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タツヤとゴブリン


「とりあえず、仲間をさきに紹介するよ。ロッテ、フィリア、アイリス、それから、ツバキさん。」


「揃いも揃って、美人、美少女ばっかりじゃないか!!羨ましすぎる。」


「みんな、こいつはタツヤ、同じ世界から召還されたみたいだ。」


「アキノさんの世界の人……。しかもお知り合いなのですか?」


「そう、昔からずっと仲良くしてたやつなんだ。何故こんなことになってるのか。決して悪い事はしないやつだったんだけど。」


「アキノ達は、ボタンさんを助けに来たって事だよな?俺もなにが起きたのかをまだよく把握してないんだ。まずそこから教えてくれないか?」







「…………なるほど。まずは、ボタンさん、ツバキさん、村を襲った事、連れ去った事をお詫びしたい。」


「ふん、ボタンが無事なら妾はそれで良い。社から出れたしな。」


「村人に死者が出なかったのは不幸中の幸いでした。お姉様も、わたくしのためにありがとうございます。」


「今度は、俺とゴブリン達についてだけど……。」




 ふと目を覚ますと、見知らぬ森の中。右も左もわからないまま、ふらふらと彷徨っていた時に、ゴブリンと出会った。

 見知らぬ土地で見知らぬ生き物に出会い、訳も分からぬまま殺される。夢かとも思ったが、どうやら現実らしい……。

 思わず叫んでしまったが、それにゴブリンは反応した。

 言葉が分かる?グゴグゴ言ってるだけだけど、何故だか意味が分かる。ゴブリンも他の種族と話した事はないようで、ぎこちないながらも話をする事ができた。

 そして、何故か気に入られてゴブリン達の住処へ案内されたのだが、住処というには酷すぎた。ただの廃墟だったからだ。

 そこで、自分の知識をゴブリン達に伝え、街を徐々に作っていったと。当然暮らしは格段に安定し、ゴブリン全体に慕われるようになってきたと。

 そのうち、人語を片言ではあるが話せるようになったゴブリン達もいる。さっき喋っていたゴブリンもその中の一匹のようだ。

 そして、ゴブリンと暮らしているうちにある事に気がついた。ゴブリンに職業をつける事ができるというものである。肩書きを与えるだけなら、誰でもできると思うだろう。だが、タツヤが職業を与えると、その職業に関係する能力が、格段に上がるらしい。

 その成果が、この街であり、この神殿であると。





 そして、さっきの話に繋がる訳だ。何者かに言われて、タツヤを喜ばせようとして、ゴブリン達は行動をした……。



「それがタツヤの異能ってやつか。職業を与えるってのは、ゴブリンにしかできないのか?」


「わからない。この世界に来て、初めてゴブリン以外にあったからな。」


「ちょっと試してみるか?」


「よし、やってみよう。」


 タツヤの周りが軽く光り、こちらを包み込む。


 ……………。

 ……………。

 ……………。


「どうやら、だめなようだ。」


「ゴブリンと意思疎通できたっていう点でも、ゴブリン限定の能力って可能性も高いな。……ゴブリンを巨大化させるのはタツヤの能力か?」


「いや、そんな事はできない。それも何か要因があるはず。ゴブリン達の言う黒い人間っていうのが何者なのかってところだよな。巨大化もそいつの仕業かもしれない。」


「目的はなんだろうな、こんな事をさせる意味がわからない。また現れる可能性もあるから、対策をしていかないとな。」


「だな。しかしゴブリン限定の能力か……。それって、どうなんだろうな。」


「いや、使いこなす事ができれば凄い能力かもしれないぞ?まあ、その話は落ち着いたらだな。まずは、ボタンさんを村に連れて帰る。魔石と一緒にな。で、魔石はどこに?」


「そういえば、その魔石というものは見てないな。おい、魔石はどこにやった?」


「魔石、巫女イッショモッテキタ。」


「いや、だからどこに?」


「タシカニモッテキタ。………グゲゴゴゴグゲ!!仲間探シテモラウ、待テテ」





「えっと、ボタンさん初めまして、アキノです。ツバキさんと共にあなたを助けに来ました。話はさっきの通りですが、僕たちには魔石が必要なのです。無事に村に送り届けたら、魔石の事を考えて頂いてもよろしいですか?」


「初めまして、ツバキお姉様の妹のボタンでございます。この度はわたくしのために手を貸して頂いてありがとうございます。魔石の事についてですが、残念ですが、私の一存では決める事が出来ません。村に帰って相談しないといけないのです。ですが、わたくしを助けに来てくれた事、村を救って頂いた事、それらを考えても、魔石をお譲りする事はできると思います。」


「ふん、そんなもの気にしず魔石なぞくれてやればいい。」


「お姉様、わたくしもそうしたいですが、決まりがあるのです。」


 ツバキさんと違ってかなり、優しい雰囲気を持っている。話し方も丁寧で、柔らかい。どちらも美人だが、まさに対極。黒と白。ツバキさんは尻尾が二つ、ボタンさんは……尻尾が無い!?

 ん〜、この辺りが封印されてた事に関係があるのだろうか。でも、聞いちゃいけない事もあるよな……。


「ん、なんだ?尻尾が気になるのか?わからんではないがな……。触りたいのか?そなたなら触らせてやってもよいぞ。」


「是非触らしてもら……いや、いい。」


 モフりたいが今はその時ではない。決して、周りからの色々な視線を気にしたわけではない。


「お姉様、アキノさんと仲がよろしいのですね。」


「妾の夫になる男だからな。」


「まあ。それはそれは。」

「なんだと!?」


「タツヤ、そこ喰いつくな。ツバキさんの冗談だ。」


「なんだ、冗談か。……ゴブリンが戻ってきたようだな。」


 …………。


「魔石、街ニイルゴブリン持ッテル。」


 なんで街にいるゴブリンが持ってるんだ?とにかく、魔石を回収して、村にボタンさんを送り届けないと。


「タツヤ、ボタンさんを連れて戻る。途中で魔石を回収するから、ゴブリンに伝えるよう言っておいてくれ。また、落ち着いたら連絡する。」


「おう、わかった。伝えておく。気をつけてな。」





 ボタンさんを連れて、街へ出ようとしたその時!!



 ドゴォ!!!!


 大きな音と土煙りが街の一角から上がる。そして、ほぼ同時に、2、3箇所からも同じように音と土煙が上がっている。


「なんだ?まさか、巨ゴブか!?」


 そう、そのまさかである。土煙の中から巨大化したゴブリンの陰が見える。確認は出来てないが、少なくとも3、4匹は巨ゴブがいるという事になる。何故同時なんだ?このタイミングで?魔石は?


「魔石はどこだ?」




 街の中央、噴水の辺りにそれは立っていた。

もうすぐクリスマスですね。クリスマス用の話を考えようか迷ってます。


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