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門前払い


 森に入って3日が経った。途中魔物に襲われる事もあったが、順調に進んでいたのだが………。


「あれって………?」


「ゴブリンじゃな。」


「やっぱりそうなんだ。見た目からしてゴブリンそのものだね。」


「どうしてこんなところにいるんですかね?」


「わからん、決まった所に住み着いて、あまり出歩かん種族なんじゃが。」


「あ、新しい住処探しですかね?」


「なんにせよ、見つからんようにするのがいいじゃろ、どう動くかわからん。」


「確かに。無駄に襲われてもやっかいだし。」


 この世界でゴブリンというのを初めて見たが、ゲームや映画に出てくるゴブリンそのまま。頭が大きく背が低い。そして、たぶんそんなに強い種族ではない。


「ゴブリンって、やっぱり弱いの?」


「うむ、知能もそんなに高くないし、よほどの事がない限りは、負けることはないはずじゃ。」


「とりあえず、見つからないようにだけ気をつけよう。」






 あれから、たまにゴブリンを見かけるようになったが、こちらも気をつけているので、特に見つかる事もなく、ついに狐人の村へとやって来た。

 森の中にある村という感じで、辺りは昨日柵で覆われており、中はほとんど見えない。


 門番らしき人が立っていて、どうやらそこからしか村に入れないみたいだ。ここだけではなく、おそらく幾つか門はあるだろうけど。


 とりあえず、村の中に入れてもらわないと話にならない。事情を説明して入れてもらうしかないか。せめて、上の人に話しでも伝えてもらわないと。


「いきなりですみません、アキノと言います。込み入った事情がありまして、中に入れて頂くか、上の方に取り次いで頂くことはできますか?」


「ん、人間か?それに…魔族も!?無理だ。さっさと帰りな。」


「どうしても、中に入らないといけないんです。」


「無理だ!!」


「せめて事情だけでも!!」


「無理だ!!!怪我をする前に、帰ったほうが身の為だぞ!!」




 無視こそしないが、魔族はもちろん、人間も良い印象は持たれてないみたいだ。


「………どうしたら、話を聞いてもらえますか?」


「我々はよその種族を信用しない。もし、村に入れたとしても、話すら聞いてもらえないだろう。もう、分かったら帰ってくれ!!出来ることなら実力行使はしたくないからな!!」


 ふむ、他種族ってだけでも嫌われてるらしいな。このままでは、なんともならないか。少し離れた所でテント張って、対策を考えるか。





「うーん、文字通り門前払いってやつだな。一筋縄ではいかないと思ってたけど。」


「話も聞いてもらえませんでしたね。」


「ど、どうしましましょう。」


「何度も通って、なんとか通してもらえるよう頼むしかないかの。まさか、倒して村に入るわけにもいかんしの。」


「村に入ったとしても、情報がなさ過ぎて、どこに魔石があるのか、誰と話せば良いのか、全く分からない状況だからな。」


 うーん、何かいい方法……。

 他種族はだめ……。なら、同種族は?


「狐人って、この村以外にも村とかあったりする?」


「私はちょっとわかりませんね。」

「わ、私もです。」


「うーむ、あるにはあると思うぞ。ここだけではなく、点在しているはずじゃ。」


「なら、狐人に変装して入るってのは?」


「あの変身魔術!!」


「で、でもアイリスだけですよね、その魔術使えるの。」


「ふむ、確かに使えなくはないが……。入ったとして出るのは難しいかもしれんの。」


「確かに、何故出てくんだ?ってなるもんな。小動物のような姿にはなれないの?」


「無理じゃな。あまりに見た目が違う種族やあまりに大きさが違う姿にはなれん。」


「そっか、とりあえず様子を見ながら策を練るしかないか。」



 あれから、数日間が経った。門番とはなんとか会話できる程度にはなったが、やっぱり入れてはもらえないらしい。

 

 基本的には、魔物が襲ってくることもなく、見張りといっても、あまり警戒はしていない。僕らが顔をみせると多少の警戒はするが、ずっと立っているのも暇なのか、少し話をするようになった。


 その門番によると、この村を治めているのは、巫女で、その下に5人の家臣が付いているとのこと。実質的には、家臣が取り仕切っているようだ。

 なんとか中に入って、巫女、もしくは家臣と話をして説得をするしかないって事か。難しいな。もう少し情報が欲しい。何かしら取り引き材料が欲しいところだ。


「そういえば、誰か相手を眠らせる魔法か魔術使えない?」


「私使えますよ、効果は弱いので、興奮してる相手には効かないと思いますけど……。」


「なら、夜の間に門番に寝てもらって、交代時刻までに帰って来れば、なんとか情報収集できるかな?ただ、リスクを減らすためにはアイリスに変身して行ってもらう必要があるけど……。」


「ふむ、行ってきてもいいぞ。よっぽど危険はないじゃろ。戻って来んかったら、捕まったと思ってくれ。その時は助けに来てくれると嬉しいの。」


「当たり前だよ。当然助けに行く。話が通じないなら、狐人と戦闘になる覚悟もしてるよ。」


「それでは、目的が達成できんじゃろ。気持ちだけもらっておくよ。ま、おぬしならうまいことやると思ってるがの。」







 という事で、早速作戦を実行する。

 魔法もバッチリ効果ありで、すんなりと寝てくれた。交代が来る前に戻って来れば大丈夫だろう。


「「「アイリス、気をつけて」」」


 コクリと頷くと、狐人に変身したアイリスは村の中へと入っていった。


「大丈夫ですかね、アイリス。」


「ん〜、たぶん大丈夫だろうとは思うけど。」


「わ、私達もなにができる事ありますか?」


「そうだな〜、今はアイリスを待つしかないけど。情報がなさすぎて動くに動けないし。」


 僕も変身の魔術を使えるようにしておいた方がいいかもしれない。あとは、隠密のスキルみたいなのがあるといいよな。


「あ、そういえば!!魔法で、足音を消すとか、姿を見えないようにするとか、そういうのはないの?」


「姿を見えないようにというのは、使えないですが、足音を消すくらいならできますよ。」


「わ、私も、できます。それ位であれば魔法も使わなくても大丈夫です。」


 という事は、僕がそれさえ出来れば、潜入自体はできなくはないって事だ。


「じゃあ、その歩き方から教えてもらおうかな。」


「は、はい。喜んで!!」






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