ゴブリンの街と発展
タツヤのいるゴブリンの街へとやって来た。被害のあった所の復興具合と、情報収集をするためだ。
まだ、戦いの爪痕は残ってはいるものの、元通りとはいかないまでも、ほとんど修復されている。
巨ゴブによる被害はあったけど、1番街を破壊したのはツバキなんだよな。巨ゴブを倒すために仕方なかったけど。
「タツヤ、久しぶり。だいぶ復旧してたみたいだけど、あれからなんか動きはあったか?」
「おお、アキノ!!来てくれたか。みなさんもようこそ。復旧自体は順調に進んでるが、巨ゴブの原因については全くだ。情報も動きも何もない。巨ゴブ自体もあれから、現れてない。」
タツヤはみんなに挨拶をし、みんなもそれに応える。
「そうか、目的はなんだったんだろうな。魔石か、狐人の巫女、巨ゴブの様なものを作ったらどうなるかの実験……または、混乱と破壊が目的か。全部もありえるが……。」
「動きが無い以上なんともできないな。それよりも今は、ゆっくりしていってくれ。……と言いたいところだが、なにかあるんだろ?アキノ。」
さすがというべきか、よくわかってるなタツヤ。
「まあ、色々とね。1つはこの街の発展、1つはこの世界の情報集め…さっき出た巨ゴブの件も含めて。それから、魔石のありかを探してる。」
「この世界の情報集めって、またなんかやらかすのか?」
「またってなんだよ。せっかくこの世界に来たんだから、世界を知って、見て回りたいと思ってね。」
「なるほど。アキノらしいな。できる事は言ってくれ、力になる。」
「ありがとう、助かるよ。」
タツヤとゴブリン達をあてにしてた部分もあるからな。とりあえずは、情報集めをできる環境にしていかないと。
まあ、タツヤとゴブリン達の意思に合わなければ、なんともならないけど。
「タツヤ、ゴブリン達に職業を与えれる能力って使ってるか?」
「あれ以来あんまり使ってないな。それがどうかしたか?」
もっと色々と使ってると思ったが、そうでもなかったか。かなり使い勝手がいい能力だと思うがな……。
「タツヤ、ゴブリン達もだけど、この街を発展させる気はあるか?もちろん、暮らしはより安定するし、メリットは大きい。ただ、どうしても生活が変わるという事による歪みも出てくると思う。やり方次第ではあると思うが……。」
「この街の発展か……。確かに建物なんかは作ったが、知能も含め生活レベルはあまり高いとは言えないからな……。そこまではあまり考えてなかった。
………よし、ゴブリン達と話し合ってくる。アキノ達は食事でもしてもゆっくりしててくれ。」
さて、どういう返事が返ってくるか。今までよりいい生活ができるって言われても、急に環境が変わると聞けば反対するのもわからなくはないしな。
「アキノさん、この街を発展させようとしてるんですか?」
「ああ、もちろん了解の上での話だけど。タツヤはあんまり使ってないみたいだけど、あの能力は使わないともったいない。こういう時にこそ力を発揮する能力だと思う。」
「た、確か、ゴブリン限定で職業を与えることができて、その職業に必要な能力が伸びるんですよね?」
解説ありがとうロッテ。
「そう、どの程度とか詳しくはわからないけど、このあいだの勇者達を見る限りでは、相当能力が伸びてるはず。その辺りも研究していかないといけないけどね。与えれる職業の種類、回数なんかもやっていかないとわからないし。」
「他の種族の事なのによくやるのう。妾は面倒くさくてそういうのはやれん。妾の場合、同種族でもボタンが無事ならそれでいい。」
それはそれでどうかと思うが。
「お兄ちゃんは優しいんだね。」
「ん、優しいとはちょっと違うかな。やりたい事をやってるだけだし。」
アクアはよくわからなかったようで首を傾げている。
そこへゴブリン達が食事らしきものを持ってきた。テーブルへと並べられていく。
「ミンナ、ゴハンモッテキタ、タベテ。」
「ありがとう。いただくよ。」
みんなで顔を見合わせる。鍋や皿に入れられてはいるが、そこにあるのは、ゴロゴロとした野菜の塊。少しは調理した努力は見られるが、まあ、ほぼそのままだ。
「いつも、ゴブリン達はこういう物を食べてるんですかね。」
「ん、多分ね。お客扱いだから、ゴブリン達からしたらご馳走かもしれない。」
「せ、せっかくなので頂きましょう。」
「妾はアキノの手料理を所望する。」
「ボクもお兄ちゃんの手料理がいいなあ。でも、残すのも良くないよね…。」
「とりあえず食べてみよう?食事のレベルもわかるし。」
まず一口。
口一杯に広がる、ゴツゴツとした感触、そして、素材の味を活かした野菜の数々!!
詰まる話があれだ。野菜そのまま。
こんなのタツヤは毎日食べてたのか?
……てか、野菜にも微量の魔力が含まれてたはず、平気だって事は、やっぱりあっちの世界からきた人間には魔力は毒ではないのか?
「アキノさん?」
「ああ、ごめんごめん。考え事してた。」
「てっきり不味さに絶句しておるかと思ったわ。」
「あながち間違ってはないけど……。料理もなんとかしていかないとね。とりあえず、この野菜達ももったいないから、大したものはできないけど、ここでちゃちゃっとアレンジしてみるよ。」
「え、ここでですか?」
「まあ、みてて。」
そう言って、野菜を並べ始める。風の魔法で野菜を切り、まな板の代わりはマジックシールドの様な魔法陣、その上で、鍋を炎の魔法で火にかける。これで炒めものができる。
同じく鍋に、水の魔法を使い、鍋に水を満たす。そして、同じように火にかけ、スープを作る。スパイスは適当に持ってきたのがあるから、それで味付け。
魔物の肉は今は持ってないから、少し物足りないけど。まあ、こんなもんだろう。
「ほう。」
「お兄ちゃんすごい!!」
「魔法と魔術でそんな事までできるんですね。」
「たぶん、こんな事する人いないと思うけどね、使えるものはなんでも使うのが僕のモットーだから。」
何気に練習の成果がでていて、ある程度の事は出来るようになった。強力な魔法を、とかは無理だけど、調理に使うレベルのものなら問題ない。火力の調整とか、水の量とか、切れ味なんかは、繊細な制御が必要でなかなか難しいが。
「こんなもんかな。さて、食べようか。」
うん、まあまあだな。さっきよりはだいぶ食べれるようになった。火の通りもんかな問題ないようだ。みんなも、美味しいと食べてくれている。
「なんかいい匂いがするな、それはどうしたんだ?」
そこへ、タツヤが戻ってきた。




