巨ゴブとの死闘その後2
「もちろん、妾もついていくぞ?」
「え?」
聞き違いか?
「だから、ついて行くと言っておる。どうせこの村に居場所はない。ボタンはここに残るがな。」
「セリアさんを助けるためにここにきて、魔石を手に入れた。あとは、帰って魔石でセリアさんの回復するだけなんだけど………。フィリア、ツバキさんついてくるって言ってるけど?」
「私は構いませんよ。人数が増えた方が、賑やかになりますし。」
ん〜、人が良いというか、なんというか。
ロッテも、頷いて肯定する。
まったく、この世界の魔族は………。
「……という事だ。改めてよろしく。」
「うむ。どちらにしてもついて行くがな。それから、ツバキでよいぞ、よろしくな。」
この人はこの人で、いい性格してるな。
「そういえば、ツバキさん……ツバキは遠くを見る能力と、あの青い炎を使えるって事だよね?」
「そうだな。」
「青い炎っていうのもなんだし、狐火って呼ばせてもらうよ。それから、ボタンさんは予知のような能力があると。」
「お互いの場所が分かるというのもあるがな。」
「ああ、そっか、大体の位置とか状態が分かるんだっけ。」
「魔力が増えたから、そのうち何か使えるようになるかもしれないのう。」
レベルアップみたいな感じで、いきなり何か使えるようになるってことか?
今使える能力も、練習すれば僕も使えるようになるかもしれないな。本当に器用貧乏にならないようにしないと………。
数日が経ち、みんな体力も魔力も回復したが、アイリスだけは、まだ目が覚めないでいる。
「ア、アイリス目を覚ましてくれませんね……。」
「そうだね、みんなも回復してるし、あまりここに留まってもいられないし。どうしたものか………。」
「接吻でもしてみたらよい、目を覚ますかもしれんぞ。」
「は!?」
「接吻ってなんですか?」
「ああ、キスの事だ。」
「キ……ス?」
「キ、キ、キ、キ………。」
また、変な事言いだしたぞ、この人。
フィリアは、言ってる意味が分かったのか、ほんのり頬を赤らめている。ロッテは、もはや何を言っているのかわからない。ただ、顔を真っ赤にしてるのは確かだ。何気にボタンさんも興味ありげに目を輝かせている。
「てか、なんでその話知ってるの?」
「昔、書物で読んだ。」
そんな事ある?
「なんにせよ、却下だ。まったく根拠がない。」
「リンクする時も触れる事で起こるのだろう。ならば、直接触れる事で、目覚めのきっかけになるかもしれぬ。」
ああ、なんかもっともらしい事言いだしたぞ。直接触れるだけなら、手でもいいと思うが……。抱えた時は何も起こらなかったけど。
「確かに、可能性があるのなら、やってみる価値はあるかもしれませんね。」
「フィリア、その案に乗っちゃダメ!!」
ロッテは固まって思考を停止している。
「もし、するにしても本人の気持ちとかあるでしょ。それに、年上だけど、絵的にまずい。」
「ア、アキノさんは、アイリスがいいって言えばキ……キ……キスするんですか?」
「いや、そういうわけでもないけど………。」
ああ、なんか色々と面倒くさい。
「そのフィリアの母君も、接吻したら目を覚ましたかもしれんのう。」
また、そういう事をブッ込む!!
ちらりとこちらに視線を合わせる辺りがいやらしい。
「人妻にそんな事できるか!!」
「もしそれでお母様が目を覚ますのなら……。」
「フィリア、お願いだから乗らないで。話がややこしくなる。魔石も手に入ったし大丈夫だから。それになかなかの問題発言だよ?」
まったく。
なんだかんだと結局、収まりがつかず、アイリスをこのままにしておくわけにもいかないと、キスをする事になった………。ただし、おでこに。
どうしてこうなった………。
全部ツバキの所為だな。そういう事にしておこう。
もうこうなったら、腹をくくるしかない。
唇をおでこに近づけ………ん〜、恥ずかしい。
「おい!!見る必要ないだろ!!」
ツバキといると口が悪くなるな。
みんながよそを向いた隙に、軽くおでこにキスをする………。
ああ、恥ずかしい。まさに穴があったら入りたいってヤツだ。
アイリスになにか変化は?
…………………………………。
まあ、ダメだよな。わかってたけど……。
「あれ?ここは?」
マジか!?そんな事ある?出来すぎじゃね?
ビックリしすぎて口調がおかしくなるが、それどころではない。
「アイリス!!目を覚ましたか。よかった。」
今の行為については、言うんじゃないぞとみんなに目で訴える。よほど怖かったのか、みんなコクコクと頷く。
「アイリス……そっか、夢じゃなかったんだ。」
「アイリス、どうしたの?」
「えっと、ボクはアイリスお姉ちゃんじゃなくて、アクアだよ。」
は?




