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目覚めたら異世界だった。2

  …………………。



 いや〜、長かった、ひたすら長かった。

 自分がここにいる理由を聞くことになったわけだが、大まかにいうとこういうことらしい。


 昔、魔族がこの世界を支配していたらしい。

 そこで、この世界の人間はなんとか対抗しようと、異世界から人間を召喚し、その召喚された7人は様々な異能を持ち魔族を圧倒した。

 そして、その7人の異世界の人間と元々の世界の住人が力を合わせて魔王討伐を果たした。


 その過程で、魔族の数は激減、力も徐々に失い、今や大陸の外れに追いやられ、細々と暮らしていると。

 しかもご丁寧に、人間の住む土地には結界が張られており、侵入することもできなくなったという。


 生き残った魔族、魔王の子孫はこのままでは滅ぶと、人を襲うことをやめ、規律を作り、人間以上に真面目な種族になってしまったと。


 しかし、人を襲わなくなった以上、エネルギーの源となる魔力を摂取する事ができなくなってしまい、後は滅びを待つのみになってしまった。


  生命の維持だけは、人間と同じく食事でも大丈夫らしいが、魔力が尽きると、精神が保てなくなるという。


 そして、魔族といえば魔法という認識はこの世界でも同じらしく、魔法が使えるらしい。

 魔法を使えば魔力を当然消費してしまうため、ほぼ人間と同じような生活をしているとの事。


 ほぼというのは、必要最低限の火起こしや、生活に欠かせない程度の魔法は使うらしい。


 とはいえ、徐々に蓄えのあった魔力も尽きるのは目に見えている。


 そこで、現魔王は人間とコンタクトをとるべく色々と試みるが、ことごとく失敗。

 最後の手段として、異世界から人間を召喚する事となった。

 もちろん、その代償は大きく、とてつもない魔力を消費するため、失敗すれば今度こそ魔族が滅んでしまうというリスクを抱えて………。





 で、召喚されたのが僕だと。


 召喚された理由はわかったが………。

なぜ僕なのか?


「なるほど、ここは異世界で、僕が召喚された人間……。なぜ僕なのですか?」


「正直に申し上げますと、我々にはわかりません。ただ、我々の窮地を救って頂くために最適な人物というのだけは間違いないはずです。」


 わからないのに最適……。

 意味がわからない。


 話の流れからして、魔族を救ってくれとか言い出すんだろう。

 てか、ただの会社員だよ。もっというなら、ブラック企業で働く整備士だよ。

 趣味はバンドでベースをやってて、ラノベ好きな、いたって普通の人間だよ?


 確かに、突然異世界にとかラノベではよくあるし、憧れもあるよ?

 でも、本当に召喚されるなんて思わないでしょ?それこそ、そんな世界に憧れてる人なんて、数え切れないくらいいるっしょ?

 で、お約束の元の世界には帰れませんてか?

 

ふう、やれやれだぜ。


「やっぱり、元の世界には?」


「ええ、方法もわからない上に、あったとしても少なくとも召喚時と同等以上の魔力を消費するはずです。」


 やっぱり………。


「流れからすると、魔族を救ってくれ………ですか?」


「流石は召喚者様、話が早いですね。」


 ふう


「だが、断る!!」


「えっ?」


………………。


「えっ?」


「あなたは、召喚されました、魔族を救って下さい、はいわかりました。っていうとでも?」


「ですが、我々には手段がもう残されていないのです。あなた様に救ってもらえないのであれば、我々はもう、滅びを待つのみです。」


「ふう……とりあえず納得はしてませんが。自己紹介だけでもしておきます。僕の名前はアキノです。異世界の会社員で、ベーシスト。ただの人間です。今日は色々と整理したいので、休ませてもらっていいですか?」


「ええ、我々としましても、了承頂けるまで不自由させるつもりはありません、なんでも言いつけて下さい。ロッテ、アキノ様を部屋へ。それから、アキノ様に失礼のないように。」


「ひ、ひゃい!!」


 ずっと後ろで立っていたメイド…ロッテはビクッとすると変な返事をし、食堂の扉を開ける。


 席を立ち、一礼し、今回一度も喋らなかった、ガイゼルさんの横に立つフィリアさんにも軽く頭を下げる。

 すると、少し困ったような顔を一瞬だけ見せ、すぐに笑顔になり深々と頭を下げる。


困った表情も美人だ。




「ロッテさんだっけ?ガイゼルさんはこの辺りを治めてるっていってたけど?」


「ガ、ガイゼル様は、この辺りをというよりは、魔族をといった方が正しいかと思います。現魔王様ですね。それと、私の事はロッテとお呼び下さい。」


「魔王?」


「は、はい。ガイゼル様が我々魔族の王、魔王様です!!」


 え、あのおじ様が魔王なの?偉い人なんだとは思ったけど、魔王ってもっとこう………。


 まあいいや、なんか疲れた。

 とりあえず、部屋で休むか。



「ロッテさ……ロッテ、ありがとう。とりあえず休ませてもらうよ。」


「は、はい。それでは何かありましたらテーブルに置いてある呼び鈴でお呼び下しゃい。」


 しゃい?ロッテは顔を赤くしながら部屋を出て行った。可愛いな、ロッテ。





 しかし、断るとは言ったものの、まあ、実際何かしらの事はしていかないと、この世界で生きてくことすらできないからな。

 魔王のガイゼルさんが不自由をさせないとは言っていたものの、どこまでやってくれるか、また魔力自体いつまでの猶予があるのか、その辺も考えなければいけない。

 なにより、


だが、断る!!


 って、言ってみたかった。いや、普通に生活してて使えないよねこれ。


 まあ、ただただ居候してるのも自分的に嫌だし、できることはやっていこうとは思うが、魔族を救えって、話がでかいし、何やればいいかわからないし。この世界のことも、全然わからない。


 結局、わからないことだらけだな。


 そういえば、異世界からきた人間には異能が、とか言ってたな。ふふ、異能とかラノベ好きとしてはたまらない響きではあるが、今の所なんか特別な力とか何も感じないな。

 何かのきっかけで目覚めるとか?

結局それも、発現しないとわからないか。















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