人間初の魔法?
ボッ
「おっ、今できたんじゃない?」
「ふふ、そうですね。確かに出てました。」
あれから、アイリスの武器を決め、屋敷の庭で魔法の練習をしているのだが……。
「確かに魔法を使えておるな、魔力を凄い勢いで消費しておる。ただし、ライターの小より小さな火じゃがな。」
「はあ、はあ………いや、でもできただけでも上出来じゃない?人類初の魔法ってやつだ。ただ、めちゃくちゃ疲れる。」
「とてつもなく小さな火じゃがの。じゃが、色々な可能性を期待させる一歩ではある。まだ、魔力を使う効率が悪いんじゃろうな。消費魔力が大きすぎる。」
「てか、火はなんとか出るけど、大きくするとかできないな。そのうちできるようになるのか?ロッテとフィリアも火は出せる?」
「ええ、あまり大きくはできないですが。」
そう言って手のひらに火の玉を出す。拳より一回り位でかい。
「わ、私もあまり得意ではないので。」
ロッテも、手のひらに火の玉を出す。こちらは、拳位の大きさ。
「2人とも得意ではないんだ。でも、やっぱ大きいな。当たり前だろうけど。ちなみに、ロッテは風の魔法だとどんな感じ?」
「えっと、やってみますね。」
木に向かって手刀を振ると、細めの枝が落ちてくる。
「おお、風のカッターか。戦いにも使えそうだな。」
「そ、そうですね。今はアキノさんのおかげで、これ位の強さであればある程度の回数を使う事ができると思います。」
「よし、風の魔法使ってみようかな。」
ロッテの真似をして木の枝めがけて手刀を振り下ろす。
フワッ
「えっ!?」
「ち、ちょっと⁉︎」
「むう。」
確かに魔法は出たようだ。が、ロッテのようなカッターではなく、少し風が吹いただけ。
それだけならいいが、僕らが立っている所を中心に下から上へ風が吹いた。 つまり、ロッテ、フィリア、アイリスのスカートが風でヒラヒラとめくれてしまった。
眼福……いや。
「ごめんなさい。」
謝るしかない。
「別にわざとじゃないですし……ですよね?」
「もちろん。そんな勇気は持ち合わせておりません。」
「わ、私は信じてますから。」
「むう、若いの。少なくともワシは気にしとらんよ。」
「ほんとごめん。」
ロッテ、ゴスロリスカートの中にガーターベルト着けてて、しかもナイフを仕込んであった。戦闘服か…なるほどな。セクシーかつ合理的。じゃなくて。とりあえず、風の魔法は1人で練習しよう。うかつに使うと、昔のとある太った忍者の術の様になってしまう。
でも、火よりはなんていうか形になってる?疲れも少ないし。もしかして、リンクした相手の得意不得意が反映されるって事か?
なんにしても、僕の魔法はまだまだ使い物にならないってとだな。
いや、いざという時はある意味使えるのか。感情が動くことによって魔力の回復が……って、そんなんに頼ってちゃダメだよな。
なんにしても、戦闘で使えるようにならないと。
「昼からは食材探しと、戦闘の訓練をしようか。魔法はまだまだ先かな〜。とりあえず、形だけでもできただけでも良しとしよう。」
「そうじゃの。使えるようになるには、魔法もじゃが、魔術も学んでいかんとならんぞ。」
「ロッテ、フィリア、そっちお願い!!」
「「はい!!」」
「ふう、とりあえず一旦休憩しようか?」
アイリスには、待機してもらって3人の戦う様子を見てもらっている。
なんだかんだで、一角ウサギも楽に倒せるようになってきた。連携がとれてきてるのと、この辺りの魔物は、予想外の行動をしてくることがないため慣れてきた。
戦ってる最中に大イノシシも出てきたが、前のイノシシほどデカくはなく、思ったより苦戦はしなかった。
「とりあえず、こんな感じなんだけど、アイリスはどう思う?」
「うむ、3人とも戦闘経験はほぼないんじゃろ?そう考えると、敵が弱いとはいえ、よくやっておると思うぞ。」
「ロッテも、フィリアも動きを読んで合わせてくれるから、すごく戦いやすい。」
「指示が的確ですし、私達の動きやすいように行動をしてくれるので、私達も戦いやすいです。」
「そ、そうですね。私もそう思います。」
「ふむ。ワシも見てばっかりではなく、戦いに参加しようかの。まあ、大した魔術も使えんから、戦力としては期待しないでいてもらおうかの。」
「そういえば、武器は弓を選んだんだよね?矢は見当たらないけど、どうやって戦うの?」
「矢がなかったみたいだからの、あったとしてもすぐに無くなってしまうじゃろうし、まあ、見ておれ。」
そう言うと、アイリスはグローブをはめて弓を構える。そして、グローブが薄っすらと輝き光の矢が現れる。
シュッ!!
真っ直ぐに打ち出された矢は、20mほど先の木に刺さり、しばらくすると消滅した。
「どうじゃ?」
「今のは!?」
「これじゃよ。」
そう言って、グローブをこちらに見せる。
「魔法陣?」
「そうじゃ、このグローブには魔法陣を仕込んである。かなり威力は抑えてあるがの。この程度の威力のものならばある程度連発しても弾切れにはならん。無詠唱って所がポイントじゃ。」
「それ、凄いんじゃ?」
「ま、オリジナルじゃからな、他の者には難しいかもしれんの。」
「す、凄いですね。」
「もちろん、オリジナルと言っても、なんでもできるわけでもないし、失敗も多々あるがの。」
「魔族にも魔術って使えるのですか?」
「む、魔術に興味を持ったか?どうじゃろうな。今までにそんな魔族は見た事も、あった事もないからの。」
「そうですか…。魔力を使わないで済むのであれば、覚えてみたいですね。」
「魔術にの概念を知って、試していけばできるようになるかもしれんが、できない可能性もある。どうせ教えるんじゃから、1人に教えるのも3人に教えるのも同じじゃから、やってみるだけやってみるといい。もし、できなくても、魔族には魔術ができないという事がわかるから、全くの無駄というわけでもない。」
「「ありがとうございます。」」
「魔術を知れば、使えなくとも対策は練れると思うしの。まあ、魔術師と戦うことはよほどないだろうがな。」
その後、しばらく4人で一角ウサギと大イノシシを相手にしていたが、遠距離攻撃ができるようになったことにより、さらに安定して倒すことができるようになった。
そろそろ、もう少し強い魔物を相手にしてもいいかもしれない。
「効率よく狩ることができるようになってきたけど、運ぶのが大変だね。量も重量も凄いことになってきた。」
「回収を頼まないといけませんね。」
「RPGとかラノベとかによくあるような収納魔法とか、転送魔法とかあると便利なんだけどな〜。もちろん、魔族だけでも調達と回収ができるようになる事が前提だけど。遠出する時とか、便利だよね。」
「ふむ、懐かしい響きじゃの。確かにそういうものがあった方が、色々な事が格段にやりやすくなる。」
「昔は、そういった魔法を使える者もいたかもしれませんが、現在では聞いた事ないですね。」
「わ、私が身体強化使って運んでも限界がありますし……。」
「当面は、回収班に任せるしかないか。こっちはこっちでそういう魔法なり魔術なりできないか試していこう。」
魔族全体の魔力が安定してきたら、魔法の研究もしてもらおう。
「今度からはもう少し強い魔物と戦っていこうか。」




