモクワワリタイガ、スコシズツ、ウゴキガニブクナッテキタ、フダンドオリウゴクノハ、キビシイナ。」
さすがに服とカイロだけでは厳しくなってきたか。僕らはまだ大丈夫だが。そろそろ魔法で補助していかないといけないな。
「フィリア、シグルドに魔法をお願い。」
「はい、分かりました。」
シグルドに向かって、魔法を使うフィリア。魔法自体は使えるようになったが、どれだけ効果があるかは、やってみないとわからない。
「スマナイ。…………サムサガナクナッタ。スゴイナ、マホウハ。」
どうやら、しっかり効果はあるらしい。これで、シグルドも気温を気にすることなく戦える。
その後も、順調にいくはずもなく、色々な魔物に襲われた。白い一角ウサギには参った。白いため雪と一体になって、いきなりとびかかってくるから、1匹1匹はたいして強くはないが、倒すのに苦労した。
雪国だからか、白っぽいもしくは完全に白い魔物が多い。白いオオカミの集団も現れた。やたらと連携がとれていて、倒すのにかなり消耗してしまった。途中からさらに気温が下がってきたので、みんなフィリアの魔法をかけてもらっている。やはり、4人分となると魔力の消耗が激しいようで、あまり時間をかけている余裕はなさそうである。
「な、なんとか麓の辺りまできましたね。」
フィリアほどではないが、疲れた表情を見せるロッテ。
「早く見つけて戻らないとね、フィリアの魔力も心配だし、せめて魔法のいらない辺りまでは戻りたい。」
「そうですね。だいたいこの辺がお父様に聞いた場所だと思うのですが……。」
「コノユキノナカ、ドウサガセバ?」
シグルドの言う通り、目の前は山々が連なり、地面は雪で覆われている。積もっている雪も数十センチというレベルではないだろう……。
さて、どうしたものか。ガイゼルさんのように辺り一帯の雪を飛ばすわけにもいかないし。ざっくりこの辺ってわかっても、とてつもなく広い。
雪の中で咲いてるんだよな、せめて何かわかりやすいものがあればいいんだけど……。
と、その時、地面が揺れた気がした。地震?この世界に地震はあるのか?
徐々に揺れは大きくなり、深く降り積もった雪の中から大きな物体が現れた。
「なんだ!?」
「大きい!!」
「へ、蛇ですかね?」
それは、こちらをみると襲いかかってきた。
やばいだろ、あの巨体。凄い勢いで迫ってくる。戦うか?いや、まずは逃げよう。でかすぎる。
なんとか一撃目をかわすと、辺りにはその生き物が通った跡がしっかりと残っていた。よくよくみると、蛇ではなく、ミミズのようだ。でかい白ミミズ……気持ち悪い。
そんなこと言ってる場合じゃない、なんとかしないと花を探すどころではない。
「とりあえず、逃げよう!!逃げきれなければ、また考える!!」
「「はい!!」」
「ワカッタ!!」
白ミミズは雪の中へ潜り、こっちに迫ってくる。雪がうねるので、なんとか攻撃をかわせるが、逃げ切るのは難しそうだ。ならば!!
白ミミズが出てくるタイミングを見計らって、大剣で斬りつける!!
かなりの手応えがあったが、どうだ?
白ミミズは苦しそうに暴れ出す。そのまま追い討ちをかけようとしたその時!!
シッポ?頭とは反対側が雪の中から現れ見事に吹っ飛ばされてしまう。
「「アキノさん!!」」
吹っ飛ばされても雪の上なので、大した衝撃はないが、フィリア達とかなり離れてしまった。今フィリア達を襲われるとまずいな……。
が、白ミミズはさっきの一撃が頭にきてるのか、こっちに真っ直ぐ向かってくる。
あれを試してみるか……。思い浮かべるのはツバキ。狐火を使う時の魔力の流れをイメージする……。
身体の中心に魔力が集まってくる。
「狐火!!行け!!」
ツバキが扇子を相手に向けるように、白ミミズに狙いを定めると、狐火が周りから現れ白ミミズに向かって飛んでいく!!
狐火は白ミミズに当たると、軽々と白ミミズの体を突き破り、一瞬でバラバラにしてしまう。
成功した……か。やばい……かなり魔力を絞って使ったつもりだが、魔力をごっそりと持ってかれてしまった。フラフラする。ツバキのこと言えないな……。この魔法自体そういうものなのか……。
朦朧とした意識の中、狐火をみると、白ミミズをバラバラにした後も勢いは衰えず、そのまま山に向かっていき、大爆発を起こす。
そして、大量の雪が山から落ちてくる、つまり雪崩が起きたのである。
やば……い……。
その瞬間意識が遠のき倒れてしまう。
かなりの時間が空いてしまいました。やっと更新ができます。
山は越えたので、少しずつペースもどってくると思います。
いつも、読んで下さりありがとうございます。




