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ゴブリンの住処へ


 一度村に戻り、準備をして北のゴブリンの住処へ向かっているのだが、ランナーの恩恵は素晴らしい。走ったりすれば当然揺れる事を覚悟していたが、わずかに揺れるだけで基本的にはフラット。そして、さすが森に住んでるだけあって、木々が密集していても難なくかわしながら進んでくれる。大幅に機動力アップだ。街に戻る時も大幅に時間短縮になるだろう。


 ツバキさんによると、ボタンさんに特に変わった事はなく平気そうだという事。今の所何かをされたりはしていないようだ。


「あれか?ゴブリンの住処って。」


「廃墟っていうよりも、普通に街ですね。」


「そ、そうですね。想像してたのと違います。」


「見事な石造りの建物じゃの。」


「確かに、街にしか見えんが、元々ここは廃墟だったと記憶しておる。」


「という事は、廃墟からここまでゴブリン達が街を作ったって事か?あまり知能が高くなかったはずじゃなかった?なんらかの方法で知能が高くなったのか、指導者でもいるのか……。もし、指導者なり操る者がいるのなら、そいつが今回の騒動を起こしたって事か?」


「その辺りは行ってみないとわからないですね。」


「ゴブリン全体を相手にする事はないと思うけど……。ツバキさん、ボタンさんのいる場所ってわかる?」


 さすがに、そこまでは無理かなと思ったが、わかるのであればそれに越した事はない。


「だいたいであれば分かるぞ。……街の奥の方のようだな。」


「やっぱり奥だよなこういう場合。潜入してボタンさんと、魔石を取り戻せるのが一番だけど……。ただ、それだとまた襲ってくるかもしれないし、根本的に解決しないんだよな。」


「話し合ってみるのも1つではありますよね。」


「も、問題は話に応じてくれるかですね。」


「いきなり攻めてくるような奴らじゃからの。話し合いは難しいと考えた方がいいかもしれんの。」


「妾の認識では、ゴブリンどもは人語を話せないはずだ。で、あるなら操っている者か、統率してる者だが……」


「話し合いができる可能性は低い…か……。潜入するにしても、もしあの巨ゴブが出てきたら厄介だな。村では2匹だったけど、ここはゴブリンの街だからな。どれだけ出てくるか予測がつかないし……。」


 さて、どうするか……。

 まず優先すべきは、ボタンさんと魔石。そして、ゴブリン全体との戦闘を避けるには、大将を落とすしかないか。話し合いにもならないようなら、倒すしかないだろう。


「よし、夜中を待って、ゴブリンの街へ潜入。ツバキさんを助け出し、魔石を回収。そして、大将と話し合い、できなければ大将を倒す!!」


「「はい!!」」

「うむ。」

「わかった。」







 さて、ゴブリンの街に無事潜入したわけだが……。

 夜中のため、出歩くゴブリンもいることもなく、難なく進む事が出来ている。

 見た感じ、家もしっかりとした作りになっていて、とても知能が低いものが作ったとは思えない。道も脇に入れば舗装こそされていないが、ボコボコではなく、ある程度フラットになっていて、一定の間隔をあけて明かりもついている。


 それにしても、かなり整備されてるよな……。


 街自体もそれなりに大きいようだ、警備などは巡回してないが、そもそもそういう概念自体がないのかもしれない。

 拍子抜けするほどあっけなく、街の奥にたどり着く事ができた。

 そこには、他の建物に比べて大きく、明らかに他とは違う作りになっていた。神殿というのがしっくりくるだろう。石という点では同じだが、柱などにも装飾がなされていて、かなり凝った造りだというのが伺える。


 ここで、間違いないだろうな。問題はここからだが……。気を引き締めて行くしかない。



 さすがに、ここにはゴブリン達の姿がみえるが、何かに気を取られているようである。奥の方が騒がしい。ゴブリン達もそっちに意識がいっているため、見つかることもなく奥の広間らしき所へ行く事ができた。


「だから、なんでこんな事をしたのか聞いてるんだよ!!」


 ん?人語?男の声だ。ゴブリンしかいないはずじゃ?統率してたやつか?

 でもゴブリン相手に人語は通じないんじゃ?他にも人がいる?もう少し近づいてみないとわからないな。


「タツヤサマガ喜ブトオモッテ……。」


 ん?タツヤ?


「喜ぶわけないだろう。なぜ勝手にこんな事をした?」


「タツヤサマ、ヨメ。喜ブ。」


「確かに、ボタンさんは美人だけど……そうじゃなくて!!無理矢理連れてきたら駄目じゃないか!!だいたいなんでこんな事になった?」


「黒イ人間、キテ、狐人ノ巫女連レテクル、タツヤサマ喜ブイッタ。反対シタモノイタ、デモ喜ンデ貰イタイ、賛成ノモノ、村へイッタ。巫女連レテキタ。」


「黒い人間?とにかく、ボタンさんを村へ送り届けないと……。」


 もめてる感じだな。ゴブリンと男が一人、その横には、ボタンさんと思われる、ツバキさんに似た容姿の巫女が立っている。いや、ツバキさんは黒いが、ボタンさんは白い。髪も肌も、耳も白い。そして、眼もツバキさんと違い、優しげな雰囲気を持っている。


 てか、あの男……。あの声、タツヤ………。

もしかして、あのタツヤか?


「アキノさん、飛び出したらだめですよ!!」


 フィリアの制止を無視して、男とゴブリン達の前へと飛び出す。


「取り込み中のところ悪いけど、ボタンさんを連れ戻しにきた。魔石もな。それから、これはどういうことか教えてもらおうか、タツヤ?」


「誰だ!!って、人間!?俺の名前を知ってる?………………もしかして、アキノか?」


「そうだ。やっぱり、タツヤだったんだな。お前もこの世界に来てたなんてな。ほんとになにがあるかわからないな、この世界は。……とりあえず、状況説明をしてくれないか?このゴブリン達は?どうしてこの街に?ボタンさんは、返してもらえるんだろうな?」


「そんな一気に言われても……。順を追って話すよ。とりあえず、ゴブリン達は大丈夫。危害は加えさせない。一人でこんなとこに?俺も今の状況を整理したい。そっちの状況も教えてもらえないか?」



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