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狐人の村への道中


 この世界に来てから約1ヶ月が経った。

 相変わらず、4人で森に出ては戦闘を繰り返し、料理の研究、魔法、魔力の研究を続けている。


 街の状況は、食事をとる習慣はほぼ浸透、班も今は大きくなり、団になっている。

 警備や、食料の調達人数が増えた事により、より安定して魔力が回復ができるようになった。武具の開発状況は、簡単なものならできるようになったが、強度や装飾などもまだまだ発展途上である。武器や防具の数も少なく一部の者達しか装備をしていない。


この辺りは、時間をかけてやっていくしかないだろう。




 「ガイゼルさん、僕がこの世界に来て1ヶ月が経ちました。魔族達の魔力は少しずつではありますが、安定して回復に向かっています。団のみんなも頑張ってくれているので、その辺りは任せておいても大丈夫だと思います。

 予定通り、狐人の村に行ってこようと思うのですが……。」


「ええ、本当に色々とやって下さって、ありがとうございます。おかげで、私も魔力を回復してきています。といっても、今何者かに攻め込まれでもしたら、厳しいですがね。

 そうですね、今は魔石に頼るしか方法はないですからね。本来なら私が行くべきなのですが………。」


「いえ、ガイゼルさんはここをまとめてもらわないといけませんし。僕もセリアさんを助けたいですしね。」


「ありがとうございます。フィリア、ロッテ、アキノさんのサポートをよろしく頼む。」


「はい、もちろんです。」

「は、はい。お任せ下さい。」


「ワシもついていくからの。」


「アイリス様、ありがとうございます。」



 とはいえ、ただでさえ嫌われている上に、貴重な魔石をくれだなんて、普通に考えたら無理だよな。少なくとも同等以上の対価を支払わないと。

 この辺りは、行って交渉していくしかないけど。





 森に入り、狐人の村に向かって順調に進んでいる。ある程度歩いたところで、暗くなってきたため、野宿をする事にする。


「そろそろ、野宿の準備をしようか?」


「はい、そうですね。この辺りの魔物はもう私達を襲ってきませんしね。」


 そう、この一ヶ月で魔力が伸び続けたロッテとフィリアのおかげか、この辺りの弱い魔物は襲ってこなくなった。本能的になのか、なんなのかはわからないが。


「い、今の所は順調ですね。」


「そうだね、このまま何もなければいいんだけど。」


 ん、今のフラグか?いや、回収しないぞ、このフラグは。


「さて、テントを張って休むかの。まだまだ先は長い。」


 テントは2つ持ってきている。もちろん、僕は別で寝るためである。いくら危険な森であっても異性と同じテントでは、色々と問題だろう。と、思ったのだが………。


「あれ?アキノさん、何やってるんですか?」


「テントを作ってるんだけど……?」


「え?それは魔物に襲われてテントが壊れた時の予備じゃないんですか?」


 なるほど、そういう考えもなくはないが…。


「いや、でも年頃の女の子達と一緒のテントってのは問題があるでしょ?」


「………?そうですか?別のテントだといざという時連携取り辛いですし、私達は気にしないですよ?ね、ロッテ?」


「は、はい。別で寝るというのは危険だと思いますし。同じテントでいいと思います!!」


 後半強くなかったか?


「うーん。」


「この娘らは、大丈夫なようじゃぞ?信頼されてるのか、そもそもそういう考えがないのか。ま、ワシも気にしないぞ、何かあると思んしの。リスクを減らす方が大事じゃ。」


「まあ、しょうがないか。同じテントで休むよ。」


 という訳で、一緒のテントに寝る事になった。テント自体は広めの物で、大人4人位は軽く寝れるんだけど。気にしちゃうよな、やっぱ。自分だけかもしれないけど。


「あ、でも、見張りは必要じゃない?無防備になっちゃうし。」


「そ、そうですね。交代で見張りをしましょうか?」


「僕が見張りをするよ。みんなは、ゆっくり休んで。」


「アキノさんがそう言うのなら、お言葉に甘えさせてもらいますけど。」


 ふう、これで今回はなんとか回避できるだろう。


「ふむ、その事なら問題ない。」


 そう言うと、おもむろにテントを中心に魔方陣を描き始める……。


「な、何をしてるんですか?」


「魔術によって、このテント内の気配を遮断するんじゃよ。」


「それじゃあ、見張りをしなくていいって事ですね?」


「そうじゃな、今の所は魔物も近づいてこんが、強い魔物だとそうはいかんじゃろ。ならば、気配を遮断した方が安全というもんじゃ。」


「そんな魔術を使ったら消耗するんじゃ?」


「大丈夫じゃ、一晩寝れば回復するし、おぬしも、休まないとこの先続かんぞ。」


「言ってることは最もだけど。………分かったよ。大人しくテントで寝るよ。」


「ふむ、それがいい。」


 と言いながら、アイリスがこちらを見てニヤりとする。

 確信犯だな、絶対楽しんでる。


 ふう、やれやれだぜ。


 なんだかんだで、結局同じテントで寝る事にはなったが、もちろん同じ布団でという訳ではない。僕は端っこで寝る事にする。が、気になってなかなか眠れない。みんなは寝れてるのかと思い、寝返りをうって、みんなの方を見てみると、すやすやと寝息を立てている。

 安心しきってるな。いい事ではあるんだけど。なんだか複雑だ。

 見張りをしてた方が精神的に楽かもしれない。





 寝れない、寝れないと思ってたけど、どうやら知らない間に寝てしまったらしい。なんだかんだで疲れてるんだよな。やっぱ。


 え?


 動けない……。少しずつ意識が戻ってくる、状況の確認をする。


 両手と両足に重みがある………。

 そして、柔らかな感触と髪のいい匂い………。


 って、え!?


 ロッテとフィリアが両側から抱き付いている。明らかに寝ているが……。抱き枕と勘違いしてるのか? てか、離れて寝てたのになんでこんな状況に?

 とにかく、この幸せ過ぎる……じゃない。この状況は色々とまずいだろう。ゆっくり抜け出して………。だめだ。がっちり掴んでる。

 流石魔族、力が強い……じゃなくて!!


 アイリスは?

 ……だめだ。反対向いて寝てる。


 この状況で2人を起こすのも問題だし。どうしたものか………。





「アキノさん、おはようございます。」


「ん、フィリア?おはよう。」


 どうやら、結局あのまま寝てしまったらしい。フィリアは気付いてないのか?昨日の事は。


「ア、アキノさん、お、おはようございま…す。」


「おはよう、ロッテ。」


 ロッテもしかして気付いた?とりあえず触れないようにしておこう。不可抗力とはいえ、まあ、うん。


「アイリスは?」


「起きておるぞ。おぬしが一番遅い。」


「なんか、なかなか寝れなくて。」


「"ゆうべは おたのしみでしたね" じゃ。」


「ちょ!!アイリス!!見て…た?しかもそのネタ!!」


 某宿屋での有名なセリフじゃないか。て、それどころじゃない。


「いや、何にもしてないし、できないよ。」


「ふ、分かっておる。言ってみたかっただけじゃ。」


 フィリアは、?って感じで2人のやりとりを見ている。ロッテは、聞かないふりをしているが、耳が赤くなっている。

 フィリアは起きた時にはすでに離れてて、ロッテが起きた時はまだくっついてたってところだろう。


 そろそろ気を取り直して、狐人の村を目指さないと。まだまだ先は長い。


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