村の中へ
ロッテの指導により、まだ危うい所もあるが、なんとか形になってきた。明日からは、余程の事がなければ、なんとか村の中でみつからないようには出来るはずだ。
門番の交代前にアイリスが戻ってきた。どうやら村に入っても怪しまれずにすんだらしい。
「アイリス、お疲れ様。どんな感じだった?」
「うむ、夜というのもあるじゃろうが、基本的には静かな村じゃな。夜に出歩いている者はあまりいない。見回りのような者もいなかった事から、治安は悪くないんじゃろうな。」
「なるほど、なら村に潜入しても、見つかるリスクは少ないか。」
「潜入って、村の中に入るのか?」
「アイリスだけに任せるのは申し訳ないからね。僕らもできる事をしようと。」
「別に構わんのじゃがな、効率が上がるなら、その方がいいかもしれないの。」
「次回からは、私達も潜入しますね。」
次の日の夜、早速潜入してみたのだが、……なるほど、確かに見つかる心配はないな。
ほとんど人が歩いていない。やはり、狐人というだけあって、耳と尻尾が生えている。ケモミミってやつだな。モフりたいが今はその時ではない。
なにより、驚くのが村の中は、ほぼ和風という事。建物は木造で、歩いている人の着ている服も和服だ。
え、ここ昔の日本?と思うくらい和が溢れている。日本から召喚された人の影響があったのだろうか。
どうやら、きちんと区画が区切られており、大まかにではあるが、この辺りは商業地帯、この辺りは工業地帯というようになっているようだ。
アイリスからの話によるとこの村の出入り口は、西と北と東にあるらしい。ちなみに僕らが入ってきたのは東口。そして、真ん中に社のようなものがあり、そこに巫女と家臣が住んでいるとの事。つまり、真ん中の社に行けば、巫女なり、家臣なりと話ができるという事である。
ただ、話をすんなりと聞いてくれるとは思えないが。
何度か潜入してわかったのだが、社は南にもあるという事だ。真ん中の社には人の出入りがあるが、南の社には、人の出入りはほとんどないようだ。社の管理自体はきちんとされているようだが、村全体として南の社を避けている、というか恐れているようだ。理由はまだ分からないが……。
「ここ何日か村に潜入して、大体の村の構造とかは把握できたけど、交渉のきっかけになるような情報が手に入らなかった。となると、やっぱり社に行って、直接交渉するしかないな。話だけでも聞いてもらえれば、少しは可能性がでてくるかもしれない。」
「そうですね……。」
「お、追い出されるかもしれませんけど、それしかないですよね。」
「とりあえず、それくらいしかやれる事もなさそうじゃしの。」
と、村に潜入しようと準備をしていると、なにやら村の方が騒がしい。祭りかなにかか?とも思ったが、どうも様子がおかしい……。
門番にどうしたのか聞いてみるが、門番にはまだ伝令が回ってきてないらしく、事情が分からないようだ。
だが、なにか起こっているなら急いで向かわないと手遅れになる可能性もある。
「なにかが起きてるんだろ?通してくれないか?村が困っているなら助けたいんだ。」
「確かに村が騒がしいようだが、よそ者を通すわけにはいかん。もしかしたら、お前らの仲間が何かしているかもしれないだろ?」
そう返されると、反論できないじゃないか。
とにかく、中に入らないと!!
「はあ、はあ、ゴブリンだ!ゴブリンどもが攻めてきやがった!!」
押し問答しているうちに、伝令が来たようだ。
「ゴブリンが!?今まで奴らが村に来た事なんかないだろ!?それに奴らは弱い上に頭も回らないはずじゃないのか!?」
「それが、いやに統率がとれていて、腕もそれなりにあるみたいだ。とにかく、奴らは中央の社を目指してる。護衛を固めているが、耐え切れるかわからない状況だ。ここも最低限の人数を残して、中央に集まってほしい。」
ゴブリン?ここ最近見かけた奴らか?住む場所を探してたんじゃなく、この村を探してた?
中央の社という事は、巫女が狙いなのか?それともこの村の機能を潰すのが目的なのか?魔石?なんにしろ、早く向かった方が良さそうだ。こんなとこで時間をかけてる場合じゃない。
「ロッテ、フィリア、アイリス、中央へ向かうぞ!!」
「「はい!!」
「うむ!!」
「おい、こら!!勝手に入るんじゃない!!」
門番が止めに入るが、そんなものにかまってる暇はない。多少強引に村に入っていく。
12月になると忙しくてなかなか書けなくなると思うので、今のうちに頑張って書いています。
いつもありがとうございます。




