北の地へ向かう準備2
とりあえず一旦話を切り上げ、それぞれ部屋で休んでいる。
やっぱり防寒対策の基本は、厚着だよな。軽くて暖かい素材を使って……モコモコし過ぎると戦闘時邪魔になるし……。やっぱりダウンジャケットか、スノボする時みたいな格好か……。
ロッテも、フィリアもボーダーみたいな格好も似合いそうだな。……ツノって、寒さ感じるのか?
問題はやっぱりシグルドだよな。連れて行っても、このままだと足手まといになるのは目に見えてる。かといって、連れて行かないのも、面子やら色々あるだろう。
まずは防寒着を作るところから始めるしかないか。
コンッコンッ!!
「はい、空いてますよ。」
「失礼するわね。」
そういって、部屋に入ってきたのはセリアさんだ。ベッドに座っている僕の横に腰掛ける。
「セリアさん、近い!!椅子使ってください。」
「ふふ、ここでいいのよ。北の地に行くための準備はどうかしら?何かいい考えは浮かんだ?」
「いえ、厚手の服を作ろうとは思うんですけど、それだけじゃ足りないと思うんですよね。何かないか考えてはいるんですけど……。」
「だと思ったわ。1つ方法があるんだけれど、試してみる?」
「何かあるんですか?教えてください!!」
セリアさんは、いたずらっぽい表情を浮かべ、僕を押し倒す。
って、ちょ、ちよちょ!!なにを!?
そして、セリアさんが覆い被さると、一瞬光を放つ。そして、何事もないように、ベッドに座り直すセリアさん。
色々と意味がわからない。あまりの出来事に思考が止まってしまう。
「ふふ、これであなたは今、寒さを全く感じないはずよ。」
「え、と。な、何したんですか?」
「寒さを感じないように魔法をかけたのよ。ほら!!」
次の瞬間、部屋が氷で覆われる。
セリアさんの魔法?一瞬で?
「部屋が……。でも、確かに全く寒さを感じないですね。他の人にもその魔法をかける事できるんですか?」
「できるわよ。ただし、私は今回だけ。フィリアなら、覚えればできるようになると思うわ。とりあえず、部屋を元に戻すわね。」
セリアさんがそう言うと、部屋の氷は跡形もなく消え去り、元の状態に戻る。
魔王とか、魔王の妻とか桁違いなんだな、やっぱり。
「ふう。ただ、常時この魔法をかけっぱなしってなると、魔力の消耗が激しいから、人数は少ない方がいいわね。あ、ちなみに押し倒す必要はないわよ。」
「え、じゃあなんで……。」
「ふふ、いいじゃないの。ま、頑張りなさい。応援してるわ。」
「はい、ありがとうございます!!」
そう言ってセリアさんは立ち上がり、ドアノブに手をかけたところで振り返る。
「あ、そうそう、言い忘れてたわ。」
?
「ご馳走さま!!」
やっぱりからかわれてたんだな。分かっててもドキドキしてしまう。あんな綺麗な人に迫られたらドキドキしない方がおかしいよな……。
寒さ対策は、フィリアが魔法を覚えてくれたお陰で、なんとかなりそうだ。ただ、時間的に長時間、人数が増えるときついみたいなので、ロッテ、フィリア、シグルドと行く事になった。ツバキとアクアは今回も留守番。
もしも何かあった時に、ツバキなら僕の居場所もわかるからだ。
それから、魔法だけに頼らないために、服はこの村にあるあったかそうなものを詰めて、スノボウェアみたいなものを作ってもらった。
ここで着る分には充分暖かいから、少しは寒さを防ぐ事ができるだろう。セリアさんみたいに一帯を氷で覆う事が出来れば、効果の確認もできたかもしれないが、あんな事とてもじゃないができそうにない……。ロッテもフィリアも無理だそうだ。
まずは、ゴブリンの街へ行って、それから北を目指す。ガイゼルさんが、花を見つけたのも、ゴブリンの街から、ずっと北の方という事だ。ツバキとアクアは、そこまでは一緒に来てもらうことにする。
「というわけで、ツバキとアクアはここでしばらく待機してもらおうと思ってるんだが、大丈夫かタツヤ?」
ゴブリンの街へ来て、タツヤに今までの経緯を話したところである。
「また、お前は厄介ごとに巻き込まれてるな。今回は自分から余計にややこしくしてるみたいだが……。その、族長の娘とやらを助けたら、こっちに移り住んでもらうって?ゴブリン達がなんていうかわからんが……。ツバキさんと、アクアちゃんは、何日居てくれても構わない。なんならずっと住んでもらってもいいぞ。
お前はいつも美人、美少女に囲まれてるからいいかもしれないが、俺はいつもゴブリン達と一緒だからな!!羨ましい……。
で、こいつがリザードマンか?想像してた通りの姿だな。目は大きいが……。」
「しばらくやっかいになる。」
「タツヤお兄ちゃん、よろしくね。」
世話になるのに無意味に胸を張るツバキと、上目遣いで少し首を傾げるアクア。
「ぐはぁ!!やばいな、この破壊力……。」
効果は抜群だ!!
「タツヤ、ちょっと試してほしい事があるんだが?」
「ん、なんだ?」
タツヤはゴブリンに職業をつける事ができる……。魔族、人間にはできなかった。なら、リザードマンは?
「リザードマンにも、職業をつけれないか試して欲しい。」
「お前にも、魔族にもできなかっだだろ?そんな、リザードマンにできるわけが………ホンマや!!じゃなくて、できるっぽいな!!リザードマンにも!!でもなんでできると思った?」
「確証はなかったが、もしかしたらと思ってな。人魔族や獣人は見た目が人間よりだろ?で、人間と同様に職業をつけれなかった。おそらくだが、タツヤは、ゴブリンやリザードマン等のような、人型ではあるが、人ではない者たちに、職業をつける事ができるんじゃないかと思ってな。
仮説としては悪くないはずだ。ちなみに、職業は何をつけれそうだ?」
「なるほど……。職業は騎士だな、ナイト。」
「オイ、オマエラ、ナンノハナシヲシテイル?」
シグルドが、大きな瞳でこちらを見つめてくる。
そりゃそうだよな、訳もわからず話を進めてもな。
シグルドにタツヤの能力の説明をする。
「ナルホド……ツヨクナレルナラヤッテモラオウカ。」
こちらを見るタツヤに頷くと、タツヤはシグルドに能力を使う……。
「……よし、これでシグルドはナイトになったぞ。」
「ナニカカワッタヨウニハ、オモエンガ?」
「戦えばわかる。闘い続けて経験を積めば、違う職業にもつけるらしいぞ。」
「ナカナカオモシロイナ、ソレハ。ナカマニモデキルノカ?」
なんとなく嬉しそうなシグルド。トカゲの表情は分かりづらいが……。
「多分な、適性がある職業に限るが……。」
疲れた表情のタツヤ。やはり、能力を使用すると相当疲れるらしい。
職業をつける事ができるとなれば、他のリザードマン達もこちらに移動してくれるかもしれない。……というか、それも踏まえての話ではあったんだが。リザードマンに職業をつけれるかは正直わからなかったからな。
「アキノ、俺は疲れたぞ。腹減った。」
そういいながら、チラチラとこちらを見てくるタツヤ。
「はいはい、分かったよ……。ロッテかフィリア、2人でもいいけど、ご飯作ってくれないか?」
「ええ、構いませんが……?」
「は、はい。分かりました。」
作るのはいいけど、なんで私達?という表情の2人。まあ、わからないよな。男心は。
「タツヤが、可愛い2人の手料理を食べたいらしいぞ。」
「さすが、アキノだな。よく分かってる。これで疲れが吹き飛びそうだ。」
「可愛い……。」
「か、かわ、かわ……。」
俯いて赤くなるロッテとフィリア。
それを見て、締まりのない顔を、するタツヤ。まあ、わからんでもないがな……。
ゴブリン達の料理の腕も上がってはきているが、ロッテとフィリアの腕にはまだまだかなわないらしく、タツヤの食い付きが凄かった。……2人が作ったというのも大きいかもしれないが。
一通りできる限りの準備をして、ゴブリンの街を後にする。一筋縄ではいかないよな、きっと。
更新遅くなりました。まだしばらくは、更新が遅くなるかもしれません。
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