移動手段の確保
ツバキさんの提案で、西の湖にブラックランナーを捕まえにやってきたのだが……。
「ほんとにいたな。黒い鳥。」
「いたであろう?」
ツバキさんは得意げな表情だ。
「初めて見ました。」
「あ、あの鳥の背中に乗るって事ですね。」
「うまくいくといいがの。」
ダチョウとかそういう系なんだけど……。なんかに似てるんだよな。
「ん、あれだ!!『最後の物語』に出てくるクエッて鳴く黄色い鳥!!」
「確かに、似とるの。野菜をあげると、アイテム預かってくれるかもしれんの。」
「流石にそこまではできないでしょ。」
他のメンバーはよくわからないようだが。向こうのネタだからしょうがない。
「でも、どうすればいい?いっぱいいるにはいるけど、1人が行ったら他のランナー逃げ出すんじゃ?」
「確かにそうですね……。」
「ど、同時に乗らないといけないってことですね。」
「もしくは、群れから離れたランナーを狙うかじゃの。」
「それが良さそうだな。とりあえず、僕がいってみる。」
鳥だけに。
集団から離れたランナーに足音を立てずにそっと近づき……。よっと!!
ん、これでいいのか?すんなりいき過ぎじゃないのか?
ランナーは一瞬ビクッとしたが、ゆっくりとこっちを見る。しばし目が合い沈黙……。
「エエ〜〜!!」
鳴き声クエじゃないんだな。似てるけど。暴れる様子もないし、素直に背中に乗せてくれている。これでいいの…かな。なんか、拍子抜けするけど。てか、どうやって動いてもらえばいいんだ?
「ゆっくり前に進んで。」
いいながら、前方を軽く見る。すると、ゆっくりと進んでくれる。言葉を理解してる?でも野生だよな。てことは、イメージが伝わるって事か?
試しに、今度は言葉を使わず、走らせてみる。……なるほど。どうやら、そういう事らしい。どういう能力なのか分からないが、イメージすると、ある程度それに従ってくれるらしい。
「よろしくな。」
「エエ〜〜!!」
なんとも可愛いやつである。
「という事で、ランナーをゲットしてきたんだけど、次は誰がいく?」
「流石アキノさんですね。じゃあ、私が行ってきます。」
「了解、なんにもしてこないとは思うけど、気を付けて。」
「ありがとうございます。行ってきますね。」
………………。
………………。
「ただいま戻りました。」
「おかえりフィリア、早かったね。次はロッテ行ってくる?」
「は、はい。行ってきます。」
………………。
「た、ただ今戻りました。す、すごい賢いですね、ランナーって。」
「早っ!!何気に凄いよねロッテ。」
「い、いえ。ありがとうございます。」
「じゃあ、ワシの番かの。」
………………。
………………。
………………。
………………。
「ふう、なんとか成功したぞ。身体能力が高くないと苦労しそうじゃの。」
「残るは、ツバキさんのみ。がんばって下さいね。」
「わかっておる。では、行ってくるとしよう。」
心配で、こっそり後をついてきたが、実際の所どうなんだろうな。身体能力はあまり高くなさそうだけど。
…………案の定苦労してる。なんで正面から行くんだよ、あの人は。そんなの、警戒されて逃げられるに決まってるじゃないか。と、思いきや、ツバキさんに興味があるのか、ビックリこそしたが、逃げる事はなかった。じっとツバキさんを見ている。逃げはしないが、背中にもやすやすとは乗せてもらえなそうだ。
無理だと思ったのか、ツバキさんは、木々の根元を手で掘り始める。しばらくはそれの繰り返し。何かを見つけたようで、それをランナーに差し出す……。
すると、ランナーはそれを食べ始めた。
餌付け?
ランナーは餌をもらって気を許したのか、背中にツバキさんが乗ろうとすると、足を曲げて、乗りやすくしている。……どうやら、成功したようだ。
てか、他のメンバーはどうやったか分からないけど、餌をあげて乗せてもらうってのが、1番の正攻法かもしれない。普通の人には、いきなり飛び乗るなんてのはできないしな。
ツバキさんが気付く前に戻っておこう。そういうの気にしそうなタイプだからな。
「戻ったぞ。そなたらほどの身体能力はないが、問題なくランナーに乗る事ができた。妾にかかれば大した事ではないがな。」
「ツバキさんお疲れ。これで全員分のランナーが手に入った訳だ。これでゴブリンの住処に行く事ができる。」
住処の規模と、ボタンさんがなぜさらわれたのか、魔石を持ってかれた事も含めて、またしても分からない事ばかりだ。結局、その場その場で臨機応変に考えていくしかないってことだな。
もう、12月も半ばですね。年末で皆さんも忙しいと思いますが、怪我や病気に気をつけて、今年を乗り切りましょう。




