巨ゴブとの死闘 その後
どうなった………?
爆煙が徐々に収まり、巨ゴブのいた場所へと目を向ける………。
が、そこに巨ゴブの姿はなく、そこを中心にただただ大きな穴があるのみ。
ツバキさんの魔法で跡形も無くなったという事だろう。
他の巨ゴブももう現れないようだ。
やっと、倒した………。
みんなボロボロで、少しでも早く休みたいが、そうもいかない。
魔石……は?
「魔石はどこに?」
「オマエ達ノイウ、デカイ巨ゴブ、アイツガ魔石持ッテイタラシイ。」
勇者ゴブリン達によると、街で魔石を持っていたゴブリンというのが、どうやらあいつらしい。魔石の力を取り込んだ、という事だろうか………。
だが、倒したとしても魔石はどうなる?倒したとはいえ、跡形も無くなってしまった。
ここまでして、無駄だったのか………。
ゴブリンの街は助かったとはいえ、このままではセリアさんが助けられない。肝心な目的が達成できないという事だ。
どうする?新たな魔石を探しに行くか?しかし、それでは時間が……。
「アキノさん、あれ!!」
色々と考え事をしていると、フィリアがクレーターの最下部を指差す。
遠巻きで分かりにくいが、確かに何かある。
目覚めないアイリスをフィリアに預け、そこへ向かう。
黒い土の中から、赤い光が漏れている。土を掘り進めると、赤く怪しく光る石を見つける。
これが、魔石?
見るからに魔石!!って感じだけど。
大きさとしては、片手で握り込める位、ラグビーボール位のものかと勝手に想像していたが思ったよりも小さい。
元の大きさはどうだったかわからないが、こんな小さいもので、巨ゴブがあれほど強くなるのだろうか。
で、あれば魔石は相当強力なものであるのは間違いない。ボタンさんはああ言ったが
こんなものを譲ってくれと言っても………。
「これが、魔石……であってるのか?」
「アキノさん、それが魔石で間違いありません。ですが、その魔石はわたくし達の村にあった時よりも、純度が増していますね。」
「純度が増している?」
「はい、わたくし達の村にあった時は、もう少し濁りがありました。大きさも少しですが大きくなってます。あのゴブリンのせいなのか、お姉様の魔法のせいなのか、色々な要因があってそうなったのかは、分かりませんが。」
なるほど、純度が上がるほど透明度が上がっていくという事か。逆に大きくても濁っていれば、純度が低いという事だな。
「まずは、休める所へ行って傷と体力の回復をしよう。」
街の後始末は、ゴブリン達に任せてある。あれから、半日が経ち僕らは、タツヤ達と共に神殿に集まっている。
アイリスは、あのまま目覚めていない。怪我は回復し、寝息はたてているので、心配はないと思うが……。
「タツヤ、この街の事は任せて、狐人の村へ帰ろうと思う。また、落ち着いたら遊びに来るよ。こっちの事は悪いけど任せる。」
「分かった。こっちの事はこっちでやっておく。」
狐人の村にて……。
「ボタンさんも助ける事ができたし、魔石もとりあえず、取り返す事ができた。あとはアイリスが目覚めてくれれば、いいんだけど………。」
「もう、ダメージは完全に回復しているはずですが………。」
「お、起きてくれないですね。魔術の使い過ぎの反動でしょうか?」
「かなり、無理させてしまったからな。アイリスに負担をかけ過ぎた。」
そう、あれからアイリスは一度も目を覚ましていない………。ツバキさんは、ゴブリンの街で休んでいた時に、何事もなかったように起きてきたが。
「さて、魔石の件についてだけど………。」
「ん、魔石か?ゴブリンどもに取られたあげくに、魔石を取り込まれた。激闘の末、巨大なゴブリンを倒す事ができ、ボタンを助ける事は出来たが、魔石は失ってしまった……。それで、良いではないか?」
「お姉様……確かに一度取り込まれていますが……。」
「倒した後に出てきた魔石はもう別のものだろう。純度も違う、大きさも違う。ボタンが助かっただけで充分ではないか。」
「そう………ですね。その魔石はアキノさん達がお持ち下さい。」
ツバキさんが、助け船を出してくれた。始めから、魔石に興味はないって言ってたし、ぶっ飛んでいる人だと思ったけど、その辺りは考えているらしい。
「ツバキさん、ボタンさん、ありがとうございます。これでお母様を助ける事ができます。」
「魔力の事もある程度、なんとかなりそうだからな、気にせずとも良い。」
「魔力の事?」
「妾も、ボタンも尻尾が増えたであろう?それが関係しておる。そういえば、その説明を聞いておらんな。」
ツバキさんとボタンさんにリンクの事を説明する。
「なるほどのう、妾とボタンはそなたと繋がったという事か。それで魔力が一気に増えたと。
それで、さっきの話に繋がるんだが………。」
ツバキさんによると、2人は元々巫女として生まれたのだが、魔力のほとんどがツバキさんに受け継がれてしまい、ボタンさんはほとんど魔力を持たなかった。
幼い頃は、ツバキさんが村人に崇められていたが、徐々に今のような性格になってきて、手がつけられなくなってきた。
成長するにつれ、魔力が少ないながらも、予知のような能力をボタンさんが身につけた。任意でその能力を使う事は出来ないようだが、ツバキさんから心が離れつつある村人が、信仰の対象をボタンさんに移すにそう時間はかからなかった。
そして、ある事件が起き、ツバキさんは、閉じ込められる事になる。
ボタンさんを、ツバキさんが村の外に連れ出したのだ。本人はボタンさんに外の世界を見せようと連れ出したようだが、当然、外には魔物がいる。
村から西にしばらく行ったところで、魔物達に襲われ、ツバキさんは魔力を暴走させた………。
それ以来、村人はツバキさんを恐れるようになり、ツバキさんは南の社に封印される事になる。
ちなみに、ランナーを捕まえに行った西の湖は、この時ツバキさんの暴走でできたクレーターに水が溜まってできたものらしい………。
まあ、村人の恐れる気持ちもわからないではないが……。
ツバキさんを封印した以上、ボタンさんだけでは魔力が少ない。そこで、いざという時に備えて、魔石と共にボタンさんを社で祀る様になったと。
そこで魔力の問題が解決したっていう話に繋がるわけだ。
魔力の増え方や、回復のしかたも魔族とは違う様で、人間の感情の動くエネルギーではなく、自然界のエネルギーを少しずつ魔力に変換しているらしい。
今は、僕と繋がっているため、回復力は比べるまでもないらしいが。
ちなみに、総魔力が多いほど、尻尾の本数が増えていくとの事。
増えるという事自体がほとんどないみたいだが、あまり増えても邪魔じゃないのか?とは思う。
「みんなの魔力が回復したら、セリアさんの所へ戻ろう。大丈夫だとは思うけど、アイリスが心配だな。」
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